『ワイルド・スピード SKY MISSION』



ワイルド・スピードシリーズ7作目。
私は1作目と前作しか観ていませんが楽しめました。前作『EURO MISSION』の直接的な続きというか、前後編的な意味合いでもあるような気がするので、前作は観ておいた方が良さそう。もちろん、全部観ていたほうが登場キャラクターに愛着がわくし、より楽しめると思う。

4DXで観賞。4DXを観る前の宣伝映像が車に乗っているものだったため、車ものとの相性は悪いわけはないと思った。確かに車に乗っている感じというか、微妙なエンジンの揺れなども味わえた。しかし、本作は上映時間が138分と長丁場なため、少し疲れてしまった。

ユナイテッド・シネマ豊洲の4DXに初めて行った。中川コロナシネマワールドやシネマサンシャイン平和島にあった真ん中の通路がないため、かなりこじんまりした印象。隣りの人とも近い。
でも、席が密集しているせいもあるのか、スクリーンは4DXにしては大きく感じた。3列目で観ましたがちょうど目線の高さくらいだった。

以下、ネタバレです。






前作の悪玉、オーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンス)の兄デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)が今回の悪役。ルーク・エヴァンスとジェイソン・ステイサムは似ても似つかぬ俳優で兄弟ってどうなのとは思うけれど、両方とも好きな俳優なので別にいいです。
話はわかりやすく、デッカード・ショウが復讐のためにドミニクたちを襲い、対抗するというだけ。

まず、デッカードの場所を探るために、ゴッド・アイという公共のカメラなどに忍び込んで捜索するパーソン・オブ・インタレストあたりに出てきそうなシステムを開発したハッカーの奪還作戦を敢行する。
細い山道を移動していて、山なので気づかれずに乗り込むことは不可能、さあどうする?となったときに、空から参上していた。
飛行機から生身の人間が飛び出して、潜入が困難な場所に行く分にはわかる。よくあるシーンだと思う。
でもそこはワイルド・スピード。車でやっちゃうのがすごい。飛行機から車が数台ぽんぽん飛び出して、地上が近くなるとパラシュートが開く。
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』で飛行機から戦車が落ちながら、大砲を撃って場所を定めるみたいなシーンがあった。あれも好きだったけれど、今作は複数台なのでよりパワーアップしている。
しかも、山道に入ってからも狭い道を走りながら、護衛の車やハッカーの乗ったバスとの攻防が面白かった。
常に動いているし、山岳なので道が狭く、ミスをすると落ちてしまうという緊張感。最後のバスのシーンなども含めて、計算され尽くされたアクションシーンが見ごたえありました。
ドミニクの乗った車の周りを複数台の敵の車で囲まれ、後ろが崖で…というのも、生身の人間ではよくあるけれど、車でやっているのは他では見られない。しかも、崖の方へ飛んじゃう。

今作は邦題からしてSKY MISSIONなんですが、SKYというか上から車ごと落ちるシーンというのが何度かある。特にドミニク(ヴィン・ディーゼル)とルーク・ホブス(ドウェイン・ジョンソン)については、めちゃくちゃになった車からなんとか外へ出てくるという、不死身かと思われる描写もあった。

ハッカーの奪還には成功したものの、ゴッド・アイを売ってしまったあとだったため、アブダビへ向かう。
王子のパーティーへ潜入するために、ドミニクたちが正装する。横一列になって歩くショットがスローになったりとたまらない。ドミニクがレティのドレス姿を見て、「見違えた…」とぽーっとしちゃうのもいいですね。
荒くれたちがめかしこんで金持ちの集まりに潜入するというのは他の映画でもよく出てきますが、どれも好きです。

山岳パートでも、仲間たちそれぞれがそれぞれの役割で動いていたけれど、アブダビパートも役割分担をしながら進んでいく。
レティに気づいた女用心棒が『エクスペンダブルズ3』の新メンバーでもあったロンダ・ラウジーだった。ミシェル・ロドリゲスとのドレスを着た女性同士の肉弾戦が恰好良かった。
ドミニクとブライアンが高級スポーツカーでビルとビルの間を飛ぶシーンは予告で見せないで欲しかった。美術観賞しているところに車で突っ込み、兵馬俑か何かがめちゃくちゃに壊れるシーンは爽快感すらあった。

一応ここでゴッド・アイを手に入れるんですが、山岳パートでもアブダビパートでも、デッカードは捜すまでもなく向こうから乗り込んでくるんですよね。別にゴッド・アイなど無くても待っていれば向こうから現れそう。不意打ち阻止のために、こちらから乗り込みたいということだったのだろうか。どちらにしても、たぶん深く考える部分ではないのだろう。
めちゃくちゃにした王子のパーティ−とビルから落とした高級車はどうなったとか、後始末も気になったけどきっと考える部分ではないのだと思う。

デッカードとの最終決戦はロサンゼルスでのストリートファイト。ドミニクとデッカードが武器はあれども生身で殴り合いを始めたので驚いた。車で決着をつけるわけではないんだ。
外野でハッカーの護衛のために車が使われていたり、最後の最後では車も出てくるけれど、基本的には殴り合いだった。
ジェイソン・ステイサムはヴィン・ディーゼルやドウェイン・ジョンソンに比べれば筋肉量は少ないけれど、すっかりアクション俳優になったのだなと思った。『エクスペンダブルズ』でも欠かせない存在である。

前作で記憶を失っていたレティが最後にすべてを思い出す。本当だったらここを一番の盛り上がりにしたかったのかなとも思うけれど、案外あっさりとしていた。

おそらくその理由は、不慮の事故でなくなったポール・ウォーカーの件があったのだと思う。
本作の撮影が終わる前だったようなので、映画内でどうなるのかとも思っていたけれど、最初から最後までちゃんと出ていた。途中は彼の弟が演じていたらしい。

最初に、「今回の任務が終わったら引退する」みたいなことを言っていたため、なんとなく退場するのかと思っていた。
けれど、ラストにしっかりと映像が加えられていた。
この直前まで、ド派手に盛り上がるだけ盛り上がって、ワイスピ最高!みたいにこぶしを振り上げんばかりの状態になっていたのに。

波打ち際で子供と遊ぶブライアンは、厳しい戦いの世界とは無縁の、穏やかで優しい雰囲気だった。
声をかけずにすっと立ち上がり、一人、車を走らせるドミニク。横に並ぶ車があり、ブライアンが声をかける。「さよならも言わずに、行っちまうのか?」
もうそこで、涙が止まらなくなってしまう。
二言三言、二人は言葉を交わし、道が二股に分かれたところで、それぞれが違う方向へ走っていく。二人の道は違ってしまう。でも、車はそれぞれ走り続けている。
しんみりさせるわけではない。これほど優しい映像があるだろうか。
ちゃんとこのような映像を残してくれたことに、ありがとうと言いたい。

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