『ベルファスト 71』



2015年公開。イギリスでは2014年公開。
『シタデル』と同じく『ダンケルク』関連でジャック・ロウデンとバリー・コーガン目当て。
しかし、そんな軽い気持ちで観る映画ではなかった。

舞台は1971年の北アイルランド。あまり詳しいことがわかっていなかったので、どの陣営とどの陣営の争いなのかよくわからなくなってしまい、上官の説明部分をもう一度見返しました。
イギリスの新兵たちが暴動の起きている北アイルランド(ベルファスト)に派遣される。そこでは、イギリス軍を敵視しているカトリック系(IRA?)とイギリス寄りのプロテスタント系が対立していた。IRAの中でも、非武装の穏健派と武器を持った暫定派で分かれているとのことだった。新兵たちは警察の家宅捜索(武器はあるか?と聞いていたので、たぶんIRA暫定派の家?)に同行する。

主役はジャック・オコンネル演じるゲイリー。映画を観る前は軍隊のドンパチものだと思っていたから、いろんな兵士たちに出番があるのかと思っていたが、ほぼゲイリー一人の話だった。警察の家宅捜索の同行という簡単な任務だと思われたが暴動に巻き込まれてしまい、ゲイリーだけが敵地に残され、そこからの帰還を目指す。
予告を見ているとデイリー・テレグラフの評として“完成度の高いサバイバル・スリラー”というのが出てきたり、「必ず生きて帰る」というセリフが出てきたりとほぼ『ダンケルク』です。手持ちカメラでゲイリーを追っていくあたりのリアリティも似ている。ただ、こちらは残されたのは一人きりである。

あと、私の知識不足なんですが、イギリス兵は軍服を着ているからわかるのですが、他の私服の人たちがどの陣営かわからなくて混乱した。髭の感じも似ている。最初の方に工作員と説明されていたのはIRAと対立している陣営だったのだろうか…。

ジャック・ロウデンなのですが、あまり詳しくは説明されないけれど、ゲイリーと親しそうなトンプソンという兵士で、カメラは主人公のゲイリーを捉えているから、結構いつも近くにいるトンプソンも見切れて映ることが多かった。
また、兵士で並んでいるときもニコニコしていたり、ゲイリーをバシバシ叩いたりと無邪気。IRA側(たぶん)の子供達に小便の入った袋を投げつけられたときも舌をぺろっと出していた。
軍隊らしからぬちょっとふわふわしていそうな体も可愛い。太っているまでは言わないけど。色が白くて、背が高いのも目立つ。
しかし、序盤の暴動に巻き込まれた挙句、顔を撃たれて死んでしまう。よりによって顔である。
映画自体、ゲイリーのサバイバルが中心だから、中心に行く前にいなくなってしまうのは残念だった。二人で逃げる展開なら良かったがそう甘くもなかった。
いい役ではあったけど、出番は思ったよりも少なかった。辛い内容です。

バリー・コーガンはIRA暫定派(たぶん)の青年、ショーン役。序盤の揉み合いのシーンではバリー・コーガンとジャック・ロウデンが同じ画面に映る。
『ダンケルク』では無垢で勇敢なジョージ役だったけれど、本作ではほぼ無表情で何を考えているかわかりにくい役。でも人の多いシーンでも一人だけ異質というか、目立っていた。無表情になると一気に冷たい印象になるのがとてもいい。怒りをおさえつつ何をしでかすかわからない爆弾を抱えてそう。でも、いざとなると撃てない少年っぽさも残っている。
今、北米で公開されているヨルゴス・ランティモス監督の『The Killing of a Sacred Deer』は、おそらくこれ系に悪魔成分をプラスした感じだと思う。ニコール・キッドマンとコリン・ファレルだし、日本でも公開されるのではないかと思うけどどうだろう。



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