『バンク・ジャック 襲撃の火曜日』


邦題がまったく違ったので気づくのが遅れたんですが、2008年にイギリスで公開された『Tu£sday』が2013年9月にDVDで出てました。タイトルに£が入っているし、これは絶対に日本公開はされないんだろうなと思って油断してた。
特典映像として日本版予告編も入っていたけれど、映画公開にあたっての予告というよりは、DVD販売にあたってのプロモーションビデオなのではないかと思う。

『Life on Mars』の主演のフィリップ・グレニスターとジョン・シムが出ていて、それを売りにして日本版のDVDになったようなので、『MAD DOGS』もいつか日本版のDVDが出るといいですね。

実話を元にしているとのことですが、どの辺までが実話なのかは不明。偶然に偶然が重なるタイプの話なので、まるまる実話だったらなかなかすごい。
手練の銀行強盗グループがある銀行に押し入ろうとしたら、別の男が先に銀行強盗をしていて、更に銀行内部でも保管していたエメラルドを強奪しようとしている。
三つのグループ+警察からなる群像劇のようでもあり、群像クライムムービーというと、少し前のタランティーノとかガイ・リッチーあたりが想像されるが、それよりは規模が小さいというか、登場人物の描き込みが甘いというか、少しもったいない感じの仕上がりになっている。

そのすったもんだある当日の様子と、警察での一人一人の取り調べの様子が交互に出てくるけれど、取り調べを受けている側は別に何を話しているわけでもないんですよね。少しあぶない部分はあっても基本的にだんまりを決め込んでいる。
その取り調べのシーンで話される事柄によって、その当日の映像も変わっていくのならわかるのだけれど、犯人たちがだんまりでも当日の様子は段々明かされていく。『バンテージ・ポイント』のような感じで、一つのできごとを多角的にとらえることで初めて全体像が見えてくる。それはおもしろいんだけれど、じゃあ、取り調べシーンいらなかったんじゃないの?と思ってしまった。
それに、最後まで見ると、結局刑事さんは当日現場に最初から居たんですよね。一部始終見ている。なら尚更、取り調べる意味がよくわからない。

ただ、取り調べシーンでは一人一人の正面からの顔が大写しになるから、ジョン・シムファンとしては嬉しい。挑発するようににやにやする顔がたまらなかったです。暗めの照明のせいもあるかもしれないけれど、取調室のフィリップ・グレニスターも恰好良かった。

ジョン・シム、拳銃を持つ役というのがあまりないと思うんですが、今回は銀行強盗役だしさすがに…と思ったら、運転手役で今回もなし。煙草かと思ったらチュッパチャップスのような飴をなめていたりする可愛い役。30歳後半の男がチュッパチャップス…。
彼女役にケイト・マゴーワン。ジョン・シムの実際の奥さんで、彼のファンとしてはキスシーンを見るのは少しつらかった。

そういえば、銀行強盗メンバーの一人が彼女に花を渡そうとしていて、彼女なのに気づいて失恋、みたいなシーンがあったけれど、あれ、どこで知り合ったのかもよくわからなかったし、あのシーンがいるのかどうかもわからなかったし、いれるならいれるで、銀行強盗メンバー内で恋愛のごたごたとかで揉めるとか、もっと掘り下げてほしかった。

あと30分増やして、もっと銀行強盗メンバーの話を入れてほしかった。プロローグ的な最初の強盗シーンと次の計画を練るシーンの少しだけだった。計画を練るフィリップ・グレニスターが頭脳担当ととして、運転手役としてのジョン・シムなのはわかった。ただ、後の二人のキャラクターがいまいちよくわからなかったのが、残念。建築屋帽子屋とかのなんでもない雑談シーンみたいなのはもっと長く観たかった。

取調室でも全員一応シラをきっていたから、このまま証拠不十分で釈放されてシリーズ化か、とも思ったけどそんなこともない。だって、刑事さんは最初から見てたんだもの。それに実話を元にしてるなら、強盗は捕まるに決まってる。

ただまあ、映画のラスト、刑事さんが引き出し開けたらそこにダイヤがありましたーは、さすがに実話ではないですよね。あれは少しにやりとさせられました。

0 comments:

Post a Comment