『ローマ法王の休日』


2012年公開。これも、予想していたのとだいぶ違っていた。
予告と“笑えて最後は少しほろりとする”という宣伝文句だと、もっとコミカルな感じを想像していた。コンクラーベによって選ばれた法王がその重圧からか、息抜きのために宮殿から抜け出して、市民とギャップコメディーを中心としたほのぼのとした触れ合いがあって、宮殿へ戻って職務を全うする。そんな話だと思っていた。なぜ、話が想像できていても観賞したかというと、ほのぼのとしたあたりが観たかったからです。

法王に選ばれたメルヴィルが逃げ出すところまでは正しかった。でも、笑いの要素は残された枢機卿たち側にしかなかった。法王がいると思っているので、影武者が法王の部屋の電気をつけていれば、嬉しそうにそちらに向かって手を振ったりしている様子も可愛かった。
特に、法王のカウンセラー役で呼ばれた精神科医が中心となっての国別バレーボール大会は可愛かった。人数の少ないオセアニアチームの得点シーンは感動してしまった。法王関連のことよりも、このバレーボール大会の瑞々しさが印象に残っている。
枢機卿に混じって奮闘する精神科医がキャラクターとしても結構良かったんですが、このナンニ・モレッティという方が本作の監督であり、脚本・製作もつとめていた。

法王側なんですが、元々役者になりたかったらしいんですね。それで、小劇団に関わったりするんですが、代役に立候補しても無視されてしまう。触れ合いもそれほど濃密なものでもない。表情もずっと暗いままだった。

ラスト、バチカンに連れ戻されて、演説をするんですが、結局、「私は法王にはなれない」という旨をみんなの前で伝えるんですね。期待に溢れた瞳で法王を見上げていた信者や枢機卿が泣き崩れて、THE ENDっていう。なんというか、バッドエンドっぽかった。
普通だったら、外の世界に出て、成長して、そこの演説ではありがたい話や就任する旨を伝えて、新しいローマ法王を受け入れて終わると思うんですよ。
出来ない仕事を出来ないとはっきりと言う強さを獲得したということでしょうか。悲痛な面持ちの演説と人々が悲しむシーンで終わるというのは、なんともヨーロッパ映画っぽいなとは思いました。

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