『ジュラシック・ワールド』



『ジュラシック・パーク』シリーズの四作目。私は過去作を一つも観ていないのでわかりませんが、映画を観た感じと、解説などを読む限りでは、観ておいたほうが楽しそう。話がわからなくなることはないのですが、作品内のルールがわからない部分もあった。

あと、公式が作ったジュラシック・ワールドという架空のテーマパークのサイトhttp://jp.jurassicworldintl.com/が凝っていて楽しい。ただ、ジュラシック・ワールドを所有しているマスラニ社のサイトにもリンクがはってあるけれど、こちらは日本語版なし。せっかくなら、こちらも日本語サイトがあるとおもしろかった。
映画を観る前に、マップなどをつぶさに見て頭に叩き込んでおくと、位置関係などがわかりやすい。

以下、ネタバレです。







過去作は観てないけれど、恐竜が逃げ出してパーク内の人々を襲うということはなんとなく知っていた。今作では、最初のほうではスタッフなどが安全を売りにしていたし、いつもと変わらぬ日常を過ごそうとしていた。でもきっと、今回も逃げ出すのだろうとは思っていた。そうしないと話が動き出さない。だから、序盤は少し退屈でした。

それで、遺伝子操作され、お客さんのニーズに合わせて作った凶暴な恐竜が飼育小屋から逃げ出した?となったときに、やっと来た!と思った。しかし、その時は逃げておらず、かく乱して扉を開けさせるという小技を使ってきた。

あとは、パーク内でその凶暴恐竜を捕獲しようとする、それだけの話です。単純明快。いろんな恐竜が出てくる。

最初はパークのお客さんには被害は無かったけれど、プテラノドンのような飛ぶ恐竜を飼育してる施設が破壊されて空から襲いかかったときに、やっとディザスタームービーっぽくなってきたと思った。けれど、そこでモブではない、名前のある登場人物が無惨とも言える方法で殺されてしまい、わくわくしていた気持ちが一気に沈んでしまった。

クリス・プラット演じるオーウェンはヴェロキラプトルと心を通わせようとしている。サーカスのライオンに芸を仕込むように、うまくいったらエサをあげたりしていた。あの、有名な“待て”のシーンを見てもわかるかと思う。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』よりは少し太った感じ。ただ、恐竜と心を通わせるというような野性的な役がよく合っていた。

クレアというパークの運営管理者の女性が出てくるんですが、彼女もオーウェンと一緒に捕獲に乗り出すことなかったのにと思ってしまった。どこか、安全な場所からオーウェンに指示を送るくらいで良かった。もちろんあの、スーツっぽいかっちりした服が乱れていく様とか、針金のようにぱっきり伸ばした髪の毛が湿気により元の天然パーマに戻っていく様が好きだという気持ちもわかる。ピンヒールで走り回る様がいいのかもしれない。でも、私はよくそんな恰好で足手まといにならなかったなとしか思わなかった。

もちろん彼女には、最後にTレックスを出すという重要な仕事があった。でもこれだって、管理棟の中にいて、Tレックスの格納庫みたいなところをボタン一つで開ければ良かった。明かりを持って走るのはオーウェンでもいいし、相棒的な役割のバリーでも良かった。

バリーを演じたのがオマール・シーだったんですが、体も整ってて恰好良く動けそうだったわりに出番が少ない。オーウェンとバリーが捕獲に乗り出して、クレアは後方支援にしてほしかった。どう考えても、現場に出る恰好ではない。シャツを開いて腕まくりしたって大して動きやすくなったようには見えなかった。

甥っ子二人を自分の手で見つけたかったのかもしれないけれど、後方支援のほうが充分に役立てたはず。現場に出たクレアは足手まといにもならず活躍もせずだった。

そもそも、オーウェンはなぜクレアのことが好きだったのだろうか。ああいうワイルドな男性は、恋愛よりも仕事!みたいなツンとしたキャリアウーマンにひかれるものなのだろうか。
巨大な恐竜の捕獲をしているから相手に対する気持ちの動きみたいなものは描かれないけれど、キスシーンだけは二回も出てくる。恋愛要素自体がいらなかったと思う。クリス・プラットには似合わない。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のような飄々としたものは良かったけれど。

恋愛要素はなしで、もっと兄弟メインにしてほしかった。恐竜大好きの弟さんも可愛かったし、お兄ちゃんがどんどんしっかりしていくのがいい。結局、こんなことがあって、両親が離婚するのかしないのかはわからないけれど、これだけしっかりすれば、安心して兄に任せられると思った。オーウェンに懐きかけてたし、オーウェン+兄弟だけで良かった。

最終兵器としてTレックスを放ったときは、そういえば出てきてなかった!という驚きとともに気持ちが盛り上がりました。巨大恐竜同士の戦いは、去年公開されたギャレス・エドワーズ監督の『GODZILLA ゴジラ』を思い出した。
そういえば、最初のインドミナス・レックスのチラ見せ具合や、擬態から急に襲ってくるところなども手法が似てるといえば似ている。

Tレックスは結局インドミナス・レックスを食べ損なったけれど、近くにいたクレアたちのことはなぜ襲わなかったのだろうか。また、人間が全員逃げた島でギャオーと吠えるTレックスは恰好良かったけれど、そのままでいいのだろうか。
プテラノドンとか飛べる恐竜たちは近くのコスタリカなどへ辿り着いてしまいはしないのか。

私は本作が初めて見るジュラシックシリーズなので、Tレックスは味方であって訓練によって人を襲わないとか、何か知らないルールがあるのかもしれない。けれど、知らないままだと、話のたたみ方が雑だと思ってしまった。それとも続編前提でたたんではいないのだろうか。もし続編をやるなら、もっとオマール・シーの出番を増やしてください。

このTレックス、首の傷がやたらと映ったのですが、これは『ジュラシック・パーク』に出てきたのと同じ個体であると示すものだったらしい。
途中で、朽ち果てた、まるで廃墟のようなジュラシック・パークの残骸が出てくる。20年前云々という話が出てくるけれど、実際に映画が公開されたのが1993年とほぼ20年前である。
これは、公開時に観ていた人にとっては感慨深いと思う。

ルールなどの確認のため、近いうちに『ジュラシック・パーク』を観てみようと思っているが、どうしたって、20年前に観た人の気持ちにはなれない。羨ましい。


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