『プリズナーズ』


ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール、ダブル主演。小さな村で起こった子供誘拐事件を追うサスペンス。軸になる人が二人いるのがおもしろい。
153分と上映時間が長いですが、この映画にはちょうどいい長さだと思う。長さを感じないというわけではなく、見応え充分。小説を一冊読み終わったような満足感が得られた。

以下、犯人にもふれたネタバレです。







まず、私はヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール以外に誰が出ているか知らなかったんですが、最初の容疑者がポール・ダノで驚いた。厚手のメガネとべったりした髪の毛と高くか細い声と挙動不審具合がすごくあやしい。そして、今回もボコボコに殴られていて、すごくポール・ダノっぽい役だった。

誘拐された子供の犯人をさがす謎解きものなのですが、犯人を考えながら見ていたら全員あやしく見えてしまった。話の作りにいいように振り回されて、全員を疑ってしまった。

まず、ポール・ダノ演じるアレックスは見た目からしてあやしく、ただ、早いうちからヒュー・ジャックマン演じるドーヴァーに監禁されるため、犯人ではないんだろうな…と思いつつも、やっぱり犯人なのかな?と思う瞬間が何度もあった。

ヒュー・ジャックマンが演じる父親が子供が誘拐された事で暴走するという前情報を入れていたので、ポスターに一緒に写っているジェイク・ギレンホールが犯人なのかとも思っていた。前情報だと、父親の行動の是非に焦点が当てられているのかと思った。だから、誘拐犯自体はもう最初からわかっているのかと思ったのだ。けれど、どちらかというと、犯人探しの謎解きがメインのストーリーなので、犯人は最後の最後でわかる。
それでも、ダイナーで一人食事をしているという登場の仕方や入れ墨、少年院に入っていたなどのエピソードからあやしさ満点だったのと、最後まで犯人がはっきりしないので、これは意外な人物に違いないと思うとこの人しかいないと思ってしまった。

ドーヴァーも、片方の子供が見つかった時に「あなたを見かけた」などと謎の言葉をかけられていたので、えーまさか!と思った。あのセリフはなんだったのだろう。

誘拐された子供たちの兄と姉もあやしんだ。二人は仲がいいようだったし、何かを企んでいそうだったから。

そして、もう混乱させるためとしか思えない状況でDavid Dastmalchianが出て来るのが本当に困る。『ダークナイト』のシフ役。ジョーカーに心酔して、市長狙撃のシーンでつかまるあいつ役です。どう考えてもあやしい。

結局は一番あやしまなかったアレックスのおばさんだった。演じていたのがメリッサ・レオだったんですが、髪型とメガネのせいでおばあさんっぽく見えていて、メリッサ・レオだとは思っていなかった。演じていた人を知っていたらあやしんでたかもしれない。

父親が事件解決の役に立たず、むしろ邪魔をしていたので、警官がしっかり動く事で物語が進んでいた。解決のために無茶な行動をしたり、先述したようにタ トゥーが入っていたりと無頼者っぽい役柄のジェイク・ギレンホールが恰好良かった。オールバックの髪が乱れているさまも色気があったし、片目が充血してしまってオッドアイのようになっているさまは狙っているとしか思えない。
彼は最後まで正義の警官だった。疑ってしまってごめんなさい。

ポール・ダノの腫れ上がる顔や、ボックスから出てくる蛇など、ミイラなど、ぎょっとするシーンも多かった。でも、その禍々しさがいい雰囲気を作り出していて、キリスト教の絡め方や、謎のペンダントなども、いかにもな感じで好きでした。どことなく『ツイン・ピークス』を思い出した。

父親の選択については、子供を誘拐されたら我を失ってしまうのも仕方ないのかなと思いつつも、あんなに殴ることはないというのと、アレックスを閉じ込める部屋をベニヤ板みたいなので自作し始めたあたりから、やりすぎだと思った。
ただ、普段の役柄と私生活からも善人が滲み出ているヒュー・ジャックマンが演じているため、彼の苦悩も伝わってきた。

それよりも、アレックス視点で観た時のこのストーリーがとても哀しかった。小さい頃に誘拐をされ、頼りになる人はおばさんだけで、おばさんのことが好き(これも恐怖で言わされていただけだろうか)だから、殴られるなどの拷問を受けても、決して口を割らない。タイトルのプリズナーズとは、誘拐された子供たちのこともさしていると思うが、強い意味では彼のことだとわかったときに、やりきれない気持ちになった。

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