『レイルウェイ 運命の旅路』


エリック・ローマクスの自叙伝を原作とした実話。戦時中の過去パートと現在パートとが描かれ、過去パートはジェレミー・アーヴァイン、現在パートはコリン・ファースです。

以下、ネタバレです。







全体的には重い作品だった。戦時中のトラウマをかかえた退役軍人と、その戦時中が描かれる。戦争シーンはドンパチではなく、その後の捕虜や強制労働などで描かれていて、このような手法は派手さがない分、残酷さが際立つ。
日本人がイギリス人を怒鳴ったり殴ったりする様子が単純につらいが、知らなくてはいけない事実だと思う。

戦時中に受けた仕打ちによって、主人公エリックのようになってしまっている人は多いのだと思う。フラッシュバックのように襲ってくる記憶。その当時のことは妻にすら話せない。
ステラン・スカルスガルドが演じるフィンレイは退役軍人のまとめ役のようだったけれど、彼も結局自殺してしまう。

もし、自分がエリックだったら?と考えるのは状況が違いすぎて難しい。でも、いまの自分をその状態にした張本人が見つかったら、まだのうのうと生きていることがわかったら…。復讐を考えるのも仕方がないのかもしれない。

しかし、このエリックという人が素晴らしいのは、この苦悩を復讐せずに赦すことで乗り越えたことだ。
最後、手紙を返して、泣き崩れたナガセの肩を優しく抱くシーンがいい。憎しみをぐっと抑えて、本当に赦したのだ。
いくら拷問されても事実無根だと主張し続けたエリック・ローマクスは心が強い人間だと思うが、何年経っても強い人間のままだ。
また、その様子を妻のパティが後ろから見守っていたのも、彼の行動を後押ししたに違いない。常にでしゃばりすぎず、でもそっと寄り添っているパティの姿も良かった。

最後に“永瀬隆とエリック・ローマクスは”という文章が出て、実話を基にというか、まさに実話なのだと知った。
そして、最後におじいさんになったご本人たちが一緒に写っている写真が出る。本当に彼らは友情を築いたのだと、説得力のある写真に涙が出た。あの写真を出すのはずるい。


元々はコリン・ファース目当てで観たんですが、過去パートと現在パートが半々くらい。真田広之は、重要な役柄ながら、出番自体は少ない。ジェレミー・アーヴヴァイン、どこかで見たことが…と思いながら観てたんですが、『戦火の馬』だった。

この前、『ブリジット・ジョーンズの日記』を観たせいか、コリン・ファースがすごく年をとったように見えたけれど、人生に疲れている役柄だからそのような外見だったのかもしれない。まだ53歳です。最初の口髭姿は更に年をとって見えた。

でも、相変わらずキスをするコリン・ファースや冷たい表情をするコリン・ファースにはドキドキしました。もちろんドキドキさせようとしているシーンではないです。シャツがズボンからはみ出ていたりと、きっちり服を着ていないのがまた良かったけれど、これも別にそうゆうシーンではないです。

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