『ディス・イズ・ジ・エンド 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』


セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグという『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の脚本コンビの監督作品。『童貞ウォーズ』の登場人物のモデルにもなってる二人ですね。『50/50 フィフティ・フィフティ』『グリーン・ホーネット』『スモーキング・ハイ』あたりにも名前が連なっている。
出演者もWikipediaなどで見ていると、どこかしらで繋がりがあっておもしろい。
ただ、その界隈の作品をまったく観ていないとおもしろくないかもしれない。俳優さんたちが実名でその人として出ていて、前の映画関連でのギャグや、演じた役とのギャップで笑わせもするので…。内輪受けに感じるだけだろうし、『スモーキング・ハイ』『スーパーバッド』や『21ジャンプストリート』も公開がなかった日本では、劇場公開は難しいと思う。この作品もDVDスルーです。

逆に言うと、その界隈の映画ファンにはたまらなかった。大サービス作品です。

以下、ネタバレです。






セス・ローゲンの元にカナダ時代からの旧友、ジェイ・バルチェルが遊びに来る(『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』で共演)。セスは「ジェームズ・フランコが家を建てて、新築パーティーをやるから遊びに行かないか」とジェイを誘う。
セスとフランコの行き過ぎなくらいの仲良し加減は、現在、ブロマンスの代表みたいな感じで知られてますが、それを作品にちゃんと入れてきている。
この辺も、セスとフランコがブロマンスという基本知識が頭に入ってないとなんでジェームズ・フランコの家に行くのかがわからない。登場人物というよりは俳優そのままがキャラクターなので、作品中での説明はないのだ。

パーティー向かう道すがら、「チャニング・テイタムもこの辺に住んでるんだ。セクシーストリートだよ」というセリフが出てきて、テイタムの扱いに笑った。

パーティー会場ですが、マイケル・セラも来てるんですがこれが酷い役。『童貞ウォーズ』では、一番の常識人というか、色白ベビーフェイスで一見モテそうでしたが、クスリとセックスでやりたい放題、パーティーの中で一番乱れてる。これはおそらく、マイケル・セラが実生活ではこんなだったらおもしろくない?というアイデアだと思う。彼の出演作をいくつか観ておいたほうが、そのギャップで笑える。

ちなみにパーティーにはクリストファー・ミンツ=プラッセも来ていて、ジョナ・ヒルも出てるから、『童貞ウォーズ』の同窓会みたいになっていた。クリストファー・ミンツ=プラッセのほうが「俺はコカインやらないんだ!」ってマイケル・セラのことを怒っていたのがおかしかった。
そして、マイケル・セラは死に方もかなり酷かった。たぶん、実際はきっといい奴なんだと思う。作中、ほかのシーンでも、「奴は酷い死に方して当然!」みたいなことを言われてたけど…。

フランコのパーティーに来ていた有名人が次々に襲われるんですが、もうリアーナが穴に落ちていって「リアーナ!」って言ってるだけでちょっとおもしろいので、実名は正解だったと思う。

この先はフランコの新居に籠城するので、ほとんどワンシチュエーションコメディです。狭い中で男たちがわちゃわちゃともめたり仲間割れしたり仲直りしたり。

ジェームズ・フランコがあらゆる場面でセス・ローゲンを好きすぎて気持ちが悪い。褒め言葉です。ブロマンスをネタで使っているので、好き具合が誇張されていてより気持ち悪い。
“Seth”“James”と名前を書いた紙を自慢の新居に横に並べて飾ってるのだけでも、もう、少しひいてしまう。籠城するのに窓に貼るためはがそうとすると「セスのほうはダメだ。俺のを使え」と言ったり。おらゆる面でセスを大切にしてた。

ジョナ・ヒルは作中で嫌みだ嫌みだと言われてましたが、確かに片耳のキラリと光るピアスからして嫌みで、しかもなんの説明もない。気味悪いくらいいい奴で人当たりもいい。けれど、隠れてジェイを殺してと神に祈ったりと、外面だけがいいようだった。
その時に神様にわかるようにか、「『マネーボール』のジョナ・ヒルです」と言うのにも笑った。そりゃあ、知名度的にもアカデミー賞にノミネートされてたし、その作品を出すのが適当でしょう(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』公開前です)。でも、この映画を観てる人はどう考えても、『マネーボール』以上に、『童貞ウォーズ』とか他の作品を観てるはずである。この辺の嫌みも関連作品を観てないと通じない。
また、エマ・ワトソンが逃げ込んできて部屋にこもったときに、「アメリカの人気者、ジョナ・ヒルだよー」と言うのもかなり嫌み。その前に、「彼女はイギリス人だからまずい飯も大丈夫だろ」とか、もう軽い人種差別発言があってそれも笑った。

家の中の揉め事で、ダニー・マクブライドがエロ本に精液をかけたことをフランコが激怒する場面もおもしろかった。「21世紀なのにエロ本でヌイてるのか?」とか、言葉の応酬が酷い。
あと、ジョナ・ヒルが悪魔にとりつかれたとき、低血糖で倒れたと勘違いしてミルキーウェイを食べるシーン。親鳥が雛に与えるように、と一旦口に含んだミルキーウェイを、というかもう唾液をフランコがジョナ・ヒルに垂らすシーンも引き気味ながらも笑った。
全体的にフランコは色んなシーンで気持ち悪いんですが、懺悔でリンジー・ローハンとヤッたと告白するのも、なんか本当にありそうで気持ち悪かった。おもしろかったけど。

ここまでも、何度も笑えるシーンが出てきて、声出して笑ってたんですが、後半のたたみかけ具合がものすごい。

まず、フランコの家を追い出されたダニーが暴徒と化してるんですが、手に四つん這いにした人間を連れてるんですね。ほぼ全裸で性奴隷として飼ってると言っていて、マスクをとったらそれがチャニング・テイタムっていう…。
序盤に話には出てきたけど、パーティーにはいないみたいだったし、すっかり出てこないと思いこんでた! こんな場面でこんな姿で出てくるとは、すっかり裏をかかれた。
四つん這いになりながらダニーの股間を触ってたし、“欲しがりチャニング”などと呼ばれてたし、本当に酷い扱い。仕事を選べと思ったけど、そもそも『21ジャンプストリート』でジョナ・ヒルと共演しているのを観て私の中での好感度が上がったので、今回、ますます上がりました。

セスだけ光に 選ばれずに天国へ行けないかと思われたその時、光がセスを包んだときに、♪エンダアア!と流れてきて爆笑した。『I Will Always Love You』が満を持したときのBGMとして使われるのって、世界共通なんだ。でも考えてみたら、もともと外国映画だし当たり前か。笑いは世界共通だと感じた。

それで天国ではしゃぎまくるんですが、なんでも手に入るって言って、セグウェイを出すのがまたおもしろいしわかる。なんとなく、みんなの憧れ感があるというか、チョイスが絶妙。ちょっと古いところがまたいい。

そして、本当になんでも願いが叶うのかとジェイが出したのが、バックストリート・ボーイズ!! 前半のパーティーでもBGMだけ使われてて、古いけどこうゆうイケイケパーティーに似合うなあと思ってたら、最後はご本人登場。みんなで踊って終わりですよ。
天国なんで確かにTHE END、でも、楽しい!

小ネタ全部は拾えてないけど、おもしろかった。でも、予備知識というか、関連作品は少し観ておいたほうがいいんじゃないかなと思う。観る人を選ぶけど、好きな人にはたまらないです。オールスターといった感じ。
私はこれから『スモーキング・ハイ』を観ようと思います。

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