『バトルシップ』


おもしろかった! ユニバーサル100周年記念と銘打たれていますが、大作というよりはB級です。深いストーリーは無し。敢えて言うならば、主人公の成長物語なのかもしれませんが、あくまでも“敢えて”であり、とりたてて見所があるわけではなく凡庸。でも、この作品を楽しむためにはストーリーはそれほど関係ないし、むしろ邪魔とも言える。シンプルに、でけぇー!とか強ぇー!だけでいい。このあたりで少し『第9地区』を思い出した。ただ、宇宙人ものでも『第9地区』のほうは互いにコミュニケーションをとったり、悲哀みたいなものもありましたが、そうゆうものも一切ナシ。宇宙人が攻めてきたので自衛隊が迎え撃つ。どっかんどっかん爆発! とてつもない火薬量! 上がる水しぶき! 本当にこれだけ。

主演のテイラー・キッチュは同日に『ジョン・カーター』も公開されている。『ジョン・カーター』のポスターを見て、イケメンはイケメンだけど、地味目かなと思っていたんですが、動いてる姿は破天荒でワイルドなイケメンでした。特に前半の長髪シーンはプロレスラーみたいだった。

この映画の構成で変わっているのが、最初と最後の日常パートと、中盤の戦闘パートの落差です。始まったとき、劇場を間違えたかと思った。アクションバトルものだと思って臨んだのに、最初のほうはギャグを交えた軽いヒューマンドラマでした。潜入シーンでピンクパンサーのBGMはどうなんだろう。ベタすぎやしませんか? チキンブリトーの存在感とこだわりもすごい。戦艦バトル部分とはまったく違う呑気な世界。ど派手なバトルをゆるい日常で挟んでいる。

浅野忠信が準主役だったのに驚いた。『マイティ・ソー』でも、そんなに活躍すると思っていなかったわりにはよく出てたなという印象ですが、今回は欠かせない存在。アレックス(キッチュ)とはライバルですが、そのうちに共闘するという展開も良かった。
ちなみに、序盤の殴り合う手前、アレックスが鏡を見ながら「お前のこと云々」言うシーン、その言葉を聞いたナガタ(浅野忠信)が一瞬、「何を言ってるんだ?こいつ」というようにきょとんとしたあと、言葉の意味に気づいてブチッと切れ、一気に怒りが押し寄せてくる表情の変化がとても良かった。もう一回見たい。
以下、ネタバレです。




お兄さんが戦闘序盤で死んでしまうのが残念です。死んだわりにあっさりしていたので、泣きどころにしたかったわけでもなさそうで更に残念。でも、兄の死を乗り越えてアレックスは成長したのかもしれないけれど、殺す必要あったんでしょうか。特に、前半の誕生日関連で兄弟で楽しそうにきゃいきゃいやってるシーンを思い出すと、本当に残念。あの雰囲気が面白かったのに。ラストで、もしかしたら続編があるのかなという描写がちらっと出てきますが、それでもお兄さんは出てこないんですよね…。

戦艦バトルとは別の部分で、ハワイの陸の上での戦いも地味ながらも意味があって良かった。エンドロールを見ていたら、クアロアランチで撮影してたみたい。実際にハワイだったのか。

0 comments:

Post a Comment