『リトル・ダンサー』


2000年公開。最近、ミュージカル版を観たので久しぶりに映画を鑑賞。ミュージカルでも映画と同じスティーブン・ダルドリーが監督をしているため、流れや全体を通したテーマや抱く感想は大体同じものだった。

ただ、上映(上演)時間がミュージカル版のほうが長いため、一つ一つのエピソードが長く、掘り下げられていて、コメディ要素はより笑えるように、感動するシーンもより泣けるような作りになっていたと思う。舞台という性質上かもしれない。

マイケルがワンピースを着ているシーンはクリスマスパーティーのシーンは映画ではそれほど時間が割かれていなかった。ワンピースのシーンはマイケルがビリーにお化粧をしてあげている。クリスマスパーディーは家族全員が紙でできた王冠をかぶっているイギリス特有の文化が垣間見えた。
ただ、両方ともそれほど印象に残るシーンというわけではなかったけれど、ミュージカル版では巨大な色とりどりのワンピースが出てきてワンピース姿のマイケルとビリーと踊ったり、クリスマスパーティーは二幕のオープニングということもあったけれど、人形劇で巨大なサッチャーが出てきたりととにかく派手で楽しい気分になった。
楽しい気分とはいっても、マイケルについては女物の服を着るのが好きだと告白するシーンだし、人形劇も政治的なものだし歌われるのはサッチャー批判であるから、本当は深刻な問題なのである。でも、両方とも、曲もセットもとにかくわくわくしたし、目を奪われた。
あと、クリスマスパーティーではお父さんが死んだ妻を思ってカラオケを歌うシーンがあるんですが、その無骨だけれど愛情がこもった歌声にほろりとしたんですが、そのシーンは映画にはまるまる無かった。あと、最後のお母さんの手紙のシーンも映画にはなくて、感動要素はミュージカルで足されているようだった。

映画ではサッチャーの名前は出てこないのですが、それは今から14年前という時代のせいなのかもしれない。
あともう一つ、時代のせいかなと思ったのは、映画ではマイケルがゲイであることをビリーに告げるシーンで、「誰にも言わないで」と言うのが深刻な感じだったのだ。ミュージカルだと「バレちゃった?」みたいな感じで、とても明るかった。これも時代の変化なのかもしれない。
ただ、映画公開の5年後にはもうミュージカルが作られているので、当初からあった演出ならば、単に映画とミュージカルの違いなのだろう。

ビリーを演じていた少年のジェイミー・ベルが可愛かった。家の事情、というか町の事情で試験に行けないときの怒りのダンスは映画版にもあった。狭いトイレの中でのタップダンス、耐えられないとばかりに扉を蹴破る姿からはセリフはなくてもビリーの思いが伝わって来た。

また、この子に『ニンフォマニアック』であの役をやらせたラース・フォン・トリアーにも想いを馳せてしまった。

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