『ブルージャスミン』


ウディ・アレン監督作品。アカデミー賞でも主演女優賞、助演女優賞、脚本賞にノミネートされていました。
以下、ネタバレです。





個人的にウディ・アレン監督作品が合わないと感じているんですが、今作もクラシックな感じは無かったけれど、やっぱり合わない感じはした。
主人公を演じるケイト・ブランシェットの演技は素晴らしかったです。実際に近くにいたら怖いし関わり合いたくはないけれど、知らぬ間に独り言が出てしまうシーンは笑いが漏れていた。

破産した主人公が妹の家に来る時に高そうな服を着て、高級ブランドのスーツケースを持ってきた時点でもう、この人のこと好きになれないと思ってしまった。何も自分の状況がわかっていないし、世間知らず加減に苛々してしまう。
セレブ男性の前で保身のための嘘をついたときにも、その見栄の張り方が許せなかった。セレブな生活をしていたら、そうなってしまうのかもしれないけれど、まったく共感ができない。
別に共感を求めているわけじゃなくて、そんな様を滑稽だと見て楽しめばいいのかもしれないけれど、誰かに感情移入しながら観るくせがついているみたいだ。

妹は妹で、あんな姉(しかも血が繋がっていない)がいて不憫だとは思うけれど、彼女が選ぶ男はどれもこれも酷くて、こちらにも共感できない。でも、パー ティーでちょっと素敵な男性に言い寄られて、「このパーティーのホストは僕の妻です」って言ってたのに、あとから「奥さんがいるなんて聞いてない!」と 言っていたのは、彼女のうっかりした性格をよく表していておもしろかった。観客ですら憶えてるのに忘れちゃったのか。

セレブからどん底に落ちた女性が這い上がれるか、みたいなキャッチコピーがついていたけれど、ラストは嘘がバレて更に精神的に不安定になっていた。出てきた時から不安定だったし、結局どうにもならなかったという印象。
過去が織り交ぜられていたけれど、彼女の全てはもうその回想シーンで終わってしまっていて、映画で描かれていた現在はその後だけだったんだなと思うと、手法はおもしろい。
結局、前のパートナーであるハルのことを愛していたっていう、ただそれだけの話だったのではないか。ラブストーリーのその後だけが描かれていたのかもしれない。

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