原作を読んで再挑戦。初回は画面作りや俳優さんの恰好良さは申し分ないと思ったけど、ストーリーがよくわからず仕舞いだったけど、今回はおそらく理解できたと思います。
映画は時間の制約があるから仕方ないけど、原作のほうがひとつひとつのエピソードがかなり細かく掘り下げられているし、登場人物も多い。小説を読んだ直後に映画を観たためか、だいぶ駆け足に感じた。でも、映画は原作の雰囲気を損なうことなく、いいとこどりでうまく編集してある。時系列の組み方も原作とは違うけどわかりやすい。監督は原作が好きなんだろうなというのがうかがえる愛のある編集だと思った。
以下、ネタバレです。
ラストの『La Mer』が流れ出して以降は、特に1カット1カットが見逃せない。流れるような編集の巧みさもそうなんですが、俳優さんたちの表情が好きです。サーカスに戻ってきたスマイリー(ゲイリー・オールドマン)とすました顔してすれ違ったあと、こらえきれずにニヤッとしちゃうピーター(ベネディクト・カンバーバッチ)。パーティのはじっこで所在なさげにしているジム(マーク・ストロング)を見つけたビル(コリン・ファース)のほころぶような笑顔。それを見たジムの、少数の親しい人にしか見せないのだろうと思われる気が緩んだ笑顔。サーカス諜報部の、かつてはコントロールが座っていた席に着席して、満足げな表情で周囲を見渡すスマイリー。どれをとってもいい表情でドキドキする。セリフは一切ないのに、見ごたえ十分。
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