『コードネーム U.N.C.L.E.』(二回目)



二回目で気づいたこと。音楽の使い方について。
以下、ネタバレです。







ベッカムがカメオ出演しているとのことでしたが、一回目の時はその情報を観てから聞いたため探しもしていなかったんですが、聞いてから観ると、確かにベッカムだった。序盤の、クリヤキンがKGBで上司からナポレオン・ソロの説明を受けているシーンの映写技師役です。一回目に観たときには、この上下間違えるの必要?と思っていたんですが、なるほど、必要でした。

この場面でもそうなんですが、場面が変わった時のテロップや、イタリア語ロシア語ドイツ語など、各国の英語字幕が同じフォントで黄色と統一されている。ぷくっとしていて、自己主張が強く、目をひく。きっちりと統一した意志を感じる。

60年代が舞台ということで、最初だけ映りがガサガサした触感というかフィルム調になっているように感じた。ソロがギャビーに会うあたりからは普通の映りになっていたので気のせいかもしれない。

金網をそれぞれのスパイ道具で開けるシーン、クリヤキンが得意げになっていますが、その前日の朝に、お互いの盗聴器についての応酬のシーンがあるんですが、These.are.American-made.と嫌味たっぷりにいったあと、ローテクという言葉も付け加えていた。ここを受けてのシーンでもあると思う。CIAのほうが、ガジェットでは劣っているのだ。

前回、後半の潜入シーンは、前半に潜入シーンがあるから省略してその後のド派手カーチェイスを見せ場にしたのだろうと書いたんですが、前半の潜入シーンも省略されていた。
ただ、それも「俺は上の階から見るからお前は下の階から」と分担するんですね。で、分かれた一人一人を分割した画面で見せる。それで、結局何も見つからない、というシーン。見つからないのだから、きっちりとやらなくてもいい。
ここでも、おそらく見せたいのはこの後なのだ。“ザ・キス”という立ったまま気絶させるよくわからないKGBの裏技もそうだろう。ただ本当に見せたかったのは、金庫やぶりからボートチェイスなのだと思う。

普通、停電も復旧して、追われながら金庫を開けようとするならば、音楽も緊迫したものになるだろうし、開ける側も焦ると思うのだ。けれど、ソロは悠々お喋りをしながら作業をしているし、かかっている音楽もフラメンコのような優雅でセクシーなものだった。まるで、女性の服を脱がすようにして金庫を開いていく。開けられるの?開けられないの?というヒヤヒヤよりも、どうせ開けますから、それを前提として、別の部分を見てほしいと言われているようだった。

その後のボートチェイスも、その流れでか、音楽がマカロニ・ウェスタンなのがおもしろい。

更に流れで、ソロが一人、車でつけたラジオから流れるのも、イタリア歌謡だ。朗々と歌い上げられるのは、69年のイタリア映画『ガラスの部屋』のテーマ曲らしい。車の中でワインやパンなどを食べるのには合うが、この音楽は水に沈んだクリヤキンを助けるシーンでも流れ続ける。車のまま水へ突進し、ボートごと沈むが、その車のライトが沈んで行くクリヤキンをとらえる。不思議と音楽と合っていて美しいシーンだ。
ここも、この映画は前日譚だし、どうせ二人が死なないことはわかっているでしょ?とでも言うようだった。ハラハラには重きが置かれていない。

同じ音楽が流れ続ける中、いろんな場面に切り替えられるという手法は拷問のあたりでも使われていた。普通はピンチっぽい緊迫した音楽が流れると思うが、ここではドラマティックで哀愁が漂う曲が使われていた。拷問だけではなく、ヘリに乗せられるギャビーなども同じ音楽の中で描かれる。

その後の、二人が話し合っていて、背後でピントの合っていないルディが燃えているシーンも、音楽自体が呑気なもので、話し合ってはいるものの、二人にとってはルディがどうなろうと特にどうでも良いのだなというのがわかっておもしろい。そもそもピントが合っていないというのが酷い。そして、燃えてしまっても、ソロも自分のジャケットのことしか気にしていなかったのも酷い。

序盤の西ドイツへの逃亡シーンと、最後のカーチェイスは緊迫した音楽が使われていた。けれど、緊迫しすぎないというか、適度に緩めて、変わった音楽がチョイスしてあるのがこの映画がおしゃれになっている所以だと思う。普通、主人公の一人が水に沈んで行き、もう一人が助けるというシーンでスローテンポのイタリア歌謡は流れないだろう。歌い方からも想像はつきましたが、もちろんラブソングです。

ちなみに、ラストで「イスタンブールへ行ってこい」という指令を受けて、続編か!と思いますが、決まってはいないようだ。テレビシリーズの第一話の舞台がイスタンブールらしいので、そこへ続くということらしい。
最後の各キャラプロフィールで、ソロがギャンブラーとかまだ出てきていない設定も書いてあったけれど、これもテレビドラマ版のキャラの設定なのだろうか。
続編が観たいので、“the man from uncle,sequel”などで検索をかけてみましたが、ヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマーが是非やりたいと言っているニュースだけで、特に情報はありませんでした。

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