『マグニフィセント・セブン』(二回目)



一回目がおもしろくて二回目を観ましたが、二回目のほうがさらにおもしろかったパターンです。
以下、ネタバレです。
ネタバレというか、妄想と個人的なこと。






この話の主人公はサム・チザムで、最後に彼の復讐だったと明らかになる。知っている状態で観ると、最初にエマからの依頼に興味がなさそうだったけれど、ボーグの名前を聞いた時にちょっと表情が変わったり、グッドナイトに「妹が生きていたら彼女(エマ)と同じ年くらいか?」と聞かれたりしているのが気になってしまう。

サム・チザムに関しては命をかける理由があるのがわかるけれど、他のメンバーは何故着いてきたのかわからないなどと言われていたけれど、全員について考えることはできる。

例えば、サム・チザムの話が進行している裏で、ファラデーの話も同時に進行していると思う。
彼は最初、さびれた酒場のテーブルで物騒な連中とギャンブルをしている。トランプを使っていたのでブラックジャックか何かかと思いますが、配られたカードを見て、「いいカードが来ない。ツキを変えたいな」とぼやいている。
これは彼の最後のセリフ、「ツキがまわってきたぜ」と対になっているように思える。

ツキを変えたいというのは何もギャンブルだけのことではなく、何かおもしろいことないかなあ?くらいの意味も含まれているのではないかと思う。
それまでのファラデーはギャンブルで小銭を稼いだり、負けて馬をとられたり、時にはイカサマをしたりという毎日だったのだろう。銃のことを妻と呼んでいたから家族もいないようだった。父親はいないというセリフもある。小さい頃から今まで、孤独に暮らしてきたのだろう。

イカサマがバレて、劇中では襲いに来た兄弟があんな感じだったから手品で気を引いて逃げられた。けれど、それが2度3度と通用するとも思えない。冒頭のギャンブル相手はあの兄弟よりもよっぽど怖そうだった。あいつでないにしても、どこかでイカサマがバレて、誰かに殺されるオチだろう。
それでも、きっと、いつ死んでも別にいいという風に生きていたのだと思う。

そこに舞い込んできたサム・チザムからの誘いである。もちろん、馬を取り返したかったというのもあるかと思うが、彼に着いていったらおもしろいことが起こるのではないかという予感があったのではないか。

着いていったファラデーは他の仲間に会って、笑いながら酒を飲んで、結局他の仲間と村を救うためにガトリング銃を破壊しに突っ込んでいく。道中はこれまでの人生よりも楽しかったと思うし、敵陣地へ向かっていく時に仲間から後方支援を受けられたのは嬉しかっただろう。何より、敵さん達がまんまと騙されてくれたのが痛快で、満を持しての「ツキがまわってきたぜ」という言葉だ。
ツキを変えたいとぼやいていた彼にやっとツキがまわってきたのだ。
だから、結果的に敵もろとも爆死してしまうが、後悔はなかったと思う。悲しいけれど、サム・チザムに着いていかなかったらロクな死に方をしなかったと思う。

他のメンバーに関しても、グッドナイトはサム・チザムに命を救われた過去がある。亡くなった妹のことも知っているくらいだから、付き合いも深かったのだろう。恩を感じていたはずだし、それをいずれは返さないといけないと思っていたはずだ。
ビリーはグッドナイトと行動を共にするので、二人は一緒にサム・チザムに着いていく。

バスケスは賞金首で、サム・チザムに着いていかなかったらあの場で彼に殺されていただろう。それに、着いていった場合はどうするかという条件として、「お前は賞金首のままだが、俺はお前を追わなくなる」と言われる。俺はお前よりも上だが、お前はそこらのバウンティーハンターよりは強いだろうという意味がこめられていそうだ。バスケスのことも認めつつ、でも、俺の方が強いぞと暗に示しているサム・チザムの粋な言葉。これに心を奪われたのだろう。

レッドハーベストはどんな理由があってのことなのかはわからないけれど、長老から一人で行動しろと言われてしまう。畏怖なのかもしれないし、何か悪いお告げみたいなものなのかもしれない。少なからず孤独だったと思うのだ。そんな彼が認め、認めてくれる人物がサム・チザムだった。運命的な出会いだったのではないか。

ジャックはすでに隠居の身だったようだけれど、このままゆっくりと死んでいくのもつまらないと思ったのだろうか。血が騒いだとか、それくらいの理由かもしれない。
彼に関してはあまり素性も明らかになっていないが、殺したネイティブアメリカンの頭皮を集めていたとか物騒な話は出てきた。それは、結局敵方のインディアンに殺されてしまうことと関連付けられているような気もする。因果応報というか。

2度目なので、キャラクターについての裏の設定やサム・チザムに会うまでの人生などを考えながら観ていた。あと、とても気になったビリーを集中的に見てしまった。

登場人物の多い話なので、前の方で話の中心になっているメンバーの後ろでも別のメンバーが動いている。ビリーはナイフさばきなど、戦闘はもちろん恰好いいし、賞金首時代のグッドナイトが認めたくらいだから強いのだが、それ以外だとわりと気遣いの人でもある。グッドナイトだけに関してかもしれない。

決して口数は多くないけれど、常に気を配っていた。一本のタバコを二人で吸うシーンは気づいていたけれど、その後ろで、ビリーが二本くわえて両方に火をつけてやって、一本グッドナイトに渡すというシーンもあった。
また、グッドナイトが錯乱した時に慌ててタバコをつけてやっていたので、タバコを吸って落ち着けというよりはやはり阿片なのかもしれないとは思った。

どちらにしても、ビリーはグッドナイトに拾われなかったら、グッドナイトでないにしても別のバウンティーハンターに殺されていたと思う。殺されないにしても、各地で暗殺を繰り返し、一人きりで逃げ続ける廃れた生活になっていただろう。
グッドナイトもPTSDで不安な気持ちになったときに、隣に誰かいるのといないのでは大きな違いだと思う。
サム・チザムもグッドナイトのPTSDに関して理解は示していたし心配もしていたけれど、そこまで深くは立ち入っていなかった。
ビリーとグッドナイトの互いが互いを理解し、気遣う関係が良かった。全員に関しての過去が知りたいけれど、断然、この二人のスピンオフが観たいです。


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