『ドラキュラZERO』
Posted by asuka at 10:10 PM
主演のルーク・エヴァンスと衣装などはかっこよかったです。
以下、ネタバレです。
トランシルヴァニアのドラキュラのモデルとなった実在の人物ヴラドが主人公となっている。でも、伝記というわけではありません。
息子を守るために、洞窟の中の魔物と契約をして力を手にするんですが、その契約というのが、三日間は人間の血を欲すると思うけれどそれを我慢すれば人間に戻れる、血を飲めば魔物が洞窟の束縛から解かれるというものだった。
普通であれば、困難を乗り越えて、血を飲まずに我慢をし、魔物の誘惑にも負けずに、敵も倒してめでたしだと思う。
しかし、この映画では、あっさり誘惑に負けてしまう。
ルールがわかりにくかったんですが、妻が死にそうなときに「私の血を吸って」と言うんですね。たぶん、魔物に操られているんですが、ヴラドは吸ってしまう。
おそらく、これで完璧な吸血鬼になったのだと思う。でも、ここで、魔物が洞窟から解き放たれて、代わりにヴラドが閉じ込められるわけじゃなかったのか。そして、完璧な吸血鬼になることで、力が倍増するのはわかるんですが、少し前に「血を飲んでいないから十字架を怖がらない」と牧師が言っていたけれど、飲んだ後も別に怖がっていなかった。
ただのいいことづくめである。
その力というのも、自らを吸血鬼の姿にして瞬間移動とか、超能力のように無数の吸血鬼を遠隔操作して敵を蹴散らすといったもので、そもそも吸血鬼である必要があったのかどうかわからない。
吸血鬼といえば、人間の首もとを噛んで血を吸うイメージなんですけれど、この映画では獣が噛んで獲物を仕留めるイメージ。噛んでもたぶん血を吸っていなかった。殺す手段でしかない。吸血鬼の牙の使い方を間違っている。
吸血鬼映画は血を吸われている側の快楽まみれの顔が見所だと思う。もうすぐ死ぬのに気持ち良くなってしまう背徳感。そんなのはまったくないアクション映画だった。
噛んで血を吸ってるわけじゃないから、噛まれた側が吸血鬼になるわけではない。どうやって吸血鬼になるかというと、血を飲ませるんですね。
この辺のルールもよくわからなかったんですが、ヴラドは洞窟の中の魔物の血を飲んで力を手にし、血を飲んで完全な吸血鬼となった。
ここでヴラドが洞窟に閉じ込められなかったからもうここでルールは崩壊してるんですが、ヴラドが他の人に血を飲ませても、ただ吸血鬼を量産するだけだった。そもそもの洞窟ルールはどこかへ行ってしまった。
それで、とても許せなかったのは、吸血鬼にしたのは自分のところの民衆なんですよね。死にかけの人間に、生きたいかと聞いたら生きたいと言うに決まっている。それで、吸血鬼に変えて、敵軍と戦っていた。
民衆はまさに魔物のようになっていて、ヴラドだけなぜ人間の心を持ったまま吸血鬼になったのかわからない。吸血鬼になった民衆たちは、助け出したヴラドの息子を襲おうとして、挙げ句、退治されてしまった。日光を浴びて灰になってしまったのだ。まるで、息子はもう助けたから用済みとばかりに。
これで民衆を守ったと言えるのだろうか。自分の子供を守っただけではないのだろうか。
残忍な殺し方で串刺しヴラドなどと呼ばれていた人物が、近年は故国を救った英雄としての見方もあるらしいんですが、そこでぴんとくるものがあったのかもしれないけれど、いくらなんでも他の設定がいい加減すぎる。
吸血鬼だから死ぬことはなくて、現代にもヴラドが出てきて奥さんの生まれ変わりに話しかけたりするんですが、生まれ変わりなのかずっと生きてたのかわからないけど、魔物も出てきていた。スーツを着て、普通のおじさんっぽくしていた。
これは続編があると考えていいのかどうかわからないけれど、この現代の話は興味があるので、こっちをメインにしてほしかった。誕生の話は冒頭10分くらいにまとめてくれて良かった。
続編にもおそらくドミニク・クーパーが宿敵みたいに出てくると思うし、因縁を抱えたまま輪廻転生していたら楽しい。
現代版魔物が「さあ、ゲームをはじめよう」と言っていたので、もしかしたら何か見のがしているルールがまだあったのかもしれない。
これだけ文句をつけつつも、続編があるならば、たぶん観ると思う。
calendar
ver0.2 by バッド
about
- asuka
- 映画中心に感想。Twitterで書いたことのまとめです。 旧作についてはネタバレ考慮していませんのでお気をつけ下さい。
Popular posts
-
アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、歌曲賞ノミネート、脚色賞受賞。その他の様々な賞にノミネートされていました。 以下、ネタバレです。 北イタリアの別荘に夏の間訪れている家族の元に、一人の青年が訪れる。家族の父親が教授で、その青年は教え子である。 まず舞台の北イタリアの夏の風景が素晴...
