『エンド・オブ・キングダム』
Posted by asuka at 8:15 PM
『エンド・オブ・ホワイトハウス』の続編。
前作が公開された時、ほぼ同時期にホワイトハウスが襲われて大統領を守るためにSPが暴れ回る映画『ホワイトハウス・ダウン』が公開されていた。邦題だとどっちがどっちだかわからなかったんですが、これでやっと区別が付くようになった。
原題『London Has Fallen』が『エンド・オブ・キングダム』で、前作『Olympus Has Fallen』が『エンド・オブ・ホワイトハウス』。これが、ジェラルド・バトラー(SP)とアーロン・エッカート(大統領)のほうで、『ホワイトハウス・ダウン』がチャニング・テイタム(SP)とジェイミー・フォックス(大統領)です。
両方とも邦題にホワイトハウスが入ってるからわからなくなるのだと思うので、そもそも原題のままやればよかったのにとも思うけれど、今作は『ロンドン陥落』でいいとして、前作が『オリンポス(作中ででてくるホワイトハウスのコードネーム)陥落』ではわかりにくいのだろう。
監督は前作から変わって、スウェーデンのババク・ナジャフィ。
人が大量に死ぬ映画だとは聞いていたけれど、思ったよりも大惨事になっていた。
以下、ネタバレです。
前作ではホワイトハウスがテロリストに占拠されて大統領がつかまってしまい、SPがそれを助けに行くというストーリーだった。今作では、イギリスの首相が死去し、国葬のため、各国首相がロンドンに集まる。アメリカ大統領もSPとともにイギリス入りする。
当然、厳戒態勢がひかれているけれど、映画なので、テロが起こるんだろうなというのはわかる。起こらなきゃ話が進まない。問題はどこで起こるかということだ。
ドイツ首相を慰めるように、少女が一輪の花を渡しにくる。いかにもあやしい。SPは止めるけれど、「いいのよ」なんて言って受け取っていた。子供による自爆テロはよくあるし…と思っていたが違った。
実は、警備員や警察に何人もテロリストが紛れ込んでいて、一斉に混乱が起きていた。ロンドンの観光地として有名なビッグベンなどが次々と爆破される。
先程のドイツ首相も、あっさりと射殺されてしまう。まだ、少女からの花を受け取った心優しい首相が…というほうが美しい。情緒も何もない。
橋が爆破され、大量に車が川に落ちる(日本の首相はこれに巻き込まれる)。貨物船が大爆発を起こし、川の上でもどこかの国の首相が被害に遭っていた。
あまりにも警備がゆる過ぎるし、いろんな建物に爆弾を仕掛けられすぎである。イギリス、大丈夫なの?
そんなこと言ってると話が進まないけれど、いくらなんでもここまでのテロは起きないだろう。現実味は無く、ファンタジーなのだなと思う。
各国首相はあまりにもあっさり殺されてしまった。そんな中、アメリカ大統領は生きているから狙われる。
この先はテロリストに大停電を起こされたので町中が暗い。そこで、SP一人対テロリスト大人数の戦いになっていく。
一人対大人数なんて、普通だったら絶対に不利である。かなうわけはない。けれど、そこは映画である。SPは容赦なく殺していく。
まるで、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)のようだった。SP目線のPOVではないが、今流行りと言われている登場人物の後ろにべったりついたカメラである。
どんどん出てくるテロリストを躊躇なんてせずに撃っていく。
対象をゾンビとかエイリアンとか人間外のものにして、大量発生した物を撃ち殺していく映画はよくある。これを人間でやるパターンは最近なかなか見かけない。
そこにドラマなどないのだ。テロリストがこれまでどんな生活を営んできたかとか、家族のことなどはまったく見えてこない。血の通った人間という感じはしない。罪悪感はどんどん無くなっていく。
ラストもあれで良かったのだろうか。最初と同じく相手国に乗り込んで行って爆破では、結局、繰り返すだけな気がする。新たなきっかけを与えただけに見えた。
けれど、そんなことを考える映画ではないのだろう。
だって、テロリストは敵なのだから。そして、敵は殲滅しないといけないのだから。単純にそれだけの映画です。
前作で、SPと大統領二人のアクション以外のシーンがもっと多かったら良かったのにという印象を抱いた。幼馴染みな点があまり生かされていない。二人でボクシングをしていたけれど、あのあたりのシーンがもう少し長かったら良かったのにと思っていた。
今回は序盤で一緒にランニングしていて、二人は普通の友達のように接していて、その辺をもっと見たかった。ただ、主演の二人だけに人間味を持たせるのもアンバランスだ。ヒューマンドラマとしての面はすべて捨てたのだろう。
大統領役のアーロン・エッカート、本来は演技派だと思っているので、『サンキュー・スモーキング』のようなミニシアター系の作品ももっと観たくなった。
このシリーズのアクション無しのスピンオフが観たいけれど、まあやらないでしょう。
calendar
ver0.2 by バッド
about
- asuka
- 映画中心に感想。Twitterで書いたことのまとめです。 旧作についてはネタバレ考慮していませんのでお気をつけ下さい。
Popular posts
-
アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、歌曲賞ノミネート、脚色賞受賞。その他の様々な賞にノミネートされていました。 以下、ネタバレです。 北イタリアの別荘に夏の間訪れている家族の元に、一人の青年が訪れる。家族の父親が教授で、その青年は教え子である。 まず舞台の北イタリアの夏の風景が素晴...
