『ナイスガイズ!』



『アイアンマン3』『キスキス,バンバン』のシェーン・ブラック監督。
だからというか、やはりというか、ロバート・ダウニーJr.がカメオ出演しているらしい。後から聞いたけれど、本人かどうかなんてわからない役でした。
主演はライアン・ゴズリングとラッセル・クロウ。

以下、ネタバレです。










70年代風のサイケなフォントでタイトルとキャスト名が出る。おしゃれな車とレトロな服装で雰囲気もいい。

本作の主人公コンビの私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)と示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)は、同じ案件に関わったことで会う。ただ、マーチが探偵として追っていた女性に、ヒーリーは近づくなという件で現れたので、マーチがヒーリーに殴られる。ここで、痛めつけられて「キャー!」という悲鳴をあげるライアン・ゴズリングに笑った。本当に「キャー!」だった。

結局は同じ敵(?)と対峙していることがわかったので、二人は協力することになる。ポルノ女優が集まるあやしげなパーティーに潜入するが、裸などはでてきても、どぎつさや見ていて引いてしまうような下品さはなかった。
人魚が泳ぐプールも、上半身裸ではあるがおしゃれ。金持ちの集まる場みたいだったので、どうしてもおしゃれで洗練されたものになってしまうのだろうか。それとも、美術の人がちゃんとしているのかも。

このパーティーだけではなく、映画全体がどぎつい印象にならない理由として、二人とも妻はそれぞれの理由で今はいないけれど、そこまで落ちぶれていないことが挙げられると思う。

マーチは情けなく見えるし、すぐに酒に逃げるアル中気味の男だ。しかも職業が探偵である。
それでも、愛娘のホリーには愛想をつかされていない。むしろ、パパ大好きである。それだけで、情けないように見えても、この人は本当にダメな人間ではないのだなというのがわかる。

ヒーリーも酒を断っていたから、昔、酒で何かやってしまったのかと思っていた。レストランでの食事中、妻から「あなたの父親と寝たわ」と言われるシーンを思い出した時に、心を静めようとしていたので、その場で何か殴る、暴れるなどをしたのかと思った。腕っ節が強そうだったから、もともとはカッとなりやすいタイプなのかと。
途中で警察が、レストランの事件の件と話していたのも、「銃を持った男がレストランに来て、後先考えずにそれを止めた」ということだったが、もしかしたら、その銃を持った男がヒーリーだったのかなと思ってしまった。でも、別にそんなことはなかったので、本当にただの正義感の強い、腕っ節の強い男なのだ。酒も仕事中だから断っていただけなのだろう。

ということで、二人とも基本的に良い奴なのだ。まさに、タイトル通りのナイスガイズである。

しかし、ガイズと言っても、バディものでもないのかなとも思う。マーチの娘、ホリーはキュート要員以上の活躍を見せていた。
この子を主人公にして、ダメなおっさん二人をひっぱっていくというストーリーでも良かったのではないかと思う。そういう一面もあったとは思うけれど、もっと全体的に強くしてもよさそう。ポスターにも出して欲しいくらいだ。

演技もうまいこの子はアンガーリー・ライス。『スパイダーマン:ホームカミング』でピーター・パーカーの恋人、ベティ・ブラント役を演じることも決まっている。

下品だったりつきぬけたギャグは薄めでも、ストーリーがしっかりしていて、ミステリーとしても二転三転する展開がおもしろかった。

また、ただのおしゃれ70年代“風”ではないこともわかる。多分、最初には時代は出ていなかったと思うのだけれど、最後の方の自動車ショーのシーンで初めて、これが何年の話なのかが出てくる。おそらく、本物のその時代、70年代と思われる映像も使われていた。

二人は事件に巻き込まれる形で政府を敵にまわすことになってしまう。一応は“勝った”ものの、私立探偵などでは、大きな力にはかなわない。
しかし、「自動車産業は死なないわ」と力強く言っていたが、映画を観ている側の私たちはその時代よりも未来にいるので、そこからどうなるかを知っている。
自動車産業は徐々に衰退し、リーマンショックでGMは破綻し、なんとか持ち直したものの、デトロイトは2013年には財政破綻してしまう。
悪態をついていたマーチとヒーリーは知らないけれど、こんな未来が待っているのだ。

ラストに出てくる私立探偵のチラシにはヒーリーも描かれていた。メキシコ人っぽいと言って嫌がるそぶりを見せていたけれど、嬉しそうだった。このコンビの続編も見たいけれど、今回、70年代と時代を明確にしてしまったのでどうだろう。あと、アンガーリー・ライスが成長してしまうから難しいかな。

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