-
ウェス・アンダーソン監督作品。前作の『ムーンライズ・キングダム』は、ブルース・ウィリスやティルダ・スウィントンは良かったし、家の中の撮り方も良かったけど、お洒落映画でしかないかなという感想だった。そのため、今回もかまえてしまっていたけれど、すごく面白かった。 やはり、撮り方な...
-
いわゆるロードショー公開はされない注目作を上映するのむコレ2018にて上映。 今年公開された映画らしい。 あまり内容を調べずに観たので、タイトルと、主演が『ゲーム・オブ・スローンズ』のラムジー役でお馴染み、ウェールズ出身のイワン・リオンだったため、RAFのイギリス部隊の話かと思っ...
-
試写会にて。わかったことと、わからないこと。 以下、ネタバレです。 クーパーがどうやって助けられたのかがよくわからなかったんですが、あの時のアメリアの顔は幻じゃなかった。映画の序盤でワームホールを通る時に、アメリアが“彼ら”の姿を見てハンドシェイクをする。結局“彼...
-
ドルビーアトモスで観たんですが、席が前方だったせいもあるかもしれないけれど、あまり音の良さはよくわからなかった。前回がIMAXだったからかもしれない。 IMAXと同じく、最初のプロモーション映像みたいなのはすごかった。葉っぱが右から左へ。 以下、二回目で思ったことをちょこ...
-
2013年公開。あんまり評価がよくなかったので映画館へは行かなかったんですが、ハリー・トレッダウェイが出ているということで観てみたらおもしろかった! 映画館で観れば良かった。 149分と多少長く、長いわりにエピソードが細切れでまとまってない印象はあったけれど、これも劇場で観ていれ...
-
ほぼ半月あけて後編が公開。(前編の感想は こちら ) 以下、ネタバレです。 流れ自体は前編と同じ。ジョーがこれまであったことを話し、それに対して、セリグマン(今回はちゃんと名前が出てきた。ステラン・スカルガルドが演じている男性)が素っ頓狂なあいづちをうつ、と...
-
IMAXレーザーというと109シネマズ大阪エキスポシティのものが有名ですが、このたび109シネマズ川崎と名古屋にも導入された。そのプレオープンで『ダンケルク』の上映があったので行ってきました。 ただし、大阪のレーザーはGTテクノロジー(旧次世代レーザー)という名称で、スクリーンの...
-
新宿シネマカリテにて、毎年行われているちょっと変わった作品を集めた映画祭カリコレにて上映。 ステファン・ダン監督初長編作品。カナダ出身なのと、同性愛もの、家族もの、音楽がふんだんに取り入れられたスタイリッシュな映像…ということこで、第二のグザヴィエ・ドランというふれこみの...
-
2000年公開。曲や映像づくりなど、とてもダニー・ ボイルらしい映画だった。 幻のビーチに辿り着くまでの話なのかと思っていたけれど、 かなり序盤でビーチには辿り着いてしまう。 そこから物語が展開していくということは、 ビーチがただの天国ではなかったということ。 一人旅の若者が...
Powered by Blogger.
Powered by WordPress
©
Holy cow! - Designed by Matt, Blogger templates by Blog and Web.
Powered by Blogger.
Powered by Blogger.
0 comments: