『BLUE ブルー』


1993年公開。吉祥寺バウスシアターの爆音音楽祭にて。今回は“THE LAST BAUS さよならバウスシアター、最後の宴”の一環として行われている。

『BLUE』 はたぶんデレク・ジャーマンが亡くなった94年か、公開時の93年に、特集を組んでいた池袋のACT SEIGEI THEATERと中野武蔵野ホールで観ていますがほぼ20年ぶりだった。今年は亡くなって20年経つし、どこかでまた特集でも組んでくれたらいいのにとも思うけれど、上映していた映画館が二つとも無くなっているし、今回観るバウスシアターも無くなるということで、難しいのかもしれない。

この『BLUE』は画面は青一色で、映画というよりはポエトリーリーティングと少しの音楽を“聴く”という感じなので、爆音でやってくれたのはとても嬉しい。特に音楽シーンがクリアに聴こえたのと、ベルリンのクラブで流れていた曲が恰好良かったのと、HBが好きだった洗濯機の回る騒音にも近い音が良かった。

デレク・ジャーマンが視覚を失っていくのですが、映画を観ている私たちも画が無い分、耳だけでとらえようとして感覚が研ぎすまされていく。音に集中することで、画が見えてくる感じがする。まるで疑似体験をしているよう。

また、時間の感覚がなくなり、いまが映画のどの辺だかがまったくわからなくなる。雰囲気からも、中盤なのか、終盤なのかまったくわからない。けれど、青一色の世界に没頭し、どっぷりつかりきったところで、ぱっと急に画面が暗転して、現実に戻される。この体験はなかなか貴重だと思う。余計なものが目に入ってくるし、家でDVDで観賞するものではない。サントラというか、すべての音が入ったCDも出ていたと思うので、それを聴いて目を閉じた方が近い感覚が味わえるかもしれない。

ちなみに、ポエトリーリーディングには、デレク・ジャーマンの他にティルダ・スウィントンも参加している。彼女はデビュー作もデレク・ジャーマン作品だったし、常連でした。

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