『THE GREY 凍える太陽』


邦題に付けられてる“凍える太陽”はいるのかどうかわかりませんが、グレイだけよりは寒そうな感じが伝わっていいのかな…。季節感はまったくない、雪山が舞台。飛行機が雪山に墜落し、自然の脅威とオオカミの攻撃にさらされながら、無事に逃げ延びられるか、というストーリー。ジョー・カーナハン監督、リドスコ/トニスコ兄弟製作、リーアム・ニーソン主演の『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』コンビですが、話の内容と雰囲気はまったく違う。ド派手だったAチームに対して、過去の回想などを抜かしてほぼ映像が雪山だけだし、地味に思えるかもしれない。でも、場面が変わらないのは、一つの事柄に集中できるし、緊迫感が持続するのに効果的だと思った。
以下、ネタバレです。




自然の脅威というよりは、オオカミによる攻撃のほうが深刻だった。神出鬼没だったり、気がついたら囲まれていたり、集団で人を食ったりという様子がそのままゾンビものに転用できそうで、サバイバルアクションというよりはホラー。来るぞ来るぞとビクビクしていたら、ギョッとする音とともにやっぱり来た!みたいな、ホラー映画でお馴染みの演出もあった。

ただ、驚かせるだけではなく、自殺まで決意した主人公が、極限の状態におかれることで必死に生きようと考えが変わったりと、ストーリー的にも見所はある。ただ、ラストは、やっぱり破滅型。自分を愛してくれなかった父の詩が心の奥に刻まれていた。幼い頃から刷りこまれてきたものは、なかなか消えない。

飛行機事故の生存者何人かでオオカミの群れから逃げるのですが、助け合うという余裕はないまでも、リーアム・ニーソン演じるオットウェイは頼りになるリーダーだった。最初、ブラッドリー・クーパー(Aチームでもフェイス役でした)キャスティング案もあったらしいですが、ちょっと若すぎる。顔の皺がいろいろな修羅場を潜り抜けてきたことを物語る、リーアム・ニーソンで正解。サバイバル知識も豊富なようだったし、終始落ち着いていた。あの仙人っぽさは若者では出せない。イケメンを主役に置いておいたほうが、華やかで派手にはなると思うけど。

上映前に、「エンドロール後に映像があります」とのアナウンスあり。最近、このようなお知らせが入ることが多いですが、作品を気に入ったらエンドロールまで全部観るでしょうし、エンドロールになった途端立ち上がるなら、そのようなおまけ映像は見ても見なくてもどちらでもいいと思う。席を立ちたい人を引き留めてまで見せるものではない。特に、この作品は二秒くらいでした。どうしても見なきゃだめというものではなく、補足。しかも直接的ではなく示唆に留めた映像。本当におまけです。気に入った人だけ見ればいいので、アナウンスはお節介ですよ。

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