『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』



前作が今年5月公開だったので、半年経たずに続編の公開になった。アメリカでは前作は2014年9月だったようです。本作はアメリカでは先月公開だったようなので、アメリカの人のほうが待たされている。前作のラストでは何も解決されなかった…というか、解決されたと思いきや、ラスボス登場で続く!という感じだったので、公開がはやかったのは嬉しい。
前作とはだいぶ種類の違った作品になっています。また、三部作とのことで、今回も終わりません。けれど、今回はアメリカとほぼ同時公開のため、前作のように最後に予告が入りません。一応、アメリカで2017年公開とのことなので、次作はだいぶ待たされそう。

以下、ネタバレです。前作のネタバレも含みます。









この映画のポスターなどには、「第2ステージへ…」と書いてあったのと、タイトルから今回は砂漠の迷路を抜け出す話なのかと思っていた。
しかし、第2ステージというよりは、第2〜第6ステージくらいまであった印象。また、下水などは少し迷路っぽくはあったけれど、基本的に迷路ではないです。常に何かから追われているため、走るシーンは多い。
原題は『The Scorch Trials』。荒れた地で大変な目に遭うというような意味のようです。確かにそんな感じでした。迷宮ではない。

前作は、主人公が送り込まれた謎の閉じられた場所とその周囲の迷路のみが舞台だった。『ソウ』のような感じで、記憶をなくした主人公が閉じ込められた場所から逃げ出そうと知恵を絞るうちに、少しずつ全貌が明らかになるという流れ。主人公は一人ではなく、仲間と力を合わせるのがおもしろかった。その仲間たちのキャラクターがそれぞれしっかりしていたのも印象的。前作はその迷路から抜け出したところで話が終わった。
抜け出しちゃったし、続けられるのかとか、抜け出した先もまた更に巨大な迷路で覆われているのではとか考えたけれど、結局迷路ではなかった。

今回は前作のような閉じられた世界ではなく、外へどんどん出て行き、場所も変わって行く。仲間と一緒に移動し、その先で困難を克服し、また新たな仲間に出会い…という流れから、なんとなく冒険映画っぽくもあると思った。最後に集落が焼き払われるところから『ホビット』も思い出した。ドラゴンなどは出てきませんが。
好みではあると思うんですが、私は前作のシンプルさが好きだったので、今回は世界が広がりすぎかなと思ってしまった。

あと、原作がヤング向けの小説なので仕方が無いけれど、前回以上に主人公補正が強烈にかかっていた。
最初の施設も、迷路を抜け出した精鋭たちを集めているにしては、まったく閉じ込められていなくてどうしたものかと思った。あの施設を抜け出すメイズ・ランナーでも良かったのではないか。それくらい要塞めいたものになっていて欲しかったのに。
まず、個室からダクトを伝って外へ出られてしまうのがおかしい。別の部屋にいたエリスも簡単に行き来していた。部屋から抜け出してからも、最後の扉が鍵も何も閉まっておらず、手動で開けられてしまうのもどうかと思う。
あれだけ執拗に追って来たということは逃がしたくなかったのだろうし、だったらもっと厳重な施設であるべきだと思う。

また、今回は主人公のトーマスが一人で新たな仲間と行動するシーンが多かった。大人も多数出てくる。かつての仲間が個々で活躍する、前作にあったようなシーンが少なくなっていた。前作の最後で、意地悪キャラのギャリーと可愛がられキャラのチャックが死んでしまい、次作でも活躍できそうなのに残念だと思っていたけれど、引き続き出ているニュートやミンホも今回それほど出番がなかったので、これ以上増やしてもどうしようもなかったと思う。本当だったら彼ら二人の活躍をもっと見たかった。
ただ、本作はミンホが連れ戻されるところで終わるため、次は仲間たちも存分に活躍するのではないだろうか。
連れ戻されたミンホを助け出すということは次作こそ施設を舞台にするのかもしれない。そうなると、やっぱり今作は外へ出て行かなくてはならなかったのだ。
それか、今作は折り返しのような作品になるのかもしれない。次はここから施設へ戻って行く話。追っ手はいないけれど、施設に辿り着かせないための障害は用意されているかもしれない。

今回、クランクという呼び方をされているんですが、どう見てもゾンビが出てくる。荒廃した世界のウィルスによって感染した一般人なんですが、うめき声や人間を襲い食らう様、また、噛まれた人間はクランクになるという条件からして、ゾンビです。走るタイプのため、映画の大部分で、ゾンビから逃げ惑うシーンが出てくる。そのため、ほぼ、ゾンビ映画のようになっている。仲間が噛まれ、クランクになってしまい、人間の心が残っているうちに自殺をするシーンの切なさは、そのまんまゾンビ映画のそれである。
また、トーマスの血清から抗体を作る?というようなことを言っていた。トーマスが特別な存在というのはまたヤング向け小説にありがちな主人公特化補正であるが、トーマスが追われている原因がゾンビになった人間を治すためなら、もうこれは三部作が終わったときに、結局これ、ゾンビ映画だったのでは…ということになりそう。
今作を見る限り、荒廃した世界そのものよりもクランク(ゾンビ)が脅威であるようだった。クランクと戦う、もしくは治療することがこの物語の最終的な目的だと思う。迷路を抜け出すことが目的ではなかったのだ。

かといって、主人公補正、ゾンビ映画、迷路じゃない諸々で別につまらなかったというわけではない。前作とはトーンが違うけれど、これはこれでおもしろかった。軽い気持ちで見られる。ニュートとミンホがもっと活躍してほしいというだけです。まだ先ですが、次作も楽しみにしています。


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