『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』


前作はばりばりのファンタジーかと思っていたら、ファンタジー世界からソーがこちらの世界にやってくるような話でぽかんとしたんですが、今回はそれがより顕著になっているというか、イギリス紹介映画の一面もある感じだった。
監督はケネス・ブラナーから変わってアラン・テイラー。映画よりもテレビ番組を多く担当している人みたい。最近だと、『ゲーム・オブ・スローンズ』で何作か担当しているようです。
監督が変わったとはいえ、続編なので、前作と『アベンジャーズ』は観ておいたほうが良さそう。『アベンジャーズ』の一年後の話で、『アベンジャーズ』で起こった話も出てくる。

以下、ネタバレです。






前作の時も思ったんですが、まさか、自分の住んでいる現代の地球にソーが介入してくるとは思わないわけですよ。いわば、映画やゲームの世界から、ソーがそのまま飛び出してきた感じ。今回も、最初はアスガルドというソーやロキが住んでいる世界が舞台になっていて、戦闘が繰り広げられている。服装などもみんなあんな感じです。
ところが、その頃ロンドンは…と、普通に現代のロンドンにカメラが移って、そういえばマイティ・ソーってそうゆうところがあった!と思い出した。

当然あのままの恰好で来るから、現代の人からは「コスプレ?」とかつっこまれていたりもする。武器であるハンマーも持ったままだから、家に入る時、玄関の帽子とかかけるフックにハンマーをかけたりするのが細かい。重量に耐えられるのか?なんて野暮なつっこみはしない。ハンマーの棒の先に紐が付いていて、それの使い道を初めて知った。
アベンジャーズの面々も現代のニューヨークに現れているので、ロンドンの人たちは案外冷静。スマホで写真をばしばし撮っている(そしておそらくTwitterとかにアップする)。
地下鉄にソーが乗ってきちゃっても、やっぱり写真を撮るくらいで大騒ぎにはならない。揺れて女性がソーにもたれかかってしまい、「すみません」みたいな羨ましい場面も。あなたが普段使っている地下鉄にもソーが乗ってくるかもしれない!?みたいな現実感がある。

こんな感じで現代の地球に来ているソーはわりと呑気というか、地下鉄に乗っている様はほとんどクロコダイルダンディーみたいでカルチャーギャップコメディー映画かなとも思えるんですが、アスガルドやダークエルフのいる世界ではシリアスな戦いが繰り広げられている。
ラスト付近のバトルではロンドンと別の世界を行き来するために、観ている側もほのぼのしたと思ったら急に事態が深刻になって、緊迫シーンなのに映画を観ている顔はにやにやしているみたいな変な状況になった。気持ちの持っていき方がよくわからなくなってしまった。

30 st mary axeやTubeの愛称で親しまれているロンドン名物の地下鉄やロンドンバス、それにグリニッジにストーンヘンジと世界遺産も網羅(ただ、ソーはチャリングクロス駅から乗って、地下鉄内で乗客にグリニッジへの行き方を聞くとあと二駅だか三駅って言われるんですが、そんなに近くないし、たぶん地下鉄では行けない模様)。

ここまでロンドン紹介の内容になっているので、今回の敵役であるダークエルフの長、マキレス役がイギリスを代表するドラマ『ドクター・フー』の9代目ドクターであるクリストファー・エクルストンなのも納得がいく。
というか、彼の大きい耳と鷲鼻がすごくダークエルフの外見とマッチしていて、良いキャスティングだと思いました。

やはりトム・ヒドルストンが演じるロキがいい。アベンジャーズのときもそうでしたが、どこか愛嬌があって、悪役に徹せてない。
牢屋のような場所にとらえられているときに、外で騒がしくしていても読書を続けるマイペースな面も良かった。母上の死を悼むシーンの私服というか、ナチュラルな衣装でオールバックでなくなった姿はロキというよりトムヒでしたが、それも良かった。姿を自在に変えられるロキがキャプテン・アメリカになるのもおもしろく、アベンジャーズと世界が本当に繋がっているのだなと感じられた。すったもんだの末、ダークワールドに無事に着けたときの「チャラ〜ン♪」というセリフも可愛い。
今回、ソーとロキが共闘することになるんですが、仕方ないとは思うんですがそのシーンがわりと短いのが残念。一緒に戦うところがもっと観たかった。

あと、役者さんの中ではステラン・スカルスガルドですよね。ストーンヘンジで全裸で走り回ったり、パンツ一丁姿がおがめたりと大暴れでした。

前作でも思ったけれど、ナタリー・ポートマン演じるヒロインのジェーンが地味で…。しかも、今回は母上もジェーンのために殺されたようなものだし、もともと彼女がエーテルを吸収しなければ良かったのではないか、と思ってしまった。
でも元々裂け目みたいなのは出来てたみたいだし、彼女のせいだけではないのか。
最後のほうの異世界移動バトルみたいなのは天文物理学者である彼女の力あってのものだから、いらないとまでは言わないけれど…。

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