『シン・シティ 復讐の女神』


2005年に公開された映画の続編。コミック『A Dame to Kill For』が原作になっている。
前作が公開されたのがだいぶ前のため、内容をほとんど忘れていましたが、最初に前作の簡単なあらすじがまとめられている。観直さなくても楽しめるとは思うけれど、観直した方がより楽しめると思う。

以下、ネタバレです。





ミッキー・ローク演じるマーヴを中心とした群像劇形式になっている。中心といっても主人公とは違って、短編短編の案内係という感じ。
犯罪が横行する街オールド・シティと、前作のヒロインともいえるナンシーがダンサーとして働く場末の酒場が舞台になっている。

タイトルの“復讐の女神”はおそらくナンシーがロアーク上院議員に対して復讐する話のことを指しているのだろう。これはオリジナルらしい。
原題の“A Dame to Kill For”はエヴァとドワイトの話を指している。こちらもドワイトがかつての恋人エヴァに復讐する話であり、これがこの映画の中心になっている。
もう一つ、ギャンブラーのジョニーが自分の父親であり捨てられたロアーク議員に復讐する話があった。これもオリジナルらしい。群像劇である三つすべてで復讐がテーマになっていた。

エヴァ・グリーンが吸血鬼っぽく見えるのはたぶん『ダーク・シャドウ』の影響だと思う。『300〜帝国の進撃〜』でも魔性の女役だったけれど、今回も似た感じの役です。あれもフランク・ミラー原作。
普通の服を着た普通の役はできなさそうというか、日常が似合わない女優さんだと思う。
ジュノー・テンプルも出てましたが、彼女も猫をかぶったキンキン声から本性を表した低い声に変わる様が漫画っぽかった。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットが『シン・シティ』の続編に出ると聞いた時には驚いたけれど、ハマっていた。もっとたくさん見たかったくらい。飄々としたギャンブラー役。
最初は猫を思わせるすました表情で、手際よくカードを配り、見事勝って得意げな顔をしていた。
けれど、相手は負けて黙って引き下がる相手ではなく、こっぴどくやられる。
足に銃弾が撃ち込まれ、指は色んな方向に曲げられ…とここまで散々な目に遭うJGLは他では見られないと思う。
最後、カードでは勝つけれど、結局は父親を組み伏せることができないのがわかる。その描写が面白かった。ポーカーをやるテーブルの上に小さくなったジョニーが乗っていて、ロアーク議員のカードがジョニーの体をスライスする。これは比喩だけれど、相手にしているもののあまりの大きさに気づいた表現なのだと思う。
ポーカーで勝って、「ほら、負けない」というジョニーは前半と同じ得意げな顔をしているけれど、目に涙が溜まっている。精一杯の意地とぎりぎりの強がりを感じる。映画はほぼモノクロなのですが、その涙がいやに目立つ撮り方をされている。
そして結局、ジョニーは額を撃たれて殺される。床に倒れたジョニーの目から涙がこぼれるのが切なかった。

そのあと、ナンシーがジョン・ハーティガンの仇をとりにいく最終章に移るので、心から応援してしまった。ジョニーの仇もとってくれと思いながら観ていた。

オールド・シティのアマゾネスというか、女性戦闘部隊も強くてセクシーで最高だった。特に日本刀を扱うミホがかっこよかった。回転をして四人の首を一気にはねる。
また、一本の矢で二人を串刺しにして同時に倒す様子は『300』や『ホビット3』を思い出した。

原作がコミックなせいもあるし、映像の作り方のせいもあるけれど、すべてがやりすぎなのがおもしろい。

映像は前作と同じトーンです。基本はモノクロだけれど、血や口紅などが赤かったり、エヴァ・グリーン登場時の服装が真っ青だったり、酒で狂気を帯びた目が赤くなっていたり、本性を表した目はグリーンだったりと、時々着色されていて、印象的な使われ方をしている。また、二人だけ全身がカラーの人物もいた。
あと、前作のイライジャ・ウッドのように眼鏡が白く光っているシーンがあったのは嬉しかった。

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