『かぐや姫の物語』


独特の日本画のようなタッチだったので、スクリーンで観てきました。
アニメの専門的なことはわからないのでなんとも言えませんが、相当苦労をして作られているんだろうなというのは察することができる。見て過程などを見てみたい。
筆ですっと描いたような絵がそのまま動いているのは、観ているうちに慣れてしまうけれど、時々わざと改めて思い出したりしていた。
また、姫が走るシーンなどは、筆のタッチも荒々しくなっていて、線まで含めての表現だった。

売店で、普通のアニメ絵になってしまっているラバーストラップみたいなものが売っていたけれど、少し雰囲気がちがってしまっていた。やはり、あのタッチが良かったのだと思う。

ストーリーはほぼ知っている昔話のままなのでネタバレも何もないかと思いますが、一応、以下ネタバレです。







捨丸が原典に出てくるかどうかは知らないのですが、それ以外の流れは知っていた。
だから常に、ああ、いまはこんな感じだけれど、結局月に帰ってしまうのだな、と思いながら観ていた。
特 に、最初のほうのよちよち歩きの姫を翁が「ひーめっ!ひーめっ!」と呼んで自分のほうへ来させようとするシーンが泣ける。大人げなく掠れてしまっている。なんなら、少し泣きそうでもある。それは、姫の成長を思ってなのかもしれない。声をあてているのが、地井武男さんというのもまた良かった。

子供が元気良く歌っていた童歌を、姫が変調させた歌がとても怖かった。

月に帰るシーンもやはりこわい。月からの使者が演奏している音楽も、楽しげなのが怖かった。何も悩まずに済むのが極楽なのか…。かぐや姫も、あれだけ、笑ったり泣いたり怒ったりしていたのに、無表情で歩くこともせずに、すーっと月からの使者のほうへ引き寄せられていく。

そもそも、かぐや姫という話に、なんとなく怖いというイメージを持っていたけれど、こうして真剣に物語に向き合うことで、より恐ろしさがわかった。

それにしても、こんなエキセントリックなSFが平安時代初期にはもうあったというのがすごい。

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