『ホビット 竜に奪われた王国』
Posted by asuka at 8:53 PM
もともとのサブタイトルは“スマウグの荒し場”でこちらのほうが原題(The Desolation of Smaug)通りだし、恰好もいいと思うけれど変えられてしまいました。
前作の本当に続きからはじまるので、いきなりこの作品から観るのはやめたほうがいいと思う。
161分とかなり長いですが、まったく長さを感じない、むしろもっと観たいと思ってしまった。
前作に続き、HFRでの上映を観てきました。通常の1秒24フレームのところ、48フレームになっている。通常版と見比べていないのでわからないのですが、明るいシーンはとても明るく、暗いシーンでも観やすかった。ただ、これは前回も思ったことなんですが、明るいシーンでだいぶ色がぱっきりしてしまい、少しコントのように感じられる。でも暗いシーンで細かい部分までしっかり見えるのはいい。
あと、最初の方で人物のアップがあるんですが、目がガラス玉のようにきらきらしていてすごく綺麗だった。綺麗だなと思って目玉を見ていたら、ためらうみたいに細かく動いていたのも印象的でした。
以下、ネタバレです。
前作がピンチになったらガンダルフが駆けつけて敵を一刀両断、というパターンが映画内に何回か出てきたので、今回、序盤でガンダルフが離脱した時にはまた同じかと思った。ピンチになったら助けに来るために離脱したのかなと思ったくらいでした。ごめんなさい。今回はガンダルフはずっと別行動なのと、それほど出番も無かった。
今回もピンチのときにホビットたちだけで切り抜けるということはそんなになかった。今回はエルフが助けにくることが多かった。最初は、助けるというより捕らえられましたが。
エルフの住処とドラゴンが陣取っている場所での人物がとても小さいために広さがよくわかる。HFRのおかげかどうかわかりませんが、小さい人物までよく見えた。あと、確か、前作も同じだったような気もするんですが、人物の近くからカメラが後ろにぐわっとひいて移動していくことで、広さがよくわかる。と同時に、この動くカメラはなめらかすぎて、少し酔う。だいたい動きが激しいカメラで酔うことが多いけれど、例外です。
序盤の樽で川下りをしな がら逃げるシーンがとにかくすごい。川を下っているので、常に動いているために目が離せないし、川なので動きが不規則。その動きは良い方にも悪い方にも作用するために予測不可能でスリリング。また、ホビット(とビルボ)たちは人数が多いので、それぞれがいろんな動きをしていそうなので何度も観たい。
ここで助太刀にくるエルフの動きは無駄がなく、流れるように弓矢を放っていて恰好良かった。樽に入ったホビットたちの頭の上に立ち上がって弓を使ったりとスマート。対するホビットは、樽ごとぐるぐる回って周囲の敵をやっつけたりと、戦い方の違いがそのまま種族の特徴にもなっているようでおもしろかった。
この川のシーン、総CGだと思っていたのですが、流れがゆっくりなところはニュージーランドの本物の川で、荒いところはセットを作ってそこに水を流して撮影したので、溺れないように必死だったらしい。
原作も読んでいないし、ロード・オブ・ザ・リング三部作も観ていないのでわからないのですが、まるでゲームのような世界観にわくわくする。途中で出てきた水の村もゲームに出てきそう。言い伝えがあるとか、いまは竜のせいで貿易が途絶えて貧しくなっているとか、高い場所に矢を放つための巨大な弓が設置されているとか。ころころ意見を返る利己的な王様もよくいる。
竜が金貨に埋もれているというシチュエーションもいい。炎を吐く前に、体がオレンジ色に光るのもゲームっぽい。ゲームをしていたら、オレンジ色に光ったら次のターンは炎が来るので、防御でかまえてなきゃいけないパターン。
竜は炎を吐くシーンも怖いのですが、金貨に埋もれていた姿を現したときのでかさが怖い。そして、翼をばさっと広げたときの更なるでかさも怖かった。
逃げているときに、金貨がちゃりんと落ちて、え?自分から落ちた?と思ったら、頭上を飛ぶ竜の鱗に挟まってたのが落ちてきてた、というシーンは竜だというのにリアリティが感じられてより怖かった。
また、すごく怒った竜が飛び立つときに金色でコーティングされているのも、もう最強といった具合でした。あの姿からは絶望感しか感じられない。その竜が金色は払うけれど、村の方へ向かって飛んで行くシーンで今回はおしまい。
えー! この状態でまたあと一年待たなくてはいけないとは…。
村にはキーリたちがいるというのと、黒い矢が一本だけ残っているというのが希望でしょうか。あと、ガンダルフもどうなってしまうのか。
最後の方は竜と罠にはめようとするホビットたちと、村で療養しているキーリたちとレゴラス、ガンダルフとの三元中継の切り替えが見事でした。どのシーンに切り替えてもピンチで、ハラハラしました。
ここだけでなく、全編ハラハラしっぱなしだった。皮を変える者の家、森での巨大蜘蛛との戦闘、エルフの住処から逃げ出す、樽での川下り、村へ忍び込む、竜とホビット/ガンダルフとネクロマンサー/村を襲うオークと常にピンチ。こんな連続なので、息つく暇なく161分が経ってしまう。おもしろかったし、ホビットの人数が多いから一人一人の動きを全部見ることができていないと思うのでもう一回ちゃんと観たい。
HFRだったせいもあるかもしれないですが、画面に見とれてしまって字幕がおろそかになったので、吹替のほうが良かったかなとも思ったけれど、字幕がアンゼたかしさんだったので字幕で良かった。
今回は前作ほどビルボの出番は多くないんですが、相変わらずマーティン・フリーマンの動きが可愛い。首を傾げたり、足をトントンってやったり。可愛いけれど、可愛いのをわかってやっているのであざとい。
竜のスマウグですが、声だけでなく動きもベネディクト・カンバーバッチのモーションキャプチャーによるもの。顔や体にセンサーをつけて這いつくばって、低い声を出して、本当に演じていた。素晴らしいです。
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