『高慢と偏見』


ジェーン・オースティンによる1813年の小説は、何度か映像化されていますが、今回観たのは1995年のコリン・ファースがダーシーをやったドラマです。全六話。

20年くらい前のドラマだし、ドラマの舞台になっているのは更に前なので、かなり時代を感じる作りになっている。髪型や服装も昔っぽい。コリン・ファースもお姿は麗しいながら、変なもみあげです。
イギリスの時代物といえば、最近だと『ダウントン・アビー』が人気ですが、あれは1912年。この話の100年も後ということで、まったく違った。

最初はあまり世界観がわかっていなかったんですが、あまり裕福ではない家の五人姉妹のお婿さん探しのてんやわんやだった。中でも二女のエリザベスとダーシーのロマンスが中心になっている。

五人姉妹なので、母親が特にお嫁に出そうと躍起になっていて、もちろん娘のことを思ってのことでもあるのだろうけれど、自己中心的にも見える。
二話目の最後のほうで出てきた従兄弟で牧師のコリンズが、いい人そうに見えるけれど上にへこへこしすぎるというか、恰好もそれほど良くなくて、このキャラはどうなのかと思っていたら、エリザベスに結婚を申し込んでいた。エリザベスは断るんですが、そのことについても、お母さんがまあうるさかった。何についても口を出してくる。娘が大事なのか、世間体が大事なのか、自分の家が大事なのかよくわからない。

後半の末っ子リディアの駆け落ち関連についても、褒められた話ではないのに娘が一人片付いたことに大喜びし、リディア本人も幼さから状況がわからず誇らしげになっているあたりが、観ながらもあまりいい気分にはならなかった。
リディア以外の四姉妹も長女のジェーンは大人なので作り笑いでにこやかにしているけれど、四女は明らかに渋い顔をしていて、長女から下にいくにつれて、順に顔が険しくなっていくのがおもしろかった。

現在のドラマだと、主人公サイドや視聴者に対して不快な態度をとる人物は最後のほうで天罰的に悪い目に遭ったりしますが、このドラマでは他の登場人物をより幸せにするという方法がとられていたのが良かった。

他の姉妹の恋愛模様も一話から同時進行していくのが面白かった。
長女のジェーンも、あっさりうまくいくのかと思いきや、外野からの邪魔や勘違いが入り、結局最終話までもめていた。でも、誰もが認める良い人物だったし、幸せになってよかった。

主人公エリザベスとダーシーについてですが、最初の印象は最悪なんですね。ダーシーは最初からエリザベスのことが気になっていたようだったけど、とにかくプライドが高くてつんけんしている。
告白するときも真顔な様子から、なんとなく『ブリジット・ジョーンズの日記』でコリン・ファースが演じていた役に似ているなと思っていたら、この作者自体が、『高慢と偏見』に影響を受けていたらしい。
この話があったあとで、映画版でもコリン・ファースが演じているとは、かなり粋だと思う。すべて知った上で、原作から映画化する際に、コリン・ファースが演じることになったという流れを聞きたかった。相当驚いたと思う。

最初はエリザベスと同じで、ダーシーのことをいけすかない奴と思っていたんですが、屋敷の見学に行くあたりからだんだん好きになってくる。

この屋敷がとても立派なのですが、チェシャーのライム・パークというところらしい。マンチェスターの南東あたりみたい。なかなか行きづらそうだけど、行ってみたい。ロケ地として有名らしいので、ツアーか何か組まれているかもしれない。

ダーシーが泳ぐ池も実際にあるらしい。服を着たまま池で泳いでそのまま上がるんですが、水に濡れた姿でエリザベスと対面するんですね。まさか、いるとは思っていないので、とんでもない姿で、でもプライドが高いからそれほど大慌てもせずに。でも確実に動揺がわかる姿が良かった。その後、必要以上にびしっとした恰好で出て来るのも可愛い。

最後はジェーンとビングリーの結婚式と、エリザベスとダーシーの結婚式が一緒に行われる。その時はダーシーも真顔ではなく、ちゃんとにこやかでした。

ヒロイン、エリザベスを演じたのはジェニファー・イーリー。調べてみたら、『コンテイジョン』で薬を発明して得意げに鼻を膨らませてた方ですね。あの役、好きでした。このドラマの頃には実際にコリン・ファースと交際をしていたらしい。


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