『インサイダーズ/内部者たち』
Posted by asuka at 6:16 PM
2016年公開。韓国では2015年公開。原作はウェブ漫画とのこと。
『マグニフィセント・セブン』のイ・ビョンホンが良かったので、彼出演のハリウッド作は観たのですが、韓国映画は初めて。
韓国映画自体も観ないため、監督やイ・ビョンホン以外のキャストもわかりません。
また、韓国映画に慣れていないので、韓国語が聞き慣れないのと、名前が一文字(オ会長とか)なのに違和感があって、途中まで登場人物があまりよくわからなかった。
陰謀ものなので、誰と誰が裏で組んでて…というのが話だけで出てきた場合に、え?それって誰だっけ?となってしまった。なので、序盤は観にくかったです。
映画館ではなかったので、わかりにくいなら、自分で名前と特徴のメモを取れば良かった。
前に、他の韓国映画を観たときには名前だけでなく顔の区別もつかなかったのだけれど、今回は全員濃かったり薄かったりと特徴があって、わかりやすかった。
要は悪い奴が三人いる。財閥系の自動車の会社の会長(オ)、大統領になることを狙う議員(チャン)、新聞社の上層部(多分)(イ)が結託している。
イとつながりをもっていたゴロツキのサングは、イに裏切られたため復讐しようとする。一方で検事ジャンフンも、この三人を怪しんでいて別方面から追う。
ゴロツキと検事なので、出会いも最悪なんですが、結局目的が一緒だとわかったときに、サングとジャンフンは手を組む。
これが映画中盤くらい、一時間経ったくらいなんですが、ここからがおもしろかった。要は悪い奴が三人…というような人物関係がわかってきたのもこの辺である。
サングが家の屋上でラーメンみたいなものを食べているのですが、片手が切り落とされているせいもあるのかもしれないが、がっつくような食べ方ですごくおいしそう。
ジャンフンの実家(田舎で綺麗な家ではないけれど、本棚がたくさんあって、美術的にもみどころがある)の軒先で、焼肉鍋?(ジンギスカン鍋のような形)を囲むシーンも良かった。焼肉と、野菜(緑の唐辛子の大きいもの?)を味噌につけて食べていた。チャミスルフレッシュの緑の細い瓶が置いてあるのもいい。おいしそうだし、韓国料理を食べに行きたくなった。ここでもサングの食べ方がとてもおいしそうだった。
また、屋上もここでも、野外で食べているのがよりおいしそう。
しかし、それ以外に、少し前まで敵同士とは言わないまでも、ゴロツキと検事という何のつながりもなかった二人が、目的を同じにするとはいえ、急速に関係を深めた様子がこの食事シーンからよくわかった。
鍋を真ん中にはさんで向かい合って食事をするというのは、親しくないとできないことである。
屋上でラーメンを食べているシーンでも、サングは部下に「食うか?」と言っていた。食事が親しさの証である。
ラストでも、ジャンフンがサングを食事に誘っていた。
映画はサングの記者会見のシーンから始まるので、それがラストかと思っていた。しかし、話が進んで冒頭の記者会見は出てくるけれど、それは失敗してしまう。
ここから、ジェットコースターのように話が進んで行く。登場人物たちの本心が見えなくなってくる。
サングは刑務所の中、身動きがとれない。ジャンフンも検事とはいえ、上昇志向が高そうだし、清廉潔白という感じではなかったから…と思っていたら。
ラストがどんでん返しというか、爽快感あふれるものだった。
盛り上がる音楽と、ゆっくりとスローで入ってくる車。ここまで観ていれば最後まで言われなくてもその車から出てくるのが誰かはわかる。でも、はやく見せてほしい。映像はスローだし、観ている側の気持ちは盛り上がるしで、それが最高潮になったときに、車からジャンフンが出てくる。
なるほど、だからインサイダー“ズ”、内部者“たち”。でも、英題はInside Menなので、ちょっとネタバレでもあるのかな。
ジャンフンが出てくるというのが答えで、それを見せて終わりかと思ったけれど、回想映像を交えながら、すべてをちゃんと説明してくれる。わかりやすいし、悪が成敗されてスカッとする。
また、サングが刑務所を出た後だからか、半年後にはなるけれど打ち上げがあるのもいい。
悪の三人がしていた接待が本当に酷い。全員裸で、女の人が一人につき二人ずつくらいついていて、口で大きくしてもらった男性器で酒のグラスを倒してゴルフをするという…。ちょっと見たことがないほどおぞましかった。韓国の政治事情とかウラみたいなものもわからないけれど、本当にあったりするのだろうか。創作にしても、よく考えたなと思う。
イ・ビョンホン演じるサングは、ゴロツキだしちゃらちゃらしているようでいて、強い芯を感じた。髪が長くて派手な服を着ている姿も良かったけれど、髪を切り、スーツでびしっとキメるとえらく恰好良くなるあたりもたまらなかったです。
あと、おそらく韓国映画の中ではぬるいのだとは思うけれど、血が結構出ます。『マグニフィセント・セブン』が、西部劇だからそりゃそうだけど人が大勢死ぬわりにまったく血が出ないので、本作では返り血を浴びたイ・ビョンホンが見られる。
calendar
ver0.2 by バッド
about
- asuka
- 映画中心に感想。Twitterで書いたことのまとめです。 旧作についてはネタバレ考慮していませんのでお気をつけ下さい。
Popular posts
-
アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、歌曲賞ノミネート、脚色賞受賞。その他の様々な賞にノミネートされていました。 以下、ネタバレです。 北イタリアの別荘に夏の間訪れている家族の元に、一人の青年が訪れる。家族の父親が教授で、その青年は教え子である。 まず舞台の北イタリアの夏の風景が素晴...
-
ウェス・アンダーソン監督作品。前作の『ムーンライズ・キングダム』は、ブルース・ウィリスやティルダ・スウィントンは良かったし、家の中の撮り方も良かったけど、お洒落映画でしかないかなという感想だった。そのため、今回もかまえてしまっていたけれど、すごく面白かった。 やはり、撮り方な...
-
いわゆるロードショー公開はされない注目作を上映するのむコレ2018にて上映。 今年公開された映画らしい。 あまり内容を調べずに観たので、タイトルと、主演が『ゲーム・オブ・スローンズ』のラムジー役でお馴染み、ウェールズ出身のイワン・リオンだったため、RAFのイギリス部隊の話かと思っ...
-
試写会にて。わかったことと、わからないこと。 以下、ネタバレです。 クーパーがどうやって助けられたのかがよくわからなかったんですが、あの時のアメリアの顔は幻じゃなかった。映画の序盤でワームホールを通る時に、アメリアが“彼ら”の姿を見てハンドシェイクをする。結局“彼...
-
ドルビーアトモスで観たんですが、席が前方だったせいもあるかもしれないけれど、あまり音の良さはよくわからなかった。前回がIMAXだったからかもしれない。 IMAXと同じく、最初のプロモーション映像みたいなのはすごかった。葉っぱが右から左へ。 以下、二回目で思ったことをちょこ...
-
2013年公開。あんまり評価がよくなかったので映画館へは行かなかったんですが、ハリー・トレッダウェイが出ているということで観てみたらおもしろかった! 映画館で観れば良かった。 149分と多少長く、長いわりにエピソードが細切れでまとまってない印象はあったけれど、これも劇場で観ていれ...
-
ほぼ半月あけて後編が公開。(前編の感想は こちら ) 以下、ネタバレです。 流れ自体は前編と同じ。ジョーがこれまであったことを話し、それに対して、セリグマン(今回はちゃんと名前が出てきた。ステラン・スカルガルドが演じている男性)が素っ頓狂なあいづちをうつ、と...
-
IMAXレーザーというと109シネマズ大阪エキスポシティのものが有名ですが、このたび109シネマズ川崎と名古屋にも導入された。そのプレオープンで『ダンケルク』の上映があったので行ってきました。 ただし、大阪のレーザーはGTテクノロジー(旧次世代レーザー)という名称で、スクリーンの...
-
新宿シネマカリテにて、毎年行われているちょっと変わった作品を集めた映画祭カリコレにて上映。 ステファン・ダン監督初長編作品。カナダ出身なのと、同性愛もの、家族もの、音楽がふんだんに取り入れられたスタイリッシュな映像…ということこで、第二のグザヴィエ・ドランというふれこみの...
-
2000年公開。曲や映像づくりなど、とてもダニー・ ボイルらしい映画だった。 幻のビーチに辿り着くまでの話なのかと思っていたけれど、 かなり序盤でビーチには辿り着いてしまう。 そこから物語が展開していくということは、 ビーチがただの天国ではなかったということ。 一人旅の若者が...
Powered by Blogger.
Powered by WordPress
©
Holy cow! - Designed by Matt, Blogger templates by Blog and Web.
Powered by Blogger.
Powered by Blogger.
0 comments: