『KOTOKO』


Coccoが主演ということや、子を思う母親の話だとか聞く限りでは、少し不安だったのですが、いつもの塚本節が炸裂しててほっとした。
激しく動くカメラ、耳に突き刺さるような強烈な金属音、そして殴られた顔の大袈裟な特殊メイクなど。塚本監督作品の特徴的な要素がちゃんと入ってます。本人も結構出てる。
また、きっと園子温なら直接的なエロ方面へすすみそうですが、ストイックなまでにそのようなシーンは削られている。それでも、暴力描写がエロティックに見えるのは、塚本監督の手腕でしょう。

主演キャストがCocco以外には考えられない作りになってるので、たぶん塚本監督はCoccoのこと考えて脚本書いたのだろうと思いながら観てたけど、原案がCocco本人だった。だから、わざわざ演技をしているという感じではなく、おそらくナチュラルなCoccoなのだと思う。

細すぎる手足、リストカットの痕と、Coccoは体つきからしてとても不安定であやうく見える。ただ、その少しあぶない面だけでなくて、子どもと遊ぶときに見せる自分も子どもに戻ったかのような愛らしさ、恋をしている甘えたような顔、歌を歌っているときの力強い姿までもを完璧にとらえ、映し出す。これがCoccoのすべてだと思う。カメラは明らかに監督目線で、塚本監督が本当にCoccoのことが好きなのが感じ取れた。

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