『ジャッジ 裁かれる判事』


なんでサブタイトルが付いているのかと思ったら、去年、“!”が付きますが同じタイトルの邦画が公開されていたからかもしれない。また、“ジャッジ”だけだと検索もしにくい。原題は“The Judge”です。

ロバート・ダウニー・Jr主演。タイトルやポスターから法廷モノかと思っていたけれど、どちらかというと家族モノだった。

以下、ネタバレです。





都会に出て行った息子が、母の葬式のために田舎に帰ってくる。そこで疎遠になっていた父といざこざがあったり、昔の彼女とももめたりしながら、自分のルーツや過去と向き合う…という、よくあるといえばよくある話。ただ、私はこの形式の話がとても好きです。
主人公が30代とか40代とか、ある程度、年を取っていて、その兄弟が出てきたり、年老いた両親がでてきたり、主人公の子供も出てくると、より好きなジャンルになる。
最近だと、『ヤング≒アダルト』や『ネブラスカ』や『8月の家族たち』あたりも私の中では同じ雰囲気で好きです。
自分の生まれ育った場所や家族との切っても切れない、離れたつもりでも離れられていない、面倒くささすら感じる絆が描かれている。

都会に出て行ったということは、田舎になんらかの不満があったのだと思う。母の葬式がなければきっと戻ることもなかったのだろう。戻ったところで、当然居心地が悪い。周囲からも浮いている。
多分、本人としては“出て行った”つもりなのだろうが、終盤で兄に「お前はすぐに逃げるから」と言われていた。他の人からは“逃げた”と思われていたのも、戻ってみなければわからなかったことだろう。

父との関係が悪いのだが、父と息子、お互いに頑固で片方が譲歩しても片方が折れないということが続いて、関係がなかなか良い方向へ進まなかった。
ドラ息子の帰還系の家族モノでありながら、法廷サスペンスの面もある本作では、父が殺人の容疑者になってしまい、弁護士である息子がその弁護を引き受ける。ただ、その引き受けるまでも一苦労。引き受けてからも真実を話してくれなくて一苦労、と普通の家族ならば、子供が弁護を引き受けてくれるならこれほどスムーズに物事が進むこともないのだろうが、関係が良好ではないせいで、より複雑になり、事件の真相も映画が進んでもなかなか明らかにならなかった。面白くはあるけれど、まわりくどすぎる気もしました。

関係は修復はされるのですが、過剰にドラマティックにしようとしているのは少し気になった。「普段は犯人に温情をかけることがないのになんでだ」「お前に似ていたからだ!」というやりとりは確かに盛り上がるし、本当は愛されていたことがわかるけれど、それは法廷でやらなくてもいいのではないかと思ってしまった。
最後の方のボートに乗っているシーンでも、「お前は最高の弁護士だ」と今まで聞いたことのなかった言葉のあとで亡くなってしまう。そのタイミングで亡くなるのは少しできすぎというか、ご都合主義的な感じがしてしまった。

父が殺人犯になってしまうかもしれないという話だとシリアスになってしまいそうなものだけれど、ロバート・ダウニー・Jrの飄々としたキャラクターとその父役のロバート・デュバルの頑固さは独特で、笑いを誘うシーンも何度もあり、暗くはならない。
特にRDJはRDJっぽい役で、のらりくらりとしてそうだけれど、やるときゃやる男で、仕事ができてお金を持っていて、女性関係はだらしない。毒舌で人を馬鹿にすることもある。
要はトニー・スタークのような男だった。こちらはAC/DCではなくメタリカ好きとのことでした。
こんなキャラだから、昔の彼女の子供の件は完全に騙されました。

この映画はRDJと奥さんであるスーザン・ダウニーが設立した制作会社チーム・ダウニーの第一作目らしいので、もしかしたらあて書きなのかもしれない。チーム・ダウニー、エンドロールに出てきて気になってました。

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