『マジック・イン・ムーンライト』


コリン・ファースがマジシャン役、エマ・ストーンが霊能力者役で共演のロマコメ。両方とも好きな俳優さんなのですが、ウディ・アレン監督作品が個人的にあまり合わないため、どうかなとも思ったのですが楽しめました。

以下、ネタバレです。








二人の職業が特殊なのと予告を見た印象では、騙し騙されのラブストーリーになるのではないかと予想していた。それでも、コリン・ファースはとほほ役が似合うので、最後にはエマ・ストーンに騙されて、お金でもとられてしまうのではないかと思っていた。
でも、想像よりもだいぶハッピーな内容の映画でした。

これは監督の特徴かなとも思うのですが、南仏が舞台だけれど、景色を生かした撮り方はあまりされていなくて、人物がとにかくうわーっと喋りまくったと思えば、カットが変わり、またうわーっと喋る。そのお喋りの内容は楽しいものではあるのだけれど、とにかく会話が続くのと、画面的には人が喋っているところを映しているだけなので単調であるため、少し疲れてしまう。

そして、これはわざとかもしれないけれど、表情などをじっくり映すというよりも、とにかく喋らせるので、それが本心なのかがよくわからない。気持ちの変化が読み取りづらい。

コリン・ファース演じるスタンリーがおばの家に行って、エマ・ストーン演じるソフィーが過去を言い当てるのですが、今まで絶対に信じない、いかさまだと疑っていた男がここでコロッと信じるほうへ方向転換する。
敬愛するおばだからなのか、頭が固い男は崩れるときもあっけないのか。

あと、もしかしたらここで、スタンリーは、ソフィーの霊能力を信じる=恋をしたのかなと思っていた。それか、少し先の天文台のシーンで恋に落ちたのかと思っていたけれど、後半のパーティーのシーンでソフィーに好意を告白された時に混乱していた様子なので、別に恋なんてしていなかったのかもしれない。

ただ、それ以降は確実に恋をしていたので、パーティーのシーンが落ちたタイミングなのかもしれない。または、気づいたタイミング。

恋をしてからは、やけに横暴で、結婚してやってもいいとか、嫌いじゃないとか、どうにも素直になれない。スタンリーという男が頭がかたいせいもあるのかもしれない。
でも、もしかしたら、『高慢と偏見』のパロディというか、コリン・ファースは昔からずっとこのイメージなのかもしれない。ロマンティックに「愛してる」とか言って抱きしめることなどできない、不器用で偏屈で、ちょっと意地悪で、でも中身はピュアな男性。今回の映画でも、まさにそんなイメージの役柄でした。
ダーシーを意識しているのかどうかわかりませんが、水から上がってくるショットもあり。水着ですが。

最後に霊能力というか、偽心霊で返答するというのも粋だったし、心がうきうきして思わずにっこりしてしまうようなハッピーエンドだった。お金を取られて騙される皮肉などなかった。
言葉では説明出来ない力、恋愛こそ本当のマジック、みたいなのは古典的ではあると思うけど、王道だし別にいいと思う。可愛らしい。

けれど、最後のキスシーンでどうしても生々しくなってしまうコリン・ファース。『ブリジット・ジョーンズの日記』でも、最後にキスをしたときに、この人偏屈だし固そうだけど、キスはうまそうというかいやらしいというか、生々しくなっちゃってた。それは不満点ではなくて、どぎまぎしてしまう点というか、どちらかというと魅力的な点ですが。

コリン・ファース関連では、序盤のマジックのシーン、あの仰々しいものもご本人が演じてたらとても愛しい。けれど、メイクをしているし、マジックだし、さすがにスタントなのかな。

映画のトリックというか、ネタばらしが某映画に似てたのですが、それは他では何も言われていないのだろうか。
映画のタイトルを書くとその映画のネタバレになってしまうので書きませんが、実は友達の企てだった、友達は主人公の才能を妬んでいた、若い女性が荷担というのが同じ。
ただ、その映画では主人公は木っ端みじんにされてしまうのですが、こちらは若い女性=ソフィーは罪悪感を感じる。悪い女ではなく、可愛いだけだった。
とにかく、エマ・ストーンが可愛い。

舞台を1920年代にする必要があったのかどうかはわかりませんが、エマ・ストーンのフラッパーガールなファッションがとても可愛い。帽子も似合ってたし、ドレスも素敵でした。

もしかしたら、エマ・ストーンを可愛く見せるためだけの映画だったのかもしれない。ウディ・アレン監督の次回作にも出演が決まっているらしいし、お気に入りなのがぐんぐん伝わってきます。

0 comments:

Post a Comment