『ブロンソン』


イギリスでは2009年公開。日本では劇場未公開。ニコラス・ウィンディング・レフン監督作品。『オンリー・ゴッド』は未見なのですが、少しわかりにくかったらしく、『ドライヴ』はそんなことなかったのに…と思っていたら、『ドライヴ』がわかりやすかったらしい。今作もちょっとわかりにくかったです。

そもそもの話を勘違いしていて、伝記だということは知っていたんですが、俳優チャールズ・ブロンソンの伝記なのかと思っていた。しかし、乱暴者しか出てこないし、その人も刑務所に入ったり出たりしているし、いっこうに俳優になる気配がない。
パッケージの写真だとボクサーのようだったが、ボクサー期間は少なくて、獄中生活や精神病院に入っている期間の描写が多かった。

また、架空の講演会で本人によって語られるという形式をとっていて、こちらに向かって話しかけてくるので、ほぼ、トム・ハーディの一人芝居のようになっていた。顔を女性と男性の半分半分で化粧をしていて、交互に横を向いて対話をしているようなシーンや、歌に合わせて口パクをするシーンなどはパントマイムのようで、トム・ハーディの演技の幅に驚かされる。

体も筋骨隆々で、銃などは使わず、拳でとにかく殴り掛かる。バイオレンス描写が多い。
スキンヘッドだし、後に『ダークナイト ライジング』で演じるベインに似ているけれど、クリストファー・ノーランは『ロックンローラ』を観てトム・ハーディにオファーしたという話があるのが謎。

有名になりたいと言いながら、人を殴り、騒ぎを起こして刑務所に入り、刑務所の中でも人を殴る。結局堂々めぐりというか、いまだにご本人は服役中らしいし、 八方ふさがりである。結局はどうにもできない自分に苛々しているようにも見えた。大きなお世話だろうが、彼が幸せになる姿は到底想像できない。だから、終わりの無い地獄を見させられているような気分になった。

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