『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』


夜になると博物館の展示物が動き出すということだけでも楽しいナイトミュージアムのシリーズ第三弾。最終章とのこと。
いままで出てきたキャラクターが続けて出て来るため、1は観ておいたほうが楽しめると思う。時間があったら2も。
私は一応、前二作品とも観ていたのですが、1が2007年、2が2009年と公開からだいぶ経っているため、内容をほとんど忘れてしまっていて、観直さなかったことを後悔しました。

以下、ネタバレです。








お馴染みのキャラクターがわちゃわちゃやることには変わりないので、キャラクターに親しみを持っていたほうがより楽しめると思う。私の場合、久しぶりすぎて、ああ、居たな…という感想しか抱けなかったのが残念。
最終章ということで、最後に別れが描かれるけれど、良く知ったキャラとなんとなく憶えているキャラとでは、そこでのさみしさもまったく違っただろう。
なので、1と2を観た上で3…という、もう一周したいような気持ちになった。

あと、2007年も2009年もその時点ではリッキー・ジャーヴェイスを意識せずに観ていた。今回『The Office』や『エキストラ』などを観た上で観てみると、博物館の館長というキャラクターと俳優自身が初めて重なった。この点でも、1と2をもう一度観たい。

前作から6年も経ってしまって、主人公ラリーの息子が大きくなっていたので子供の成長の早さに驚いたのだけれど、違う俳優さんが演じていた。
でも、役柄とはいえ、子供の成長により、本作は2の後、それなりに時間が経っているのがわかる。

今回は、展示物が動く元である石版に異変が起こり、その謎を解くためにロンドンの大英博物館へ向かう。
舞台がロンドンに移った時にThe Clashの『London Calling』が流れた。ジャジャジャジャジャジャの部分に合わせて、ビッグ・ベンとかのロンドン名所がパパパパパパと出るのって、他の映画でもよく見かける演出だと思うけれど、何で観たのかわからない。もうそろそろそれはやめようよ…とも思ったけれど、パロディだったのかもしれない。

最初にパルテノン神殿の部屋に入る。パルテノン神殿からの展示物は古いので首が無かったり、腕が折れてたりするんですが、それが動く様は少し不気味。横のレリーフも動いていたのも細かい。
展示物の部屋を移っていく様子や、中央ロビーの様子など、行ったことある博物館の展示物が動くのを見るのは楽しさが違う。ニューヨークの自然史博物館は行ったことがない。
上野の国立科学博物館版のナイトミュージアムも見てみたい。

ランスロットが石版を持ち出したため、トラファルガースクエアのライオンも動いていた。2でリンカーンも動いてたし、銅像系は何でも動くようだ。

ランスロットを演じたのがダン・スティーヴンス。『ダウントン・アビー』のマシュー役で有名ですが、馬に乗った鎧を着たマシューがトラファルガースクエアに…と考えながら観てしまった。実際に、広場を封鎖して撮影したらしい。

ランスロットとの攻防戦で、エッシャーの騙し絵の中に入ってしまうのがおもしろかった。映像的にも騙し絵=二次元なので、登場人物が漫画調になる。
そして、騙し絵なので、落ちたと思ったら上から落ちてきたりという仕組みも面白かった。『インセプション』の「パラドックス!」を思い出す。

ランスロットはロンドンバスの広告の“Camelot”という文字を見つけ、劇場へ侵入する。
そこでアーサー王を演じていたのが、ヒュー・ジャックマン。一瞬だけど、歌声も披露。また、首を傾げているランスロットに向かって、「僕はアーサー王じゃなくて、ヒュー・ジャックマンだよ」と言って、ウルヴァリンの真似もやるサービスっぷり。
去り際にラリーが「あなたは顔も性格もいい」と言うけれど、ヒュー・ジャックマンの数々の聖人エピソードに加えて、カメオを引き受けてくれたことも含まれていると思う。実際に、私の中でもヒュー・ジャックマンの株が上がった。
『Camelot』というミュージカルは1960年代から上演されているものらしい。けれど、ヒュー・ジャックマンは演じてません。
初代アーサー王役はリチャード・バートン、グィネヴィア役はジュリー・アンドリュース。

大英博物館の警備員とのやりとりや、ランスロットとラリーの最初のやりとり、ネアンデルタール人ラーとラリーの一人二役のやりとりなどは、多少クドく、動きが停滞するため、だれてしまうところがあった。ゆったりかまえていれば気にならないと思う。

ジェデダイアとオクタヴィウスがエアコンダクトに吸い込まれてしまうシーンは、ミニチュアの二人には深刻だけれど、普通の大きさの人間にとっては些細なこと、という映像が交互に流れていて面白かった。
ポンペイで二人にとっては巨大な猿、実際にはむしろ小さいくらいのデクスターが救うシーンも良かった。

ギャグも健在ですが、最終章らしいエピソードもしっかりと組み込まれていた。
結局、石版を大英博物館に置いていくことになった時に、警備員に「いまは退屈だろうけど、明日から楽しい日々が待ってるぜ」とラリーが言うシーンがあった。
それは、自らの楽しいばかりではないけれど刺激的な日々をそのまま明け渡す作業である。自分は、“退屈な”日常へ戻っていくのだ。
もしかしたら主人公が代替わりして続けるのかとも思ったけれど、ベン・スティラーじゃないナイトミュージアムなんてナイトミュージアムじゃないので、これで終わりなのだろう。

自然史博物館で大英博物館展をやることによって、一時的に石版が戻ってくる。
1のラストではEarth,Wind&Fireの『September』が流れて、みんなが踊るシーンがとても楽しいのですが、それと同様に大英博物館と自然史博物館の展示物両方が入り乱れて踊るシーンで最高にハッピーになった。
けれど、そこにラリーはいない。

ラリーは、自然史博物館の外から、窓がライトでピカピカ光っているのを見ている。楽しげな様子を見ているだけで、中には入らない。
でも、おそらく、愛しいものを切り離すことが本作のテーマなのだと思う。だから、切なくほろ苦いけれど、この結末でいいのだ。

今回、大英博物館と自然史博物館で離ればなれになったエジプトの親子、ルーズベルトとラリーの関係、またラリーとラーの関係、それにラリーと本物の息子の関係と、実際の親子と親子モチーフの事柄が多く出てくる。
ラリーの息子は、高校を卒業し、その先の進路は自分で決めたいとのことだった。ちゃんとは描かれていないが、おそらく、ラリーが外から自然史博物館を見ている時点で近くにはいない。でも、大人になるためにはいつまでも一緒というわけにもいかない。

少しさみしいけれど、一歩前に進むためには仕方のないことなのだ。三部作を締めくくりとしては、楽しいだけで、はい!おしまい!みたいな感じじゃないくて良かったと思う。
多分、ルーズベルトを演じたロビン・ウィリアムズとの別れについても、直接的ではなくても描いているのではないだろうか。

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