『ベルリン・オブ・ザ・デッド』


日本ではDVDスルーだったようです。ドイツでは2010年公開。原題『Rammbock』。邦題のとおり、ドイツのゾンビ映画です。テオ・トレブスくん目当てで観ました。主人公と一緒に逃げたり戦ったり篭城したりする少年役。

ゾンビ映画なんですが、あまりゾンビが映らなかった。影からばっと出てきて驚かせるということもなく、血もそれほど出ず、内臓を引きずり出すわけでもない。ショッキングシーンはほとんどないので、怖くなかった。走って追って来るのでハラハラはするけれど、それほどでもない。パッケージのほうがよっぽど怖い。

舞台が集合住宅で、部屋の中から下にいるゾンビの様子を見るということが多く、距離があるので怖くないというのもある。それでも、食料やトイレの心配はあって、ちょっと家の外に出ると遭遇しちゃう。家の中にいる分には安心ではあるけれど、いつまでもはいられない。さあ、どうしよう?という、本当にピンチになる一歩前なので、緊迫感もそれほどなかった。
ちょっとした器具を作るシーンがあって、主人公が工作系が得意だということが判明するんですが、出来上がった器具と一緒に「撮るよー」みたいなことを言って記念撮影をしていた。呑気である。

ゾンビ映画にはそれぞれのゾンビルールがあると思うんですが、今回のルールは、走って追って来るタイプ、音に敏感、外見の特徴は白目(見えてない?)、噛まれてもアドレナリンが出なければ発症しない、弱点は光(フラッシュ?)というところでしょうか。

あと、ゾンビ映画ではよくある、大切な人がゾンビになった時にどうするか?というゾンビセンチメンタルは踏襲されていた。ある人は噛まれた奥さんを精神安定剤で鎮めていたけれど、発症してしまったあとは道連れにするように一緒に窓から落ちていた。
主人公の元恋人もゾンビ化してしまったが、そのとき、主人公も噛まれていたので、最後に抱きしめてあげていた。元々は別れた彼女の鍵を返しにアパートに来たのだ。あわよくば復縁を望んでいたようだったし、最後に会えて本望といったところか。

テオ・トレブスくんについてですが、彼自体に少し影があったり、謎めいた印象があるので、何か秘密があるのかと思っていたら何もなかったのは残念だった。しかも、元彼女の部屋に何故か居た美少年なのかと思っていたのに、Wikipediaを見たら鉛管工だったらしい。確かに、テオくんと一緒にいて早々にゾンビ化していたおじさんはアパートの管をいじっていたし、彼と来たとすれば、鉛管工なんでしょうけども…。
もっと、このゾンビ騒動のきっかけを作った人物であるとか、未来から来た主人公の子供であるとか、実は女の子であるとか、何かしら、はっとするんでもぎょっとするんでもいいから秘密が欲しかった。
トイレのドアが閉鎖されてて、シンクでしようとしたけれど、ここではするなと怒られ、部屋の花瓶の中にして、その花瓶が何故か透明で、それを窓の外から下へ捨てるという描写はあれはなんだったんだろう。サービスでしょうか。
お母さんが電話に出ないのも何かの伏線かと思ったけれど、特に回収はされなかった。彼に関してもゾンビセンチメンタルがあると良かったけど特に無かった。
それでもやっぱり、顔が綺麗だし、むっとしたような無愛想さも幼くていいし、同じアパートの女の子に褒めてもらった時の得意げな顔も可愛かった。主要キャラのため、『コーヒーをめぐる冒険』よりはこちらのほうが断然出番が多いです。

タイトルのRammbockがドイツ語の翻訳サイトで見てもよくわからなかったんですが、城壁や城門を壊すのに用いた破城槌のことらしい。劇中で隣りの部屋に行くのに外にはゾンビがいるから壁を破る道具を作ってたんですが、それを指していそう。
(RammsteinもRamme(激突する) + Stein(石) = 破城槌って言われてるけど、どうなんでしょう。ちなみに、Bockは“行くことを拒絶する”という意味みたい)

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