『グランド・イリュージョン』


原題『NOW YOU SEE ME』。このタイトルとキャストと、なんとなくのストーリーが発表されたのがちょうど一年くらい前。
ジェシー・アイゼンバーグとウディ・ハレルソンという『ゾンビランド』コンビ、モーガン・フリーマンとマイケル・ケインという『ダークナイト』おじいちゃんベテランコンビ、『アベンジャーズ』のハルクというかバナー博士役も良かったマーク・ラファロと、豪華…というか、私好みのキャストが揃えられていたのと、マジシャンが銀行強盗をして、FBIと対決するというストーリーで、かなり期待していました。
長い間原題で期待していたのと、映画の最初と最後に出てくるロゴが恰好良かったので、原題のままが良かったです。

どんでん返しがあるタイプの話なので、できるだけ前情報無しで観たほうがおもしろいです。以下、ネタバレです。







まず、手品とクライムムービーを合わせるというストーリーがおもしろかった。
手品なんて、生で見るものだし、映画だとCGでも使えばどうにでもなるだろうと思っていたけれど、ちゃんとトリックの説明もあって納得がいった。けれど、少し、催眠術が便利すぎるかなとは思った。

手品のシーンはどれも恰好良かったです。最初、四人がそれぞれの持ちネタというか得意ジャンルで手品を披露しているシーンは、テンポの良い自己紹介も兼ねていた。
そして、四人が揃った手品シーンは、テレビ番組を模したカメラワークがきまっていた。上のほうからぐるぐると丸いステージの周りを囲むようにまわるカメラが大袈裟なほどダイナミック。最後の手品の時に、建物にプロジェクションマッピングをするのも流行がとりいれられていて良かった。最後に札が空中に舞うのも花吹雪のようで、華やかな舞台に見惚れて、結局まんまと騙されてしまった。
騙されたといっても、手品なんて騙されたほうが楽しめるし、途中でネタがわかってしまったら興ざめだし、失敗されても気まずい。これは、この映画についても言えることで、最後の最後でネタばらしというかどんでん返しがあるんですが、すっかり騙されていたため、それがとても心地よかった。途中で先が読めてしまったらつまらない。

この映画は予告編も非常に良くできている。予告に使われている映像はほぼ序盤の手品の様子なのがいい。あと、最初の自己紹介っぽい部分で個人が手品に失敗と見せかけるシーンがあるんですが、それが大事故やトラブルが本当に起こったようにされているのも、予告に緊迫感を与えていた。そして、さも、マジシャンの四人が主役であるような作りになっている。

マジシャン四人組について、過去が明らかにならなかったり、私生活についてもほぼ描かれていないなど、人物の掘り下げが少なかったのが残念だった。ただ、登場人物が多い部分がおもしろい映画だから減らしてほしくはないし、かといって掘り下げを各人についてやっていたら、映画の時間がいくらあっても足りなくなってしまうので仕方がない。華やかで映画的な見せ場も多い四人ですが、結局は脇役なのだと思う。

映画を観るまで、もう一年間くらい、マジシャンが銀行強盗をして、FBIと対決するというストーリーだと思い込んでいたのだ。
実際にマジックをしながら銀行強盗もした。ただそれは、黒幕に依頼されてのことだった。四人も自発的に集まったわけではなく、黒幕によって集められた。もうこれは、映画が開始されてすぐにわかることだけれど、黒幕が誰か、というのがわかるのは最後の最後だというのがニクい。

合間合間で、 FBI内でも内輪を疑うような発言がされていたり、モーガン・フリーマン演じるサディアスはいかにも怪しかったり、各所に仕掛けらた罠からやっぱりインターポールの捜査官(メラニー・ロラン)なのかなーなんて思っていたんですが、本当に意外なことに、マーク・ラファロだったときには、にやりとさせられた。端的に言えば、復讐の話でした。

一応、マジシャン四人が金を奪った三箇所にも筋道が通る説明がつけられる。四人もショーの最後に客に金をばらまいていたから、金が目的ではなかったのだ。

ただ、集められる前にはあれだけケチな方法で金を稼いでいた、特にメリット(ウディ・ハレルソン)とジャック(デイヴ・フランコ)は金儲けには興味は無くなったのかな。それよりは、アイの指令のほうに夢中になっていたのかな。

他にも、ちょっと無理があると思う部分もあったけれど、マジックだと思えば納得がいく。それに、一年間くらい期待に胸膨らませて、はちきれそうな感じで観たけれどおもしろかったということはおもしろかったんだと思う。
もしかしたら、贔屓目で観過ぎているかもしれないけれど。

去年の11/19に初めて情報を見た時の私のtweetを見ると、

J・アイゼンバーグとW・ハレルソンは銀行強盗には見えるけど、マジシャンには見えない。かといって、FBIにも見えないな。どっちだ。M・ラファロはマジシャンにも銀行強盗にもFBIにもなれそう。M・フリーマンとM・ケインは元FBI? M・ケインはマジシャンも似合いそうだけど。

と書いていた。キャストから誰がマジシャンで誰がFBIか予想しているのですが、半分くらい当たってる。というか、マーク・ラファロについて、かなり鋭い読みをしてた。

『グランド・イリュージョン』はキャストも豪華。
やっぱりマーク・ラファロはうまかったし、色気があった。無精髭がたまらない。
途中までのマジシャンに振り回されっぱなしの部分もいいし、最後のほうの正体をバラしてからのさびしげな顔も良かった。最初のほうは、マーク・ラファロっぽくない役だなとは思ったんですが、最後まで観て、なるほど彼らしい役だと納得しました。

ジェシー・アイゼンバーグはいつもと違って少しも童貞臭がしなくて戸惑う。しかも、最初のほうでは、ファンの女の子が部屋に押し掛けてきて、それを慣れた感じでかわしていた。でも、話し方はいつもの神経質そうな早口で安心した。
今回、彼がイケメンに見えるのは、ストレートパーマをかけてるせいじゃないかとも思う。劇中で久しぶりに会った過去のパートナーに、髪型変えた?と聞かれてるシーンがあるんですが、それがストパーのことなのかわからなかった。過去シーンがちょっとでも出てきたらおもしろかったのに。


デイヴ・フランコは『ウォーム・ボディーズ』のときよりも、ますます兄ジェームズ・フランコに似てた。下っ端の若造役。ウディ・ハレルソンが胡散臭い催眠術師役なのも似合ってた。

モーガン・フリーマンとマイケル・ケインは、違うシーンですが、二人とも屈辱的な顔をするのが良かった。

あと、別に好きな顔とかではないんですが、最近、観るもの観るものに出てくる人がここでも出てきていて気になった。『パーソン・オブ・インタレスト』『マン・オブ・スティール』『クロニクル』に端役で出てました。マイケル・ケリーという方らしい。

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