『パリ猫ディノの夜』



2013年公開。フランスでは2010年に公開され、アカデミー賞長編アニメ映画賞にもノミネートされた。
もともと、『パリ猫の生き方』というタイトルで、2011年のフランス映画祭で公開されたらしい。原題“Une vie de chat”は猫の生き方みたいな意味なので、そのままの翻訳のようですが、『パリ猫ディノの夜』という邦題は素敵なのでこちらのほうが好きです。

絵柄は外国の絵本のような独特なもの。色鉛筆で塗ったような色彩も独特。人間の体の動きもぐにゃんとなったりなめらかです。

ノートルダム大聖堂、エッフェル塔などの建物のデフォルメの仕方もいい。屋根の上から見たパリの街並も美しく、少し『レミーのおいしいレストラン』を思い出した。
ジャズ風の音楽もおしゃれで、大人が観ても充分に楽しめる。

絵柄や雰囲気だけではなく、70分と短い時間ながら、ストーリーも濃い。
タイトルから猫が主役ではないかと思っていたが、人間の描き方がうまい。また、登場人物がわりと多めで、しかもちゃんと絡まり合ってる。
夜の動物園に逃げ込むのもファンタジックでドキドキするし、酷い香水の伏線が回収されるのもよくできている。
アニメでの暗闇描写の仕方も、黒い画面に白い線で描かれた人物が動くという独特のもので面白かった。
最後に、夜の冒険について、失語症の治ったゾエが矢継ぎ早に母親に話すシーンは泣けた。

ディノの猫動きも可愛らしいし、ライバルというか相手に勝手にライバル視されている隣りの犬のオチも笑った。

日本のアニメ絵とはまったく違う。でも、ただのおフランスおしゃれアニメでもない。絵にもストーリーにも独特のこだわりが感じられた。


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