『ジュピター』


ウォシャウスキー姉弟監督。ミラ・クニス主演で、チャニング・テイタムやエディ・レッドメインも出てます。
予告編を観た感じだと、チャニング・テイタムがソー、エディ・レッドメインがロキっぽいなと思っていたのですが、そんな話ではなかった。
以下、ネタバレです。







冴えない生活を送っていた女性が、実は、宇宙を束ねる女王陛下の生まれ変わりだということがわかり日常が変わる。普通の女性が女王陛下に!?というのは、少女漫画のような設定だと思った。もちろん男性との出会いもあります。ピンチになると、必ず同じ男の人が間一髪のところで助けてくれる。

普通の地球人の女性、遺伝子操作された兵士、宇宙を牛耳るエリート兄弟と、登場人物も漫画っぽい。兵士と女性がエリート兄弟に立ち向かう。
なんとなく、話の進み方が想像できるというか、真新しさはそれほどなかった。

ただ、その遺伝子操作された兵士ケインを演じているチャニング・テイタムが良かった。これは、この前観た『22ジャンプストリート』でチャニング・テイタムのことが好きになってしまったせいもあるけれども。
オオカミと人間の配合、王族のアブラサクス家にたてついて羽根をもがれてしまった。ちゃんと上半身裸姿になるし、その時間も長い。羽根をもがれた背中が出てきて、その羽根を取り戻すためにも戦っているっぽかったので、これは最後に羽根のはえたチャニング・テイタムが見られるかなと思ったら、最後の最後に出てきて満足。

あと、アブラサクス兄弟のタイタスを演じていたダグラス・ブースという俳優さんも良かった。優男というか、甘い顔立ち。未見ですが、『ノア 約束の舟』にも出てたらしい。イギリスの俳優さんのようなので、この先どこかで見かける事もありそう。

アブラサクス兄弟の長男バレムを演じていたのがエディ・レッドメイン。一見物腰が柔らかそうだけど、突然激昂したりと、精神的には不安定そう。王っぽいローブなども似合ってた。トカゲ人間のような部下を連れていて、いかにも悪役という感じ。

チャニング・テイタムとエディ・レッドメインという今をときめく俳優さんが二人揃えられていたら、当然絡みを期待するんですが、なんと、一回も無かった。言葉をかわさないどころか、同じ画面にすら一回も映らない。スケジュールの調整ができなかったのだろうか。

後半で、バレムがジュピター(ミラ・クニス)を殺そうとする場面があるんですが、愛する女性が襲われてて、しかもそれが自分の敵でもあったら、当然ケインが駆け付ける展開だと思うんですよね。しかし、ジュピターは自分でバレムと戦っちゃう。王子様は現れない。

でも、よく考えたらバレムは魔法が使えるわけでもないし、ケインと戦うことなんてできなかったのかもしれない。でも、肉弾戦は無理でも、剣を使うとか、銃みたいなものを持たせれば遠くからも攻撃できるしなんとでも…。

少女漫画っぽいならその通りに、二人の男性が主人公のために戦うような展開があっても良さそうなものだ。けれど、自分で戦う強い女性を描きたかったのかもしれない。ただ、個人的には二人の戦いが無いのはものすごく残念だったし、クライマックスに持って来てもいいくらい盛り上がると思うので、それが省かれているとなると消化不良でした。

もう一つの不満点は地球での市街戦。宇宙人や宇宙船がアメリカの街並にまったく溶け込んでいなかった。ビルの間を抜けていく宇宙船が浮いてしまっていたのは、合成の問題なのだろうか。
それだけではなく、ビルや車などを吹っ飛ばしているわりに、一般市民はほとんど動揺している様子が無い。こんなに宇宙人にめちゃくちゃにされて、アメリカのみならず地球はどうなってしまうんだろうと思っていたら、ビルが修復されていく。直せるし、短期間なら人の記憶も消せるのだそうだ。市街戦の傷跡は無かった事にされた。ちょっとご都合主義すぎる気がした。そこまでやってくれる宇宙人なんなんだ。だったら、始めから地球でバトルはやめれば良かったのに。

宇宙に行ってからのほうが好きでした。いろんな星人がいて楽しい。象のパイロットみたいなのも気になった。ケインがオオカミと人間の配合なので、あの人は象と人間の配合なのかもしれない。いろんな人が映るけれど、個々には言及されないのが残念。

宇宙弁護士も良かった。見た目は人間のようだったけれど、ロボットかサイボーグみたいな感じだと思う。ジュピターが女王陛下になるための手続きをするために、役所の部署をたらい回しにされるんですが、張り付いた笑顔がだんだん引き攣っていくのがおもしろかった。後ろで付き添いのケインがうんざりした顔をしているのも可愛かった。
ただ、その手続きは女王陛下自らがしなきゃいけないの?という疑問も残った。

ジュピターと弟タイタスの結婚式は目を見張るほど豪華だった。ドレスも綺麗で、会場も未来的でスタイリッシュ。大人数の客がいるけれど、「これは全員シムなんだよ。見栄えを良くするためにね」なんて、説明があってなるほどと思った。ただ、ストーリーに直接関係ないところだし、そんな詳しい説明はあってもなくてもどちらでも良い場面だった。個人的には深く知る事ができて、よりおもしろくなったシーンだけども。
設定や映像、全てに対してだと思うけれど、こだわるところと適当にしちゃうところの差が激しかった。

最初、家に強盗が押し入って父親が殺されてしまうのですが、あれはただの強盗だったのだろうか。父親はただの星好きの男だったのだろうか。いかにも訳ありっぽかったけれど、別に語られなかったから、何も謎はない普通の地球人なのだろうけど。

ジュピターは助けてもらったからケインを好きになるというのはわからなくもないけれど、ケインはなぜジュピターにひかれたのだろうか。それほど、運命の出会いってほどでも無かった。恋に落ちる瞬間も何も無かったので、どの瞬間にそうなったのかまったくわからない。

つめこみすぎて話運びが雑になっている部分もあるし、無くても良かったのではというシーンもあるし、丁寧でもっと細かく見たいと思う部分もあった。ペース配分やバランスがもったいなかった。

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