『ウルフ・オブ・ウォールストリート』


こちらも『アメリカン・ハッスル』と同様に、アカデミー賞に多くの部門でノミネートされています。日にちは空けているものの、二作を立て続けで観て、かなりお腹がいっぱいになってしまった。『それでも夜は明ける』もはやく観たいと思っていたけれど、来月で助かった。いまはもう、これ以上は入りません。

ジョナ・ヒルもマシュー・マコノヒーも良かったけれど、やっぱりこの映画はレオナルド・ディカプリオのための映画だと思う。ありとあらゆる思い切ったディカプリオが見られるし、ここでアカデミー賞とれなかったらどこでとるんだ?という感じだった。

以下、ネタバレです。






“ウォールストリート”とタイトルについていても、経済の映画ではなく、まるでロックスターの栄華の話のように思えた。
セックス、ドラック&ロックンロール! ギターは持たなくても、社内での煽りをきかせたマイクパフォーマンスはロックスターかプロレスラーのよう。そのあとの社員の熱狂っぷりも、ライブ会場のようだった。

社内に娼婦を呼んでやりたい放題したり、下着か水着姿の女性たちのマーチングバンドが入ってきたり。セックスシーンは多くてもいやらしくないのは、撮りかたのせいなのか、それが話のメインではないからなのか。

友達から始まった会社経営の話というと『ソーシャル・ネットワーク』を思い出すが、あのようにならないのは、ジョーダン・ベルフォートの人柄なのかもしれない。常に周囲の注目を集めていた。

マシュー・マコノヒー演じる会社の先輩との最初の会話のシーン、矢継ぎ早に話して、自分のペースに持っていき、ジョーダンは戸惑いながらも彼のペースにあっという間に巻き込まれる。この話術がのちのジョーダンに影響を与えているのがよくわかるシーンだった。

退任するしないの演説のシーンを始め、映画を観ている私もジョーダンのペースに巻き込まれた。ジョーダンのペースなのか、ディカプリオのペースなのかわからない。

強力なドラッグで立ち上がれなくなったシーンも釘付けになった。立ち上がれなくなって、這うように進み、階段を滑るように降りる…というか、落ちる。テレビで流れるポパイのごとく、ドニーを救い出すまでの一連の演技は圧巻だった。ディカプリオの様々な姿が見られるのがこの映画の魅力だと思うが、このシーンは本当に、他の映画では見られないディカプリオだった。

ジョーダン・ベルフォートも『アメリカン・ハッスル』のアーヴィン・ローゼンフェルドも、出てきたときや序盤はあんまり好きになれなかった。しかし、映画を観終わると、二人とも本当に愛おしい。特に、このジョーダン・ベルフォートについては、すべてを見せてもらった感じがするので、親近感すらわく。
両方とも人を騙すことでお金を得る詐欺師だった。褒められたことではない。しかし、二人とも自分のやっていることに信念と誇りを持っているから、次第に恰好良く見えてくる。
ラストシーン、セミナーのシーンでの穏やかな表情は、決して今までやってきたことを後悔している顔ではない。

何より、クリスチャン・ベイルやレオナルド・ディカプリオが彼らのことを好きなのがわかる。酷い事をしているようでも、その演じ方に愛がこもっているように見えたのだ。

靴のブランドのCMが本物のCMだとか、最後のセミナーの司会者がご本人だとか、隠された遊び心に気をつけながら、もう一度観てみたい。

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