『ロンドンゾンビ紀行』


2013年公開。なぜか、“老夫婦が旅をしていて、立ち寄ったロンドンがゾンビにまみれていてたたかう”という内容だと思い込んでいたけれど違った。たぶんタイトルと、おじいさんとおばあさんが猟銃みたいなのをかまえているポスターのせいだと思う。実際は紀行でもなんでもないし、ロンドンといっても中心部の話ではないので、所謂ビックベンやタワーブリッジなどは出てこない。ロンドンらしいものといったら、二階建てバスくらいである。それで、ポスターに出ていた老人二人は夫婦ではなく、主役でもない。おじいさんのほうはある意味主役級ではありますが、おばあさんはあきらかに違う。

タイトルの原題は『Cockneys vs Zombies』。“cockney”というのはイーストエンドオブロンドンで使われている方言のような言葉のことらしいので、“cockneys”はその言葉を喋る人たち、下町っ子みたいな感じらしい。
このイーストエンドというのがロンドンの中でも貧困地区にあたるらしく、この映画の主人公の兄弟も、労働者階級の家で、両親も強盗で捕まっている。
背景を知れば知るほど、『ロンドンゾンビ紀行』というタイトルとあのポスターがいかに合っていないかがわかる。

ただ、最初に想像していたよりも面白かったので、文句は言いません。終わり方はややあっさりしていたけれど、ゾンビものは最後に収拾つかなくなることが多いし、仕方ない。ヘタに話を大きくされるよりは、これくらいでいいと思う。誤魔化されたこともいくつかありそうな気がするけど。
兄弟たちの銀行強盗についても簡単に許されていたけれど、ゾンビのほうが町の一大事だし、これも仕方ないでしょう。

その無理矢理まとめた感があっても、88分というトータルタイムもちょうどいい。説明を多くしたり、話の整合性を保つために描写を細かくしたら飽きてしまう。あっさりしているのがむしろ好印象です。

観る前までは存在すら知らなかった主演の兄弟がかわいい。弟役はハリー・トレッダウェイ。『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』の双子の一人です。この弟がちゃっかり者の甘え上手。「いつでも相手になってやるよ!」というセリフのあとに、「うちの兄ちゃんがな!」と付けて、兄が驚くというシーンがたまらな い。
むしろ、兄弟よりも気が強いくらいの従姉妹もかわいかった。今回、銀行強盗をしたりゾンビが襲ってきたりしてたけれど、このキャラクターたちの日常ももっと見たかった。
おじいさん組も勇ましかったし、このキャラクターたちで続編が観たい。Cockneys vsシリーズを作ってはもらえないだろうか。

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