『なんちゃって家族』


2014年公開。アメリカでは2013年公開。
ジェイソン・サダイキス主演。ジェニファー・アニストン共演。主人公の友達で麻薬組織の元締めの人、どこかで見たことがあると思ったら、『ハングオーバー!』シリーズのスチュ役のエド・ヘルムズだった。

バラバラの人たちが旅の道中で結束するというと、『リトル・ミス・サンシャイン』を思い出すけれど、あちらは一応本当の家族だったけれど、こちらは違う。
メキシコの国境を通るために、一人の独身男性よりも家族旅行を装った方があやしくないだろうというひらめきのもと、集められただけだ。しかも、麻薬の売人、場末のストリッパー、親が留守しがちの子供、ホームレス娘(っていわれてたけど、家出娘みたいなニュアンスなのかも)という、ハンパもの。これを考えると『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』的でもあるのかもしれない。

旅がメインのロードムービーなのかと思ったら、わりと簡単に目的地にはたどり着く。帰路で出会った家族とのすったもんだと、実は元締めから騙されてたというアクシデントはあれども、道すがらというわけではない。
大きく何が起こるというよりは、細かく起こることで笑わせていくコメディだった。

セリフも細かくて、“不幸な身の上話は嫌いなんだよ。だから『プレシャス』のDVDも観てない”とか、パーカーの帽子をかぶっている子に対して“お前は『8マイル』のエミネムか”とか、いちいちおもしろい。また、“俺がマーキー・マークで、お前らはファンキー・バンチだ。わかったか?”みたいなセリフがあったけれど、これは日本語訳では“俺がジュリーでお前らがタイガース”になっていた。確かにマーキー・マーク&ザ・ファンキー・バンチ(マーク・ウォールバーグが過去に組んでいたヒップホップグループ)はわかりにくいけれど、ジュリー&タイガースじゃないし、意味合いとしては、原語のほうがもっと“俺”の立場が上な感じがする。ちなみにこの場面、劇場では“俺がフミヤでお前らがチェッカーズ”だったらしい。私はWOWOW視聴だったんですが、DVDはどうなんだろう。
でも、他にもコメディならではの細かいセリフがあったし、字幕が大変だったと思う。近年よくある町山さん監修かと思ったけれど、これは違うようです。
ちなみに、WOWOWだと“ブラック・コック・ダウン(ブラック・ホーク・ダウン)”はそのままカタカナだったけれど、劇場だと“黒い巨塔”だったらしい。

花火を買ってくれと子供役たちが騒いで、妻役が「買ってあげたら?」と言うシーンや、子供役が好きな女の子にうまくキスできなくて、それに対して父親役がアドバイスを送るシーンは、それだけ見れば本当の親子のようだった。

車のラジオから流れるTLCの『Waterfalls』に合わせて妻役と子供役二人が歌うシーン。夫役が「この曲好きじゃない。当時からピンと来なかったし」と言っていても、三人は好きで歌い続けている。ラップの場面で息子役のどちらかといえば冴えない坊主が完璧にやってのけるんですよね。そこで、絆は深まったし、あとで夫役が一人で車に乗っているシーンでも、この曲が流れてきて切なくなっている。完全に、“家族”の思い出の曲になったのだ。

ラストシーンでは郊外の一軒家に、四人が暮らしていて、そのいかにも幸せそうな様子から、旅を通じて本当の家族になったんだな…と思ったら違った。裁判までの間の証人保護プログラムのため、集められていただけだった。おまけに庭ではマリファナが栽培されていて、まったく懲りた様子がない。
家族というより、共犯者が増えただけですね。このハズし方が最高だった。

だから、原題の“僕たちミラー家です(WE’RE THE MILLERS)”のわざとらしさも好きです。でもやっぱり、人の名前が入っている原題は変えられてしまうようで。

エンドロールの前にNG集が入っているのも楽しい。共演者同士が仲良くやっているところを観ていると、こちらまでにこにこしてしまう。
特に、『Waterfalls』が流れるべき場面で、フレンズのテーマ曲が流れるドッキリはおもしろかった。ジェニファー・アニストンのやられたーって顔が可愛かった。


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