『シュガー・ラッシュ』


2013年公開。AKB48による挿入歌が使われていると聞いて、洋画のエンディングに日本語の曲が使われているだけでもいやなのに作中に出てくるとなると…と思って映画館には行かなかったのでレンタルに。
そこが一番の懸念だったんですが、どうせ吹替で観てしまったし、映画中に出てくる部分は日本語らしい日本語はなかった。エンドロールは思いっきり日本語歌詞でしたが、曲調がちゃんと世界観を壊さないようにそれっぽく作ってあったので、逆に好印象でした。

ストーリーについては公開時より好評だったために心配してませんでした。おもしろかった。気は優しくて力持ちなゲームの悪役のラルフが主人公。
本当はラルフが出ているゲームの主人公、フェリックスがこの映画の主人公だったらしい。それで、ラルフももっとビーストっぽい外見だったらしい。フェリックスとラルフが出るゲームはドンキーコングをモデルにしているらしいので、ビーストというかはっきり言ってゴリラみたいな感じだったんでしょうね。

未公開シーン集を見ていると、そのほとんどにフェリックスが出てきていた。ラルフとヴァネロペと三人で冒険するシーンもあったみたいだけど、出番が大幅にカットされたのがわかる。主人公の座も追いやられて散々です。でも、彼女?もできたし、映画中唯一のロマンスシーンを演じているので結構いい役だと思う。

ゲー ムセンターのある現実世界、フェリックスとラルフのドットを使った古いゲームの世界、カルホーン軍曹の最新FPSゲームの世界、ポップなマリオカートのようなレーシングゲームの世界と、まったく違う世界を話が行き来する。それぞれの世界の特徴にこだわりが感じられて観ていて楽しかった。
ドット世界はモブキャラの動きもカクカクしていて、四角がモチーフになっていた。FPSゲームの世界は暗く恐ろしげ。ヘルメットをかぶっていて顔が見えないため、敵味方をヘルメットから漏れる光で区別したとのこと。
そして、なんといってもお菓子でできたレーシングゲーム、シュガー・ラッシュの世界がとても楽しい。ティム・バートン版『チャーリーとチョコレート工場』を思い出した。絶対に健康に悪い毒々しい色づかい。それぞれのお菓子、特に飴の質感が素晴らしい。熱いうちに伸ばしたときに入る筋、透き通った飴の艶とわずかに入った気泡。アイスをスクープですくった感じもうまく作ってあった。
なんと、建物などは現場で実際に作ってみたというからすごい。ちなみに、ガウディの建築デザインを参考にしたらしいです。

未公開シーンを観ていると、シュガー・ラッシュの世界から逃げ出したラルフが行くもう一つのゲームがあったらしい。たぶん、facebookのような感じで複数の人からいいね!の代わりにメダルがたくさん貰える、ゲームというか承認欲求が満たされ楽な生活ができる仮想空間のようなものだろうか。でも、これ以上世界を作るのは大変ということでまるまる無くなったとのこと。

ゲームセンターのたこ足配線の中が駅のようになっていて、コードを伝って来た様々なゲームの登場人物でごった返していた。このアイディアは夢があって楽しかった。これはニューヨークのグランドセントラルステーションの近くで打ち合わせをしているときに浮かんだアイデアらしい。画像を見ると、確かにそのまんまなのがおもしろい。

ラルフは住民たちに持ち上げられてビルから落とされるけれど、持ち上げられたときに画面越しにちょうどシュガーラッシュの筐体が見えて、ヴァネロペとアイコンタクトを取ることができるというラストが良かった。悪役をやっていても、心がうきうきするようなことがあるなら幸せでいられる。


これは、もしかしたらBlu-rayだけの特典なのかもしれないけれど、一時停止をすると、画面が切り替わって作品の豆知識が始まるのがおもしろかった。ディズニーインターミッションと言うら しいので、もしかしたら、他のディズニー作品にもこうゆう仕掛けがあるのかもしれないけれど、私は今回初めてだったために驚いた。
隠れミッキーがありますよとか、セントラルステーションにいるカメオ出演しているキャラの説明とか、ちらっと映る肖像画に描かれている人物とか、エンドロールの最後に画面が崩れた時に出ているアルファベットの秘密とか、壁の落書きに書いてあることとか、キャンディ大王が金庫を開けるときに上上下下左右左右BAのコナミコマンドを実行してるとか。ストーリーとは関係のない、でも知ってるとちょっと楽しいお話。映画内に細かく仕掛けられた事象をBlu-rayの仕掛けで説明するという遊び心が良かった。

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