-
ウェス・アンダーソン監督作品。前作の『ムーンライズ・キングダム』は、ブルース・ウィリスやティルダ・スウィントンは良かったし、家の中の撮り方も良かったけど、お洒落映画でしかないかなという感想だった。そのため、今回もかまえてしまっていたけれど、すごく面白かった。 やはり、撮り方な...
-
いわゆるロードショー公開はされない注目作を上映するのむコレ2018にて上映。 今年公開された映画らしい。 あまり内容を調べずに観たので、タイトルと、主演が『ゲーム・オブ・スローンズ』のラムジー役でお馴染み、ウェールズ出身のイワン・リオンだったため、RAFのイギリス部隊の話かと思っ...
-
試写会にて。わかったことと、わからないこと。 以下、ネタバレです。 クーパーがどうやって助けられたのかがよくわからなかったんですが、あの時のアメリアの顔は幻じゃなかった。映画の序盤でワームホールを通る時に、アメリアが“彼ら”の姿を見てハンドシェイクをする。結局“彼...
-
ドルビーアトモスで観たんですが、席が前方だったせいもあるかもしれないけれど、あまり音の良さはよくわからなかった。前回がIMAXだったからかもしれない。 IMAXと同じく、最初のプロモーション映像みたいなのはすごかった。葉っぱが右から左へ。 以下、二回目で思ったことをちょこ...
-
2013年公開。あんまり評価がよくなかったので映画館へは行かなかったんですが、ハリー・トレッダウェイが出ているということで観てみたらおもしろかった! 映画館で観れば良かった。 149分と多少長く、長いわりにエピソードが細切れでまとまってない印象はあったけれど、これも劇場で観ていれ...
-
ほぼ半月あけて後編が公開。(前編の感想は こちら ) 以下、ネタバレです。 流れ自体は前編と同じ。ジョーがこれまであったことを話し、それに対して、セリグマン(今回はちゃんと名前が出てきた。ステラン・スカルガルドが演じている男性)が素っ頓狂なあいづちをうつ、と...
-
IMAXレーザーというと109シネマズ大阪エキスポシティのものが有名ですが、このたび109シネマズ川崎と名古屋にも導入された。そのプレオープンで『ダンケルク』の上映があったので行ってきました。 ただし、大阪のレーザーはGTテクノロジー(旧次世代レーザー)という名称で、スクリーンの...
-
新宿シネマカリテにて、毎年行われているちょっと変わった作品を集めた映画祭カリコレにて上映。 ステファン・ダン監督初長編作品。カナダ出身なのと、同性愛もの、家族もの、音楽がふんだんに取り入れられたスタイリッシュな映像…ということこで、第二のグザヴィエ・ドランというふれこみの...
-
2000年公開。曲や映像づくりなど、とてもダニー・ ボイルらしい映画だった。 幻のビーチに辿り着くまでの話なのかと思っていたけれど、 かなり序盤でビーチには辿り着いてしまう。 そこから物語が展開していくということは、 ビーチがただの天国ではなかったということ。 一人旅の若者が...
Powered by Blogger.
Powered by WordPress
©
Holy cow! - Designed by Matt, Blogger templates by Blog and Web.
Powered by Blogger.
Powered by Blogger.
0 comments: