『アトミック・ブロンド』



監督は『ジョン・ウィック』の のデヴィッド・リーチ。『デッドプール2』の監督も決まっている。

ベルリンの壁崩壊の裏で起こっていた各国スパイの暗躍が描かれている。グラフィックノベル『The Coldest City』が元になっているらしい。

シャーリーズ・セロンが女スパイを演じる。ジェームズ・マカヴォイとビル・スカルスガルドが出ているが、マカヴォイはイケメン枠ではないと思う。
他、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ、エディ・マーサンというアクの強い俳優が揃っている。

以下、ネタバレです。









シャーリーズ・セロン演じるMI6のロレーンが任務について報告しているのを上司とCIAが聞きとりをしているという作りなので、本編中にロレーンがピンチになっても、でも過去の出来事だから死にはしないんだなと思いながら観ていた。

東西冷戦のスパイ物というとちょっと重めだったり暗くなったり地味になったりしそうだが、この映画は色合いが青みがかっていたりと独特でおしゃれ。
また、曲がいいと聞いていたので、わざとサントラの曲目は見ずに臨んだら(ライブ前に他のライブハウスのセットリストを確認しないのと一緒)、一曲目からニューオーダーの『ブルーマンデー』で盛り上がった。他、デヴィッド・ボウイやジョージ・マイケルなども使われている。
色合いや曲から、所謂冷戦物ではないなと思ったが、最初にベルリンの壁が崩壊した時のレーガン大統領の演説を流して、これとは関係ないですと言われていたので別物なのかもしれない。

シャーリーズ・セロンのアクションも恰好よかった。
仲間らしい仲間は出てこず、常に単独で複数を相手にするバトル。でも、女一人で複数の男を倒さなくてはならないので、単純に銃や腕力というよりも、相手が持ってる武器を奪ったり、避けた拍子に流れで攻撃したり、鍵で顔を刺したりと、知恵を絞っていた。
中盤のスパイグラス(エディ・マーサン)が撃たれてからの長回しは迫力があった。7分半らしいがもっと長く感じた。ロレーンもかっこいいだけでなくさすがに疲弊してきていて、なんとなく『フリー・ファイヤー』を思い出した。這いつくばって銃を撃つあの感じ。顔や服も汚れてくるし、殴る時には声も漏れる。体裁など気にしてられない。ズタボロになりながらもなんとか攻撃する。

ジェームズ・マカヴォイは少し前まで可愛い系のイケメン俳優のイメージだったけれど、『フィルス』っぽい役が増えてきていて、今回もそっちです。サイコっぽい。髪型はシニード・オコナー(と映画内で言われてた)。スキンヘッドですね。最初にベルリン支部にこんな男がいるよって紹介ではイケメンマカヴォイだったんですが。

代わりといってはなんですが、ビル・スカルスガルドが恰好よかった。そこまで出番のないサポート役ですが、仕事が確実そうで信頼できる男役。
ビル・スカルスガルドは『IT イット“それ”が見えたら、終わり。』もそろそろ公開される。ほぼピエロメイクだと思いますが…。

ソフィア・ブテラはフランスのエージェント役として出演。ソフィア・ブテラは『キングスマン』のガゼル、『スター・トレック BEYOND』のジェイラ、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』のアマネットと、素顔を見せかったり、少し変わった役が多かったけれど、今回は諜報員になりたての女の子ということで、私が見た彼女の中では一番キュートな役だった。
一応、ロレーンと関わりのある男性としてはマカヴォイとスカルスガルドなんですが、シャーリーズ・セロンとこの二人よりも断然ソフィア・ブテラとのベッドシーンが見たいよな…と思っていたら、ちゃんと入っていて大満足でした。

ロレーンが主人公でシリーズ化もできそうだなと思ったけれど、彼女はMI6ではなくCIAだったという一応のオチがついてしまったのでここでおしまいっぽい。でも、真実を知らされたところで、そうですよねという感じもする。というのも、シャーリーズ・セロンはどう考えてもイギリス人ではないし、イギリス人っぽくもないから、トビー・ジョーンズの部下としてMI6で働いているという設定からして違和感をおぼえたからだ。
そして、KGBとMI6との二重スパイでもあったということで、壁崩壊にも一役買っていたという…。序盤で関係ないよと言われていたが、やっぱり関係あった! 結局冷戦物だったが、映像・音楽のスタイリッシュさからか、またグラフィックノベルが元になっているからなのか、重厚さはなく、軽いかなと思う。冷戦スパイ物だと思ってしまうと物足りないが、ストーリーよりはシャーリーズ・セロンの美しさなど、映像や音楽で堪能できる部分が多かった。


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