『ゴッズ・オウン・カントリー』(二回目)



のむコレから二ヶ月、配給会社がついて、晴れて正式公開となりました。ご祝儀としてクリアファイル付きパンフレットも購入。クリアファイルは抱き合うジョニーとゲオルゲが表と裏になっていて、とても良いデザイン。
二回目の感想を簡単に。(一回目の感想はこちら

以下、ネタバレです。





少し前までの同性愛を取り扱った作品では、愛し合う二人は結ばれないものだった。死んでしまったり、酷い迫害を受けたり、それ故に片方が相手のことを思って身を引いたり、世間体を気にして別れたり。とにかくアンハッピーエンドになるパターンが多かった。

実は、何の情報も入れずに観た一回目は、序盤の荒涼とした風景とジョニーの堕落っぷりと逃げ場の無さっぷりからハッピーエンドになるのかはわからなかったし、またいつものパターンに当てはまるのではないか…と思いながらひやひやして観ていた。

二回目はある程度流れがわかっているので安心しながら観ました。誰も死なないというのがわかっているのもいい。
ジョニーの表情が何も望みがなくやる気も感じられないところから、ゲオルゲに会って警戒感丸出しになり、それからでれでれの締まりがないものになり、ゲオルゲに出て行かれてからは家族を守る強さが見える表情になり、最後はとても優しい表情になる。
その移り変わりは彼の成長そのままである。

人が一生懸命何かをする姿というのは見ていて応援したくなるし、成就した時には良かった!と思うし、何をかはわからないけど、私も頑張ろうという気持ちになる。見終わった後に自分の中に前向きだったり優しい気持ちが広がる。

こういう映画を自分の中に作っておくと、気持ちが落ち込んだ時などにこれを観れば、観終わった後には自分が優しい気持ちになることができる。映画によって自分の機嫌をとることができるのはすごいことだと思う。だから是非、ソフト化されてほしい。

同性愛者であることでの問題はそれほどないと思ったけれど、牧場の後継ぎができないというのは問題といえば問題なのかもしれないし、ゲオルゲも結局それを一番気にしていたようだった。けれど、女性をパートナーにしたところで、跡継ぎができるとも限らない。

それよりも、具体的にどうするのかはわからないけれど、ジョニーは建設的な意見を持ち、それを自分の父親に提案することができるようになったのが素晴らしい。序盤だとジョニーは父に畏れと苛立ちしか感じていなかったと思う。発作の影響もあると思うけれど、父を気遣う心を持つことができたのも、ゲオルゲのことを好きになったからだろう。ジョニーが父を気遣えば、父もジョニーに感謝をし、今まで叱責しかしていなかったのに礼を言うようになる。恐らく初めてなのではないかと思う。

すべてが良い方向へと進んで行く稀な映画だと思う。扉が閉まるエンディングなので、この先のことはわからない。神のみぞ知る。大変なことも多いと思うけれど、きっと良い方向へ進んで行く。扉の向こうは新たな始まりなのだ。だから、観終わった後に、ああ、観て良かった…と心から思う。

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