『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』



2012年公開の『アベンジャーズ』の続編というよりは、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)全体を追っていないと話が把握しにくいかもしれない。特に、『アベンジャーズ』後の作品だと『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は直接話が繋がっているので観ておいたほうが流れがスムーズだと思う。ただ、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』には『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』を観ないとわかりにくい部分もあり…。

以下、ネタバレです。










全員の戦闘シーンをワンカットのように見せるやり方は前作で話題になりましたが、今作はそれを開始5分もしないうちに見せてしまう。森の中での何者かの戦闘との最中からいきなり始まるんですが、なかなかの太っ腹である。流れるような戦闘シーンはもとより、キャプテン・アメリカの盾をソーがハンマーで叩いてその衝撃で敵を倒したりと武器を組み合わせるのも恰好良い。横一列というか、斜めに並んで、ポスターのような構図になるのも良かった。

ただ、本当に贅沢な話なんですが、ヒーロー一人一人が違った恰好良い動きをしていて、一体どこを見たらいいのかわからない。もったいない。
後半にも総動員で戦うシーンがあり、そこは、背中合わせに円になって襲い来る敵を向かい討っているんですが、全員が視界に入っているのに追いきれない。一時停止したり、巻き戻したりして何度か観たい。
普通はメインになる人を決めて、その人をカメラが追っていくと思うんですが、全員がキメの動きをしていて、あわあわしていると、ヴィジョンがふわーっと飛んでくる。

それで、実は私はジョス・ウェドン製作・共同脚本の『キャビン』を思い出した。ネタバレ厳禁の作品なので詳しくは書きませんが、うわっと現れたものがそれぞれに違う動きをするシーンがありますよね。あれっぽい。どれにも焦点が当てられていないけれど、どれもが特徴的な動きをしていて、どれを観ていいかわからない。迫力は伝わってくる。

この情報量の多さは映像だけではない。アベンジャーズという企画自体がオールスターものだから仕方ないけれど、ヒーロー個々の映画も数作品作られていて、そのバックグラウンドなどは巨大なものになっていて、それを詰めこもうとするとぱんぱんになってしまう。
今回は、アイアンマンシリーズのウォーマシンやキャプテン・アメリカシリーズのファルコンも登場。ヒーローになる前の生身の姿(ジェームズ・ローズ、サム・ウィルソン)で初登場しても、特に説明などはないので、この辺は旧作(『アベンジャーズ』ではなく、『アイアンマン』や『キャプテン・アメリカ』)を観ておけとのことなのだろう。

更に、双子やヴィジョン、敵方だとウルトロンなど新キャラも加わって、展開もかなり駆け足。ずっと集中して観られて良かったけれど、少し頭の中や流れを整理して、もう一度観たいと思う。
ちなみに今、上映時間を確認したら2時間21分だったんですが、そんなに長いと思わなかった。1時間55分くらいの感覚だった。

双子の男の子のほう、動きが素早くて、あの子の動きが素早いばかりに周囲が止まって見えるって、まるでクイックシルバーみたいだなあと思っていたらクイックシルバーだった。『X-MEN:フューチャー&パスト』のエヴァン・ピーターズの印象が強かった。シルバーって銀髪だからなのかと思ってけど、今作のアーロン・テイラー=ジョンソンは金髪だったし、原作コミックスを全く読んでいないので、生身の時のピエトロ・マキシモフという名前がクイックシルバーだとは思わなかった。
しかし、『GODZILLA ゴジラ』の時に拍車をかけて、キック・アスというかあのギークとは別人に…。

双子の女の子のほう、スカーレット・ウィッチは、エリザベス・オルセン。『キル・ユア・ダーリン』でジャック・ケアルックの恋人役だった人。『GODZILLA ゴジラ』ではアーロン・テイラー=ジョンソンの妻役。

ヴィジョンという人造人間というかロボットが進化したような姿をしたヒーローが出てくるんですが、原作コミックスとは設定が違うらしい。原作ではウルトロンによって作られたものらしいけれど、映画では操られたチョ博士が作り、トニー・スタークがジャーヴィスのAIを仕込んだ。原作だとAIも違う人らしいけれど、映画だと、ジャーヴィスの声を演じていたポール・ベタニーがそのままヴィジョンを演じている。
ヴィジョンはヴィジョンでとても恰好良いし、ポール・ベタニーの姿が見られるのも嬉しいけれど、アイアンマンの参謀役というか、トニーの執事役というか、丁寧な感じのジャーヴィスも好きだったので、次作以降の『アイアンマン』でどのような扱いになるのか気になる。また出てきて欲しいけれど、もうAIは搭載しちゃったので無理そう。

ウルトロンも今作ではトニーが作っていたけれど、原作では9月公開の『アントマン』の主人公(?)ヘンリー・ピム博士が作ったらしい。今作では一応世界平和のために作られたけれど、原作ではお手伝いロボだったとか。そういえば、『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』で観たような。

今回、本当に展開がはやく追うのが精一杯なので、クスッとしたギャグや粋な言い回しがいくつも混ぜられていたけれど、観たそばから忘れてしまいあまりおぼえていない。
キャップが序盤で、トニーに対して「口が悪い」と注意したことを最後のほうまで何度も引っ張られていたのが面白かった。それと、「(敵が)片付いた」/「片付いてない」が序盤と後半に出て来るのも良かった。
ギャグとは違うんですが、トニーが“DJをしているブルース・リー”にしか見えない写真のプリントされたTシャツを着てたんですが、まさに、DJをしているブルース・リーだったのがびっくりした。ブルース・リーの動きにDJセットを組み合わせるパロディTシャツが流行っている(いた?)らしい。

あと、序盤のパーティのシーンでソーのハンマーが持ち上がらないのもおもしろかった。みんなが代わる代わる、あの手この手で持ち上げようとするがびくともしない。それくらい重いのかと思っていたけれど、高潔な心の持ち主でなければ持ち上がらないそう。
これは事件前の休息ギャグシーンなのかと思っていたけれど、びくともしないハンマーという伏線が、クイックシルバーが持とうとして引っかかるシーンに生かされているし、ヴィジョンは持てたということは…というのを暗に示している。無駄なシーンではないのだ。

前作だと、生身の人間同士のごたごたがわりとだらだらしていて、でも、そのだらだらも良かったんですが、今作では気を抜くシーンはない。

今作で盛り上がったのは、S.H.I.E.L.D.のヘリキャリアの大復活と、アイアンマンのハルクバスターです。両方とも、出てきた瞬間に口あんぐりでした。
ハルクバスターは先程見たら予告編に出てきていた。あんな秘密兵器は本編までとっておいてほしい。アイアンマンを包むようにして、ハルクと同じ大きさになる。名前の通り、ハルクを止めるための道具です。
前作のときに、全員がバナー博士がハルクになるのを恐れていたが、その強大な力に頼らなくてはならない場面にも遭遇していた。
抑えがきかなくなったらどうしようかねということを、トニーが考えなかったわけはない。対抗するスーツをちゃんと作っていたのに納得した。
ハルクに対するのでほぼ肉弾戦なのだが、ハルクバスターが殴って歯が折れてしまったときに、「ごめん」と本当に申し訳なさそうにしていた。激しい戦いでも決して敵ではないからこその反応。

今作ではナターシャが積極的にバナー博士を口説きにかかるんですが、少し唐突な感じがしてしまった。いつ好きになったんだろう。ハルクの手に触れたときに、少しおとなしくなったからだろうか。
前作の様子だと、親友と言われていても、バートンと恋人同士なのかと思っていた。

バートンというか、ホークアイは今回はかなり出番が多かった。前作ではほとんどロキの操られていたし、テレビ放映時にも彼の出演シーンはカットされることが多かった。なんと、前作撮影時にはロバート・ダウニー・Jrに会ってないらしいです。見かけただけだとか。
今作では、前回ロキに操られた教訓を生かして操られない。
あと、前作の一番の決めのセリフがバナー博士の「いつも怒ってる」だと思うんですが、今作はホークアイが小屋の中で怯えているスカーレット・ウィッチに言う「扉の外に出たら、君もアベンジャーズだ」というセリフだと思う。
おそらく、ホークアイは今回でアベンジャーズを抜けるんですよね。それで、スカーレット・ウィッチが新メンバーになりそうなので、あのセリフはバトンタッチの意味が含まれているのかなとも思うと泣ける。

アベンジャーズとしての次作は2018年とのこと。スカーレット・ウィッチ、ヴィジョン、ファルコン、ウォーマシンが最後に集められていたので新メンバーになるのかな。その間にまたMCUとしてはいろいろ公開されると思う。かなり壮大になっていく。終わることはあるんだろうか。
とりあえず、本作は落ち着いてもう一度観たいと思います。

予告にもCMにもネタバレがあるようだったので、映画館で目をつぶったりテレビの音量をミュートしたりしてなんとか避けて臨んだ。でも、一つ、意図しないままに入れていた情報として、“ホークアイが農場で野菜育ててる”みたいなのがあって、なんだそれと思っていたんですが、良く考えたらあの隠れ家のことだったんですね。今回、映画を観ている最中にも自然すぎて気づかなかったんですが、ラストのほうで「お前も農場やったら」みたいなセリフが出てきて、あのことか!とふと思い立った。ネタバレ踏んでいた。

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