『インサイダーズ/内部者たち』



2016年公開。韓国では2015年公開。原作はウェブ漫画とのこと。

『マグニフィセント・セブン』のイ・ビョンホンが良かったので、彼出演のハリウッド作は観たのですが、韓国映画は初めて。
韓国映画自体も観ないため、監督やイ・ビョンホン以外のキャストもわかりません。

また、韓国映画に慣れていないので、韓国語が聞き慣れないのと、名前が一文字(オ会長とか)なのに違和感があって、途中まで登場人物があまりよくわからなかった。
陰謀ものなので、誰と誰が裏で組んでて…というのが話だけで出てきた場合に、え?それって誰だっけ?となってしまった。なので、序盤は観にくかったです。
映画館ではなかったので、わかりにくいなら、自分で名前と特徴のメモを取れば良かった。
前に、他の韓国映画を観たときには名前だけでなく顔の区別もつかなかったのだけれど、今回は全員濃かったり薄かったりと特徴があって、わかりやすかった。

要は悪い奴が三人いる。財閥系の自動車の会社の会長(オ)、大統領になることを狙う議員(チャン)、新聞社の上層部(多分)(イ)が結託している。

イとつながりをもっていたゴロツキのサングは、イに裏切られたため復讐しようとする。一方で検事ジャンフンも、この三人を怪しんでいて別方面から追う。

ゴロツキと検事なので、出会いも最悪なんですが、結局目的が一緒だとわかったときに、サングとジャンフンは手を組む。
これが映画中盤くらい、一時間経ったくらいなんですが、ここからがおもしろかった。要は悪い奴が三人…というような人物関係がわかってきたのもこの辺である。

サングが家の屋上でラーメンみたいなものを食べているのですが、片手が切り落とされているせいもあるのかもしれないが、がっつくような食べ方ですごくおいしそう。

ジャンフンの実家(田舎で綺麗な家ではないけれど、本棚がたくさんあって、美術的にもみどころがある)の軒先で、焼肉鍋?(ジンギスカン鍋のような形)を囲むシーンも良かった。焼肉と、野菜(緑の唐辛子の大きいもの?)を味噌につけて食べていた。チャミスルフレッシュの緑の細い瓶が置いてあるのもいい。おいしそうだし、韓国料理を食べに行きたくなった。ここでもサングの食べ方がとてもおいしそうだった。
また、屋上もここでも、野外で食べているのがよりおいしそう。

しかし、それ以外に、少し前まで敵同士とは言わないまでも、ゴロツキと検事という何のつながりもなかった二人が、目的を同じにするとはいえ、急速に関係を深めた様子がこの食事シーンからよくわかった。
鍋を真ん中にはさんで向かい合って食事をするというのは、親しくないとできないことである。

屋上でラーメンを食べているシーンでも、サングは部下に「食うか?」と言っていた。食事が親しさの証である。
ラストでも、ジャンフンがサングを食事に誘っていた。

映画はサングの記者会見のシーンから始まるので、それがラストかと思っていた。しかし、話が進んで冒頭の記者会見は出てくるけれど、それは失敗してしまう。
ここから、ジェットコースターのように話が進んで行く。登場人物たちの本心が見えなくなってくる。

サングは刑務所の中、身動きがとれない。ジャンフンも検事とはいえ、上昇志向が高そうだし、清廉潔白という感じではなかったから…と思っていたら。

ラストがどんでん返しというか、爽快感あふれるものだった。
盛り上がる音楽と、ゆっくりとスローで入ってくる車。ここまで観ていれば最後まで言われなくてもその車から出てくるのが誰かはわかる。でも、はやく見せてほしい。映像はスローだし、観ている側の気持ちは盛り上がるしで、それが最高潮になったときに、車からジャンフンが出てくる。
なるほど、だからインサイダー“ズ”、内部者“たち”。でも、英題はInside Menなので、ちょっとネタバレでもあるのかな。

ジャンフンが出てくるというのが答えで、それを見せて終わりかと思ったけれど、回想映像を交えながら、すべてをちゃんと説明してくれる。わかりやすいし、悪が成敗されてスカッとする。
また、サングが刑務所を出た後だからか、半年後にはなるけれど打ち上げがあるのもいい。

悪の三人がしていた接待が本当に酷い。全員裸で、女の人が一人につき二人ずつくらいついていて、口で大きくしてもらった男性器で酒のグラスを倒してゴルフをするという…。ちょっと見たことがないほどおぞましかった。韓国の政治事情とかウラみたいなものもわからないけれど、本当にあったりするのだろうか。創作にしても、よく考えたなと思う。

イ・ビョンホン演じるサングは、ゴロツキだしちゃらちゃらしているようでいて、強い芯を感じた。髪が長くて派手な服を着ている姿も良かったけれど、髪を切り、スーツでびしっとキメるとえらく恰好良くなるあたりもたまらなかったです。

あと、おそらく韓国映画の中ではぬるいのだとは思うけれど、血が結構出ます。『マグニフィセント・セブン』が、西部劇だからそりゃそうだけど人が大勢死ぬわりにまったく血が出ないので、本作では返り血を浴びたイ・ビョンホンが見られる。




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