『ペントハウス』



2012年公開。アメリカでは2011年公開。
お金持ちの元で働く者たちの反乱という情報しか知らなかったため、なんとなく、反乱を起こすのはお手伝いさんたちなのかと思っていたら、ベン・スティラーがきっちりした恰好で出てきたので驚いた。お金持ちが住んでいるのはマンションの最上階(ペントハウス)で、ベン・スティラー演じるジョシュはそのマンションの従業員だった。高級マンションの、更に役職がマネージャーのため、ちゃんとした恰好だったのだ。

雇い主が従業員の年金まで横領していたため、その金を取り戻そうとする。ジョシュ一人では…ということで、マネージャーの人脈を生かし、人を集めて行くのだが、その仲間たちが豪華。ジョシュの妹の夫であり、マンションのコンシェルジュのチャーリー役にケイシー・アフレック。アホの役の演技が秀逸。新入り従業員エンリケ役にマイケル・ペーニャ。『アントマン』と『火星の人』の映画版『オデッセイ』の出演も控えていて楽しみ。マンションの住人で、株に失敗し退去を命じられたフィッツヒュー役に『プロデューサーズ』のマシュー・ブロデリック。

ベン・スティラーが主演だから、製作や監督など、彼も何かしらに関わっているのかと思い込んでいた。ベン・スティラー、ケイシー・アフレック、マイケル・ペーニャ、マシュー・ブロデリックを並べてみてもわかるように、ひょろひょろしていて緊迫感がない。多分、このメンバーでわちゃわちゃと会話をしながら、最上階を目指して行くコメディなのだろうと思っていた。キャラクター同士のやりとりを中心に楽しむ、スモールバジェット映画。

ところが、ジョシュの隣りの家に住んでいて、幼馴染みのスライドがメンバーに加わって雰囲気がガラッと変わる。スライドを演じたのはエディ・マーフィ。彼が加わることで、お金を取り戻しに行くのが、盗みに行くような装いに逆転し、一気にまるで集団クライムムービーのように変化するのが面白い。

もちろんやりとりも楽しいのだ。特にエディ・マーフィは早口で汚い言葉をまくしたて、他のキャラクターを圧倒していた。そして、原案も彼らしい。ベン・スティラーは関わっていなかった。

中盤の、ビルから車を下ろすアクションも本格的だった。犯罪集団ではないので、手際が悪いのも特徴的。特に、フィッツヒューのアクション面での役立たず感は愛しい。
ビルの下の通りではサンクスギビングのパレードをやっているとか、エレベーターの上にいるけれど子犬も抱えていて…というような、ハラハラ具合もよく考えられている。途中で裏切った奴が間一髪のところで助けに来るのもいい。

監督はブレット・ラトナー。『ラッシュアワー』『X-MEN:ファイナル ディシジョン』『ヘラクレス』などを監督していて、なるほど、アクション要素がしっかりとしていたのも頷ける。

ラストは、救ってもらったみんながジョシュの釈放に向かって奮起するような、もう一騒動が欲しかった気もする。それでも、ジョシュ自身が満足げな表情を見せていたしいいのかな…。それとも、あれ以降は各々で考えてくださいということだろうか。
もう一アクション、スカッとしたものが見たかったとも思う。



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