『裏切りのサーカス』


試写会にて。原題の『Tinker Tailor Soldier Spy』でイギリスで予告が公開されたときからずっと気になっていて、日本での公開をずっとずっと心待ちにしていました。スマートでどこかあやしい雰囲気の予告は何度観たかわからない。邦題が『裏切りのサーカス』に決まったときにはずっこけたけど、もう慣れた。ポスターもしびれるし、トム・ハーディ、ゲイリー・オールドマンというクリストファー・ノーラン映画に出てる好き俳優は出てるし、コリン・ファースも好き。
期待しすぎた状態で実際に映画を観るとそれほどでもなかったとがっかりすることが多いので、観る前に自分の中であんまりハードルは上げないようにしているのですが、もうこの映画ばかりは仕方ないです。上映前に会場内に流れていたサントラとおぼしきものを聴きながら、期待値を極限まで上げて臨みました。


それで、どうだったかというとすごく面白かった! けど、私が感じた通りの結末で良かったのかどうかわからない!
終わったあと、会場内がざわざわしていました。これは確かに人と話したくなる。気がつけば歯を食いしばっていたくらい、必死になって観てましたが、残念ながら100パーセント理解できた自信はないです。

映画が始まる前にもらったチラシに、“登場人物と相関図と簡単な用語を頭に入れておいたほうが話がスムーズにわかる”というようなことが書いてあったのでたたきこみましたが、これは正解だった。登場人物が多いので、ぼんやりとでもわかっていたほうがいいと思われます。例えば、“コントロール”が人の名前だっていうのも、知らないと字幕を読んだときに混乱するかもしれない。あと専門用語というか韻語…、例えば“サーカス”と言っても、一般的な意味でのサーカスではないということも、知っていると知らないとでは話の頭に入って来方が違うと思う。

あと、現在と過去の断片が行き来する箇所が何度もあって、しっかり観てないと、それがいつなのかわからなくなったりする。でも、この辺はしっかり観てれば大丈夫です。逆に、時系列がパッチワークみたいに組み合わさってる様子が面白かった。

ともかく、頑張って観たけれど、いまいちわからないシーンがいくつか残ってしまったので、原作を読んで改めて観たいと思う。


監督は『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン。『ぼくのエリ』も、雪に閉ざされた小さな村という閉鎖された空間という、少しあやしくてぞくぞくするような雰囲気が良かった。映像がとても綺麗だったんですが、今作も素晴らしいです。サーカスの幹部室だか会議室だかも作りこまれていた。ツインピークスの赤い部屋を思い出した。

あと、窓枠が一番わかりやすかったけれど、四角いモチーフのものが多く取り入れられていた。そのせいで、硬質で緊迫感のある映像になっていたと思う。線路が切り替わるシーンは鉄がガッキンガッキンな感じで印象的だった。
少しくすんだ色合いは、イメージどおりのまさにイギリス。この辺もそうだと思うんですが、ポール・スミスが関わっているらしい。衣装だけではなく、撮り方、色合い、雰囲気作りまでを担当するクリエイティブ・サポートという役職だったらしい。

最後の締め方も粋でオシャレでした。音楽からのなだれ込み方が最高。

俳優さんもみなさん美しく撮られていました。特に好き俳優三人、ゲイリー・オールドマン、トム・ハーディ、コリン・ファースが色気満載で大満足。もうあの三人の色っぽさだけ観に行ってもいいくらいで、さながらアイドル映画のよう。
ゲイリー・オールドマンの口数少なく冷静でストイックな熟練スパイ役もいいし、トムハはベイン向けの体作りのためかかなり筋肉っぽいですが髪型のせいもあるのか観た映画の中では一番の男前。コリン・ファースは資料見るときだけ細い縁の眼鏡かけるシーンも良かった。ベネディクト・カンバーバッチは予告で観たときにはなんとも思ってなかったけど、この映画で好きになりました。彼は役柄もいいです。

以下、ネタバレ。





観終わった後で、「これとこれがゲイだったんでしょ?」「違うよ、これとこれだよ」って話してる人がいた。おそらくチラシの人物相関図を見ながらの会話だと思われるけど、誰のことを言っているのかはわからず。
私はビル・ヘイドンとジム・プリドーの関係と、もしかしたらピーターも?とも思ってしまった。そもそも誰もゲイじゃなかったのかもしれないと、もやもやしていたところ、「映画ではそうだったけど、原作ではピーターはゲイ設定ではなかった」と教えてもらいました。なんでその設定を追加したのか…。あと、ビルとジムは原作ではもっと恋人同士っぽかったらしい。


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