『ミニオンズ』



日本だと怪盗グルーシリーズとでも言うべきなのか、『怪盗グルーの月泥棒』『怪盗グルーのミニオン危機一発』(原題だと『Despicable Me1&2』)に出てきた、グルーの手下であり相棒であり友達でもありそうな謎の生物ミニオンを主役にしたスピンオフ。

以下、ネタバレです。








まず、冒頭のユニバーサルのロゴが出てくるシーンのファンファーレもミニオンが歌っていて、最初っからニコニコさせられた。

ミニオンの起源に迫る…というようなふれこみだったけれど、起源に迫るというか、謎生物なことには変わりなかった。ただ、恐竜の時代のもっと前、生命の誕生と共に誕生してたっぽい。起源はあまり関係なかった。
ただ、彼らの習性として、ボスを見つけて崇めるというものがあるらしい。恐竜や原始人、中世の吸血鬼、ナポレオンなどいろいろなものをボスにしていたけれど、ボスがいない状態だと、何もかもにやる気が出ない。
そのため、ミニオンのケビンとスチュワートとボブが、全員が仕えるボスをさがしに出かけるという話。
三人の冒険が中心となっている。

三人は1968年のアメリカに流れ着く。そういえば、映画の最初から、タートルズの『HAPPY TOGETHER』が使われていたけれど、ローリング・ストーンズも使われていたし、ヒッピーがデモ行進をしていた。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムジャケットで有名なバナナを思わせる柄のワンピースを着た女性も出てくる。バナナが好きだから、ボブがついていっちゃうのも面白い。
三人は新しいボスにつれられてイギリスへ飛ぶんですが、そこでもキンクス、ザ・フー、ドアーズなどが使われていた。
下水からAbby Roadと書いてる矢印を伝って上に出ようとしたときに、ビートルズが出るのかなと思ったら、マンホールの上を踏みつけるビートルズの足だけが映った。
また、エディ・ヴァン・ヘイレンのようにギターを弾いた後に叩き付けて壊すシーンもあった。
主に音楽なんですが、60年代後半音楽ネタがかなりちりばめられているのも良かった。

イギリスに渡ってから、ロンドン塔に忍び込んでごたごたやるシーンなどは、なんとなく『ザ・マペッツ2/ワールド・ツアー』を思い出した。可愛い謎の生物が盗みを働くのが似ている。また、犯罪ではあるけれど、ばれるの?ばれないの?というようなヒヤヒヤが少なく、それほどシリアスではないあたりも似ていると思う。

紅茶を飲みながら追いかけてくる警官、ニュースキャスターも番組中に紅茶を…という国の偏見ギャグみたいなのも、『ザ・マペッツ2』にも出てきたことを思い出した。パブで文句を言いながら腕相撲しているのも国偏見ギャグかな。

スカーレットの夫、ハーブの作ったおもしろ道具(というか、盗みに使う武器)も個性的だったし、スカーレットの武装ドレスも恰好良かった。巨大化するケビンも良かった。

実は、最初の“ミニオンたちがボスをさがす旅に出かける”という時点で、もしかして…と思ったことがあった。現在はミニオンはグルーに仕えているわけで、この映画はグルーに仕えるところまでやるのだろうか。映画を観ている最中、ずっとそのことを考えていた。

話がクライマックスらしき部分に突入するとどきどきしてしまったんですが、悪党たちが謎の武器により氷漬けにされたところで、ついに来たと思った。
グルーさん登場である。しかも、少年時代のグルー。だから、舞台が1968年だったのだ。

怪盗グルーを観ていれば、少年時代のグルーがいかに孤独なのかわかる。それが、やっと、ここでミニオンたちと出会ったのだ。友達ができた。多少意地悪ではあるけれど、独りきりとは比べ物にならないくらいに幸せだろう。

また、この映画でミニオンたちがついていったスカーレットは結局、単なる悪党だったけれど、グルーの場合は、過去作を観ていれば、本当はいい奴なのがわかる。だから、私たちはミニオンがグルーについていけば、これからも楽しく過ごせることを知っている。何の心配もない。これが本当のハッピーエンドだ。
孤独なグルー少年を救ってくれてありがとう。友達ができて良かった。これから長い付き合いになる。

この映画はミニオンの起源の話ではない。確かにミニオンたちの話だけれど、スピンオフとはいえ、怪盗グルーシリーズと地続きである。
結局のところ、描かれているのはグルーとミニオンの運命の出会いだった。

この先ひねくれるんですが、少年時代のグルーは素直で、エンドロールでミニオンたちと一緒に歌ったり踊ったりいたずらしたりという様子が可愛い。心から楽しそうな姿を見て、本当に彼らが出会えて良かったと思った。

誰が担当しているのかわからないまま吹替で観ましたが、違和感無く見られた。最後に声優さんなどの名前が出る中、芸能人の名前も混じっていたけれど、全員うまかった。
特に、悪党一家のお父さん役がバナナマンの設楽だというのに驚いた。声優さんだと思っていた。おそらくミニオンの好物がバナナだからという安直な理由でキャスティングされたのではないかとも思われるが、大正解である。

ミニオンたちは何語だかわからない言葉(ミニオン語?)を話すが、途中途中で英語っぽいのも混じっているため、きっと日本語吹替もなにもないだろうと思っていた。けれど、ところどころ、ナカマ(仲間?)、サヨナラなど日本語が混じっているようにも聞こえた。
おとぎ話という言葉を聞き間違えて「オトギバナーナ!」と言うシーンで明らかに日本語なのを確認した。イギリスも、英語ならイングランドである。ミニオンについても、ちゃんと日本語吹替版なのだ。
調べると、ちゃんとベテランの声優さんが吹替えていた。すごい。凝っている。(『怪盗グルーのミニオン危機一発』でもそうだったらしい)ちなみに原語版だと、監督がミニオン全員(899人…)の声をやっているらしい。

真田広之がナレーターなのですが、彼は字幕版で相撲取りの悪党みたいな人の吹替もやっているらしい。
字幕版では、スティーヴ・クーガンとジェフリー・ラッシュという好きな俳優が声優をつとめているそうなので、そちらも気になります。
あと、今回2Dで観たんですが、エンドロール中の映像が、3Dのほうが絶対に楽しそう。そういえば、怪盗グルーシリーズでも、エンドロール中にミニオンの3D機能をうまく使ったいたずらがありましたよね。

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