『大脱出』


シルヴェスタ・スタローン主演。ポスターやCMだと、アーノルド・シュワルツェネッガーと二人の主演っぽい印象でしたが、観てみると、シュワルツェネッガーはどちらかというと、共演止まりだった。
あと、『パーソン・オブ・インタレスト』のリース君ことジム・カヴィーゼルが出ているので、個人的にはそれを楽しみに観に行きました。

大脱出というタイトルからして、二人が協力して脱獄するのかなとも思ったんですが、まあ大筋はそうなんですけれど、単純なプリズンブレイクではなかったです。
予告編やポスターにちょっとした部分ですがネタバレがあるようなので、なんの情報も仕入れないまま観に行ったほうがおもしろいと思う。一応、どんでん返しみたいなのもありました。

以下、ネタバレです。







最 初、簡単な脱獄シーンから始まるんですが、それを使って早めに状況説明をするのがうまいと思った。あらゆる方法で脱獄を試みて、刑務所の弱点を指摘する人というのはなかなか新しい。また、危機管理に対する本も執筆しているというのは、ちょっとスタローンのイメージとは違ったので最初から騙されました。

本を出しちゃうくらいだから、スタローン、頭がいい役なんですよ。途中、受刑者の眼鏡を用いて、六分儀を自作しちゃう。それで、船の位置を調べるという…。また、コンピューターにも強いみたいだった。
もちろん、アクションもこなしているんですが、同時に博識で頭脳派でもある。この辺が少し違和感があった。

ただ、スタローンがオールマイティなせいで、シュワルツェネッガーの活躍どころがあんまり無かったのが残念。もっと半々くらいで活躍してくれても良かったのに。それか、二人の共演が売りならば、もう肉弾戦だけで良かったような気がする。頭脳についてはそれ専用のメンバーを入れるとか。『007/スカイフォール』のQみたいな感じの。筋肉と対照的なメンバーとして、あのベン・ウィショーのような細っこい眼鏡の若者みたいなのがいると良かった。
それか、スタローンの所属している組織のやり手の女性とコンピューターに詳しい男性がいたので、彼らが後方支援にあたれば良かったのに。彼らは結構キャラクターがはっきりしていそうだったのに、出番が少なかった。まあ、どこにあるかも不明な監獄が舞台だったし、外部との通信は遮断されていたので仕方が無いか。

この監獄が海に浮かんでいる巨大フェリーみたいなのだったんですが、これ、観ていたらそこそこ驚く場面なんですけど、予告編やポスターだとこの事実がバラされているらしい。中盤より少し前くらいにもう明らかになることなので、それほど重大事項というわけではない。でも、この監獄の場所はどこなんだろうと思いながら観ていて、この事実がわかったときに、外に出たところで逃げ場がないじゃないかと絶望する感じとか味わえないのはもったいない。

ただ、船の中の閉鎖空間というと、『キャプテン・フィリップス』を思い出すんですが、あちらのほうが描き方や撮り方や演出などの面で数段上だと感じた。緊迫 感がまるで違ったのはなんでなんだろう。『大脱出』のほうは海上で逃げ場が無いにしても、内部はわりと広々としているからだろうか? それか、いまいちリアリティがないから、緊迫感までは伝わってこなかったのかも。

シュワルツェネッガー、出番は思ったよりも少ないんですが、髭が生えているのと、ほわほわっとしているけど明るいムードメーカーっぽさが良かった。なんだかんだで、スタローンの言いなりなのも良かったし、いいキャラクターでした。確か予告で“敵か、味方か”みたいなことを言われていたけれど、敵らしいそぶりはまったくなかった。
また、監獄内で監視されてるから仕方ないんだけど、体の大きい男性二人が身を寄せ合ってひそひそ話をしているのは可愛かった。

あと、やっぱりジム・カヴィーゼル。『パーソン・オブ・インタレスト』ではすべてを諦めたような目をした世捨て人風だけれど、今回の悪役はイキイキしていた。二人を徹底的に貶める役です。喜々として演じていて、目もキラキラしていたので、PoI出演時よりも若く見えた。よく笑うのも可愛い。リース君はニヒ ルな笑顔しか見せないけれど、ちゃんとした笑顔が見られて良かった。ちゃんとしたとは言っても、悪役なので悪い笑顔です。リース君のときよりも細身でキチッとしたスーツもよく似合ってた。

わりと死人の多く出る映画だったので、観ている途中で、もしかしたらジム・カヴィーゼルの死体姿も見ることになるのか?と思ったけれど、爆死だったのでなんというかほっとした。他の作品とは言え、リース君の死に際は見たくない。

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