『8月の家族たち』
Posted by asuka at 4:10 PM
予告を見た感じだと、エキセントリックな母親に振り回されて、すったもんだありながらも三姉妹(とその夫)が力を合わせて危機を乗り切って大団円みたいな話かと思ってたけど、違った。
以下、ネタバレです。
家族ものは細かい部分はもちろん違うものだけれど、根本的な部分では一緒だから、登場人物の気持ちが伝わってきやすい。特に家族の揉め事となると、本当によくわかる。
家族だから、近い人間だから、遠慮や配慮がなくなって余計な一言二言がばんばん出る。謝らないのも甘えなのかもしれない。
もう修復不可能と思っても、血がつながっているし、縁は切れてもその事実は変えられない。だからこそ、余計に怒りがわいてくるし、
更に、家族間の揉め事は家族間で解決しなければならない点も厄介。
この映画の中では、揉め事が新たな揉め事を呼び、三姉妹も夫婦間も親子間もすべてが破綻する。しかも、ジュリア・ロバーツ演じるバーバラに関しては自分の母親と自分の子供と両方だ。
家族ものは丸くおさまるのがセオリーなのかと思ってた。もちろん、本作もあの後丸くおさまるのかもしれない。なんとかおさまるんでしょう、きっと。どうかおさまってください、と自分のことのように願いたくなってくる。
メリル・ストリープもジュリア・ロバーツも、出演作を好んで観る女優さんたちではないけれど、それぞれアカデミー賞主演女優賞、助演女優賞にノミネートされていただけあって、演技に見ごたえがあった。家族の会合ものなので、狭い世界のわりに出演者が多く、有名俳優が集められてるけれど、二人以外は脇役に見えた。
葬式の後の食事のシーンとブーツの話をするシーンのメリル・ストリープはさすがとしか言いようがないうまさ。あれだけ苦悩するジュリア・ロバーツというのも初めて見た。迫力があった。結局は数日間の出来事だけれど、その演技によって密度が濃くなっている。もともとが戯曲らしいので、セリフが多いのも濃くしている要員なのかもしれない。
ユアン・マクレガーもクリス・クーパーも良かったんですが、ベネディクト・カンバーバッチが出てきたところで、映画館内の気温が1、2度上がる感じがした。一気に、映画館内の観客さんたちが色めき立ったのを感じたんだけれど、もしかしたら、私の体温が上がっただけかもしれない。
また、少し気弱だけれど優しい男の子という役柄もいい。更に、ピアノを弾きながら歌うシーンがあるのは貴重なのではないか。しかも、すごくうまいわけではなく、でも健気さというか一生懸命さは伝わってくるあたりがずるい。
calendar
ver0.2 by バッド
about
- asuka
- 映画中心に感想。Twitterで書いたことのまとめです。 旧作についてはネタバレ考慮していませんのでお気をつけ下さい。
Popular posts
-
アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、歌曲賞ノミネート、脚色賞受賞。その他の様々な賞にノミネートされていました。 以下、ネタバレです。 北イタリアの別荘に夏の間訪れている家族の元に、一人の青年が訪れる。家族の父親が教授で、その青年は教え子である。 まず舞台の北イタリアの夏の風景が素晴...
-
ウェス・アンダーソン監督作品。前作の『ムーンライズ・キングダム』は、ブルース・ウィリスやティルダ・スウィントンは良かったし、家の中の撮り方も良かったけど、お洒落映画でしかないかなという感想だった。そのため、今回もかまえてしまっていたけれど、すごく面白かった。 やはり、撮り方な...
-
いわゆるロードショー公開はされない注目作を上映するのむコレ2018にて上映。 今年公開された映画らしい。 あまり内容を調べずに観たので、タイトルと、主演が『ゲーム・オブ・スローンズ』のラムジー役でお馴染み、ウェールズ出身のイワン・リオンだったため、RAFのイギリス部隊の話かと思っ...
-
試写会にて。わかったことと、わからないこと。 以下、ネタバレです。 クーパーがどうやって助けられたのかがよくわからなかったんですが、あの時のアメリアの顔は幻じゃなかった。映画の序盤でワームホールを通る時に、アメリアが“彼ら”の姿を見てハンドシェイクをする。結局“彼...
-
ドルビーアトモスで観たんですが、席が前方だったせいもあるかもしれないけれど、あまり音の良さはよくわからなかった。前回がIMAXだったからかもしれない。 IMAXと同じく、最初のプロモーション映像みたいなのはすごかった。葉っぱが右から左へ。 以下、二回目で思ったことをちょこ...
-
2013年公開。あんまり評価がよくなかったので映画館へは行かなかったんですが、ハリー・トレッダウェイが出ているということで観てみたらおもしろかった! 映画館で観れば良かった。 149分と多少長く、長いわりにエピソードが細切れでまとまってない印象はあったけれど、これも劇場で観ていれ...
-
ほぼ半月あけて後編が公開。(前編の感想は こちら ) 以下、ネタバレです。 流れ自体は前編と同じ。ジョーがこれまであったことを話し、それに対して、セリグマン(今回はちゃんと名前が出てきた。ステラン・スカルガルドが演じている男性)が素っ頓狂なあいづちをうつ、と...
-
IMAXレーザーというと109シネマズ大阪エキスポシティのものが有名ですが、このたび109シネマズ川崎と名古屋にも導入された。そのプレオープンで『ダンケルク』の上映があったので行ってきました。 ただし、大阪のレーザーはGTテクノロジー(旧次世代レーザー)という名称で、スクリーンの...
-
新宿シネマカリテにて、毎年行われているちょっと変わった作品を集めた映画祭カリコレにて上映。 ステファン・ダン監督初長編作品。カナダ出身なのと、同性愛もの、家族もの、音楽がふんだんに取り入れられたスタイリッシュな映像…ということこで、第二のグザヴィエ・ドランというふれこみの...
-
2000年公開。曲や映像づくりなど、とてもダニー・ ボイルらしい映画だった。 幻のビーチに辿り着くまでの話なのかと思っていたけれど、 かなり序盤でビーチには辿り着いてしまう。 そこから物語が展開していくということは、 ビーチがただの天国ではなかったということ。 一人旅の若者が...
Powered by Blogger.
Powered by WordPress
©
Holy cow! - Designed by Matt, Blogger templates by Blog and Web.
Powered by Blogger.
Powered by Blogger.
0 comments: