『テシス 次に私が殺される』


1997年公開。スペインでは95年公開。この前観た『バッド・エデュケーション』で恰好良かったフェレ・マルティネスが出ています。
学校で猟奇殺人ビデオを見つけた女子生徒が事件に巻き込まれる。

主人公のアナの部屋に『マイ・プライベート・アイダホ』のポスターが貼ってあったり、おしゃれな人形みたいなのが飾ってあったり、内装へのこだわりが見えた。なんとなく、卒業論文のテーマを暴力映像についてで書きそうな気がする。普通の女の子とは多分少し違うんだろうなと思う。

ポルノ映像や暴力映像などに詳しい所謂オタクの男子生徒チェマ役にフェレ・マルティネス。もっさりした長髪、髭、大きい眼鏡にホラー映画かメタルの黒いTシャツと、こちらもわかりやすいキャラクター。偏見に悩んでいるようだったけれど、私も途中何度か疑ってしまった。

騙されかけたと言えば、エドゥアルド・ノリエガ演じるボスコ。出てきたときにはどう見ても怪しくて、でも、男前だし、危険な香りがするところが魅力的でもあった。
特に、これはアナの夢だったけれど、部屋で首にナイフを突きつけながらキスをするシーンは映像もセクシーで恰好良かった。首から流れる血と、首もとへのキスはまるでヴァンパイアのようだった。アナと同じく、危ないと思いながらも惹かれてしまった。

チェマは外見は冴えないし(とはいっても、元々のフェレ・マルティネスは恰好良いのは観ていてわかる程度)、ボスコのような雰囲気はなかったけれど、違う魅力があった。
アナと二人で学校のビデオ保管庫から逃げ出すシーンは特に好き。飄々としていて、ピンチをピンチと感じさせないのは、ある意味頼りがいがある。真っ暗な場所でマッチの火の明かりだけが頼りというシチュエーションもいい。また、マッチだから、すぐに火が消えて真っ暗になってしまうのも良かった。
真っ暗で何が起こってるのかわからないけど抱きついた?と思ったのに、明るくなったら抱きついてなくて、そのズラし方もやきもきした。

一つの事件を追いながらも、三角関係も描かれていた。チェマはアナが好きで、アナはボスコが好き。チェマが嫉妬する様子は可愛かった。ラストもほわっとした感じですが、良かったと思える。

ラスト付近では、病院内のテレビで流されるワイドショー番組の映像で事件の全貌を明らかにする。そして、事件で作られた猟奇殺人映像がテレビで流されるのを食い入るように見つめる病院の患者たちが映し出される。結局、このような需要があるから、猟奇殺人ビデオが作られるのだ。過激なものを求めるあまり、実際に殺人を犯す。みんなが観たがるからいけない。そんな問題提起まで掲げる隙の無さに感心した。

また、猟奇殺人のビデオが題材になっていても、過激な映像は最低限におさえられているのも良かった。この映画内で猟奇映像をどんどん流していたら本末転倒です。

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