『トランス』


答え合わせを兼ねて、日本語字幕付きで二度目。どんでん返しがあるから二度目も楽しめるし、細かい、
でも重要な部分でわかっていない部分がいくつかあった。
以下、ネタバレです。




字幕なしでわからなかった部分ですが、まず、最初のほうのサイモン(ジェームズ・マカヴォイ)が、フランク(ヴァンサン・カッセル)と組んでたことをエリザベス(ロザリオ・ドーソン)に告白するシーン。ギャンブル中毒だったのもわからなかった。

あと、ヘアー関連のもろもろ。画集のページが切り取られたことと、エリザベスの毛が無いことが関連しているとは思わなかった。すごく重要な部分だった。
真っ裸でバスルームから出てくるシーンがあって、イギリスで観た時に毛が無いのでぎょっとしたんですが、そこに理由があるのが英語が聞き取れなくてわからなかった。
イギリスだとR18だったのはこのシーンのためかと思われますが、日本だとR15で股間にぼかしが入っていた。ぼかしが入るのは仕方ないにしても、なんで黒いぼかしにしちゃうのか。エリザベスが「好みはわかってるから準備してくる」と言ってバスルームへ行き、毛を剃るような音が聞こえていたし、あとから言葉 で説明されるから、ああ、あのシーンは毛が無かったのね…となんとなくわかりますが、ぎょっとすることがないのは残念。『ハングオーバー2』も同じですが、別に観たいわけじゃないけど映ってるとぎょっとするじゃないですか。だからR18のほうがいい。ソフト化されたときどうなるのか。

あとは、“BRING TO ME”。何を、と思ったら、絵のことだった。エリザベスは最初から仕向けてたのか…。

大筋はわかっていたとはいえ、結構重要な部分が理解できていなかった。いろいろとすっきりして、話が深く楽しめました。


逆に言えば、サイモンがどんどん印象を変えて行くのはセリフではなく、すべて映像で描かれている。ジェームズ・マカヴォイの演技力にまんまと騙されたわけです。

大体、マカヴォイが髭が無くて可愛い顔なのがズルい。最近わりともさもさと髭をはやして映画に出てるのに。あんなベビーフェイスでは信用してしまう。
しかも、序盤の、仕事を真面目にしていたり、ギャングに脅されているだけといった風だったり、素敵なセラピストに好意を抱いていく様など、感情移入してしまう。

しかし、彼の頭の中が少しずつ明らかになるにつれ、おかしな部分が見えてきて、感情移入できなくなっていく。それと同時に、ギャングであるはずのフランクがまともに見えてくる。最初はサイモンの味方として観ていて、フランク酷いヤツと思っていたけれど、途中から誰も信用できなくなってしまう。

エリザベスもエリザベスで、サイモンとフランクどちらにも良い顔をしていて信用ならない。しかも、彼女は催眠術で人の心を操ってしまうから、もうどれが本当かわからない。

そんな中でフランクとエリザベスが関係を持って、別れ際に「また会える?」と言うシーンがあるんですが、あそこだけは本当なのが際立っている。ここの照れるヴァンサン・カッセルがすごく可愛い。やっぱり恋に落ちるシーンはいい。初めて、フランクというキャラクターの感情がちゃんと見える。ここを境にして、頭の中で主役がサイモンからフランクへと徐々に変換されていった。この視点の変え方がうまい。

でもサイモンも、エリザベスのことが好きすぎ ただけなので、可哀想といえば可哀想。記憶を消されても、また好きになる、また彼女を選んでしまうというのが切ない。この面は、最近だと『オブリビオン』『劇場版銀魂』『ワイルド・スピード EURO MISSION』と同じ。本来ならロマンティックなのだけれど、ストーカー気質となると、少し意味合いが違うか。
あと、わりと序盤で、エリザベスが催眠状態を長く継続できる話をしていて、これはサイモンの状態ことを言っているのだなとわかり、二回目ならではの鑑賞をすることもできた。

催眠状態のサイモンが見ている映像(体験してること?)が独特で、夢みたいなものなのでファンタジー混じりなんですが、作りがとてもダニー・ボイルっぽい。
現実に起こったことと頭の中での創作が混じっていく。どこまでがホントでどこからがウソか、人の記憶のあやうさがよく表されている。
ガラス窓を叩くシーンが各所に出てきますが、これは、現実ではおそらく、心が遠くにいってしまったエリザベスの気をひくために叩いていた。執着心の現れみたいなものだろうか。
ガラスを叩くシーンは海外版の予告編で効果的に使われていたけれど、日本版では一瞬しか出てこなくて残念。
家に届けられた荷物をうきうきで開封する映像と、赤いアルファロメオに乗ってる女性がエリザベスに見えて混乱する映像が特におもしろい。確信に近づくにつれて、音楽も盛り上がって行く。サイモンと同じように、観客も高揚感を味わうことができる。

この映画に限ったことではないですが、ダニー・ボイル映画は音楽が恰好いい。凝った映像とよく合っていて、PVのようになっている部分もある。今回もその催眠術のシーンだけでなく、画像を見せながらCTで脳波を調べるシーンのデジタルっぽい曲も良かった。それで、誰かと思ったら、リック・スミス、アンダーワールドの人でした。そりゃ、いいに決まってた。

エリザベスはサイモンの記憶が蘇ったら殺されるかもしれないというリスクを冒して「私はあなたを助けられる」という話をもちかけたのは、絵のためなんでしょうか。最終的に絵を手に入れてご満悦っぽかったのでそうなのかな。

ラストシーンのボタンを押すか押さないか、押せるわけねえじゃねえかのヴァンサン・カッセルも可愛くてニヤニヤしてしまう。ヴァンサン・カッセルは『イースタン・プロミス』のドラ息子役も可愛かったですが、今作でかなり好きになりました。

ところで、ここでタブレット端末を届けにくる人が、サイモンの頭の中に出てきた人と多分同じなんですが、意味があるんだろうか? もしかして現実じゃないなんてことは…。

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