『サプライズ』



2013年公開。監督は『ザ・ゲスト』のアダム・ウィンガード。
アニマルマスクの三人組が殺しにくる。家に何者かが侵入してくるホーム・インベージョンというジャンルになるらしい。

父と母の35周年の結婚記念日を祝うために、子供たち四人がその妻や恋人をつれて別荘へ集まる。隣りに家(それも別荘?)はあるものの、人里離れた森の中のようだった。
そこへ、トラ、ヒツジ、キツネという奇妙な動物のマスクをかぶった人物が侵入し、家族を次々に殺していく。

あまりホラー映画を好んでは観ないのですが、なんとなくのおしゃれさと、どんでん返しがありそうな雰囲気だったので観ました。

タイトルが『サプライズ』だったし、結婚記念の祝いのドッキリみたいな意味でのサプライズかと思った。両親以外の人たちはみんな知っていて、殺されたフリをしているだけで、全部嘘かと。
某映画(タイトルを書くとネタバレになるので書きません)のように、ホラー映画を模した違うジャンルになるのかと思った。
しかし、最初の被害者こそ、窓の外を見てたら、ボウガンで襲撃され額を射抜かれるという、細工しようと思えばできそうな殺され方だったのに対して、他の被害者は喉をかっ切られるなど、どう見ても殺されていた。かなり無惨な殺され方をした人もいた。
原題は『YOU'RE NEXT』、“次はお前だ”ということで、ホラー映画でした。

そうなると、奇妙なマスクの中身が気になる。
わざわざマスクをしているということは、家族の誰かなのだろうと思った。四人兄弟とパートナー+両親で10人と全体の人数が多すぎるのも気になった。この中で一人消えていてもわからないのではないかと考えた。
けれど、どう考えても全員揃っている場面でマスクが出てきたりして、凝ったトリックでもやらないと、マスクの中身が家族ということはなさそうだった。

結果的に家族ではなかった。マスクをとって、はっとするようなシーンは無かった。では、なぜマスクをしていたのだろうか。
殺人犯というものは、顔を見られたら困るのでマスクをしているものなのかもしれない。でも、皆殺しにするべく来たみたいだったし必要だったのだろうか。

ただ、映像的には効果があったと思う。中身が誰だかわからないというのは不気味である。それに、トラ、ヒツジ、キツネのマスクの殺人者など見たことがない。しかも、動物であってもコミカルな造型ではないからスタイリッシュなのだ。
このマスクが、私がこの映画をなんとなくおしゃれな雰囲気だと思った原因だろう。

途中から、中の一人が反撃に出る。殺すか殺されるかという場面だから仕方ないとは思うけど、一人でどんどん殺していく。犯人とさほど変わらない残酷な方法もとっていた。
最初は、恋人といちゃいちゃしてたし、ただの若いお姉ちゃんかと思ったら思わぬ才能でした。

隣りの家の人たちは、結果的になんで殺されたのかよくわからなかったのですが、殺される前にCDの一曲をリピート再生していた。Dwight Twilley Bandの『 Looking For The Magic‬』‪(1977年) ‬という、踊りたくなるような楽しい曲。それが、死体のある部屋で、もう生きている人間はいないのに、ずっと流れ続けているのは不気味。

その曲はエンドロールでも流れる。登場人物の名前が出て、それぞれの死に様のポラロイド写真(おそらく、到着した警察が撮った証拠写真という設定?)が横に付いていたのは笑って良かったのかもしれない。

映画の公式サイトでもこの曲が流れるのですが、DISC REPEATと書いてあって、映画を観た人だけがニヤリとさせられる。けれど、夜に聞くとちょっと怖いのも映画を観た人だけです。




0 comments:

Post a Comment